日本サッカー界にはJ1を頂点とするプロリーグがあり、JFLや大学リーグもある。そうしたチームが顔を合わせるのが天皇杯だ…
日本サッカー界にはJ1を頂点とするプロリーグがあり、JFLや大学リーグもある。そうしたチームが顔を合わせるのが天皇杯だ。このオープントーナメントから、「本当の3部相当のリーグ」をサッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■天皇杯1回戦での本気度
J3リーグはJリーグの一角であり、「アマチュアの」JFL相手にこの成績というのはやはり“由々しき事態”と考えるべきかもしれない。
こうしたことが起こった原因として一つ考えられるのは、天皇杯に対するモチベーションに差があるのかもしれないということだ。
そこで、J3リーグとJFLのチームが対戦した5試合で、それぞれのチームがターンオーバーを行っていたのかを調べてみた。〔 〕内の数字が両チームの先発メンバーのうち直近のリーグ戦にも先発していた選手が何人いたかという数字である。
ちなみに、天皇杯1回戦は5月20日、21日に行われ、この週はJ3リーグもJFLも関東大学リーグも試合がなかったので、いずれのリーグのチームも連戦ではなかった。
(J3) (JFL)
沼 津 2対3 滋 賀
〔11人〕 〔6人〕
鳥 取 0対2 三 重
〔10人〕 〔11人〕
八 戸 2対3 S仙台
〔9人〕 〔10人〕
奈 良 0対1 Honda
〔0人〕 〔10人〕
盛 岡 4対0 新 宿
〔0人〕 〔11人〕
・参考・
(関東大学)
筑波大 2対3 浦 安
〔8人〕 〔9人〕
■本当に強いのはどちらか?
以上の結果、J3リーグの奈良クラブといわてグルージャ盛岡の両チームが完全ターンオーバーを実施した以外は、ほぼいわゆる“最強メンバー”で臨んでいたことが分かる。そして、ターンオーバーをした盛岡は4対0で勝利している。
つまり、JFLのチームがJ3リーグ相手に大きく勝ち越したのは、ターンオーバーのせいではなかったのだ。
ただ、ともに“最強メンバー”を組んだとしても、JFL側の方が天皇杯にかけるモチベーションが高いであろうことは容易に予想できる。とくに、Jリーグ入りを目指していないチームの選手たちにとっては天皇杯でJリーグ勢を倒すことは、大きな目標になるはずだ。
一方、J3リーグのクラブにとっては同リーグを勝ち抜いてJ2リーグに昇格することが最大の目的となる。J3とJ2では、その位置づけに大きな違いがあるからだ(たとえば、来シーズンからはJ3リーグの試合はDAZNでの中継がなくなる)。
さらに、今シーズンからJ3の最下位チームはJFLに降格することになる。J3加盟クラブにとって、JFLへの降格はクラブとして決定的な損失になるはずだ。
従って、J3チームにとってはリーグ戦こそが唯一最大の目標となるであろうことは想像に難くない。
とにかく、一般に思われているように「J3リーグこそが日本の3部リーグ」とは言い切れないことだけは間違いない。
また、今シーズンのJFLは大混戦となっている。
5月28日の第9節終了時点で首位のレイラック滋賀(勝点17)から11位の東京武蔵野ユナイテッドFCまでの勝点差が6ポイントしかなく、毎節のように順位が大きく入れ替わる。
そして、試合内容も戦術的準備が行き届き、相手のストロングポイントをしっかり消す戦いが浸透し、今年のJFLは競技力もかなり上がってきているように感じる。
■2回戦の好カード
さて、天皇杯全日本選手権大会は6月7日(一部、14日、21日)に2回戦が開催され、2回戦からはJ1リーグとJ2リーグのチームが登場。1回戦を勝ち抜いた下のカテゴリーのクラブがJ1、J2勢に挑戦することになる。カップ戦の醍醐味であるジャイアントキリングが期待される。
というのは、2回戦からは水曜日開催で、リーグ戦との連戦の形で行われるので、ターンオーバーを使うチームが多くなるはずだからだ(もちろん、下位カテゴリーのチームにとっても、リーグ戦との兼ね合いでターンオーバーを使わざるをえないのだろうが)。
注目すべきはアマチュアの雄、Honda FCと鹿島アントラーズの試合。あるいは関東リーグから虎視眈々とJリーグ入りを狙っている栃木シティFC(関東1部2位)が不振にあえぐ王者、川崎フロンターレに挑む試合あたりか。
大学勢として勝ち残った関西大学はアジア・チャンピオンの浦和レッズに挑み、また山梨学院大学PEGASUSは柏レイソルと対戦する。そして、冒頭にご紹介した都並敏史監督のブリオベッカ浦安は横浜F・マリノスと対戦する。