スペイン・バルセロナで開催されている「バルセロナ・オープン・バンコサバデル」(ATP500/4月18~24日/賞金総額 215万2690ユーロ/クレーコート)の準々決勝で、第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)が第12シードのファビ…
スペイン・バルセロナで開催されている「バルセロナ・オープン・バンコサバデル」(ATP500/4月18~24日/賞金総額 215万2690ユーロ/クレーコート)の準々決勝で、第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)が第12シードのファビオ・フォニーニ(イタリア)を6-2 7-6(1)で下し、3年ぶりの準決勝進出を決めた。今大会のナダルは2005年から09年の5連覇と2011年から13年の3連覇、合計8度の優勝を誇る。2014、15年は錦織圭(日清食品)が連覇している。
◇ ◇ ◇ 多くの観客にとってナダルとフォニーニの対戦は、昨年にナダルが被った大きな苦難の象徴だった。昨年のこのバルセロナ・オープンで、同じフォニーニを相手にナダルが見せた無様なテニスがあまりに強烈な印象を残したからだ。あの試合を見て人々は「ナダルはフォアハンドの打ち方を忘れたのか?」とさえ言ったのである。選手生命さえを疑問視されたあの試合から一年。今年のナダルは爆発的でなかったにしろ、彼らしい、しぶとく一貫性のあるプレーをしっかりと取り戻している。
試合後、昨年と比べての調子について聞かれたナダルはこう答えた。 「僕は過去の自分と今を比べるようなことはしない。僕はその日、一日一日を生きている。毎日、よりよく、より強くなるように努めており、それが僕の比較であって、過去の年や過去のタイトルと比べたりはしない。僕は一日一日を比べ、そこから可能な限り高いところに至ろうと努めているんだ。今日僕はいいレベルでプレーしたし、バックハンドでうまくチャンスをつくることができた。そして明日もまた、よいプレーをするチャンスを手にしている」
第1セットを6-2ですんなり取ったナダルだが、第2セットではブレークを許して一時2-4とリードされ、試合は決して簡単なものではなかった。フォニーニがフォアハンドの強打でエースを奪い始めたときには、嫌な既視感を覚えた者もいたはずだ。しかし試合後、この勝利は昨年の雪辱か、と聞かれたナダルは即座にその考えを否定した。 「僕の目標は決してリベンジではあり得ない。僕は雪辱、復讐などということを信じてはいないんだ。昨年は今年とは違う年であり、僕は今日の試合に向かうときに、昨年のフォニーニ戦のことを思い出したりなどしなかった。僕が考えていたのは自分のテニスをすることだったんだ」
(テニスマガジン/ライター◎木村かや子、構成◎編集部)