鋭く、力強い一撃で試合を決めた中谷。その試合に対してオーストラリアのレジェンドがクギを刺した。(C)Getty Images 衝撃的なKO劇の余韻はいまだ冷めやらない。 話題を振りまき続けているのは、去る5月20日にアメリカのネバダ…

鋭く、力強い一撃で試合を決めた中谷。その試合に対してオーストラリアのレジェンドがクギを刺した。(C)Getty Images

 衝撃的なKO劇の余韻はいまだ冷めやらない。

 話題を振りまき続けているのは、去る5月20日にアメリカのネバダ州ラスベガスで行なわれたボクシングのWBO世界スーパーフライ級王座決定戦、前WBO世界フライ級王者でWBO世界スーパーフライ級1位の中谷潤人(M・T)が放った衝撃的な一打だ。

 元WBA世界同級王者でWBO同級2位アンドリュー・モロニー(豪州)と対峙した25歳の日本人戦士は、最終12回に相手のパンチをスッと交わすと額付近に強烈な左カウンターを一閃。目にもとまらぬスピードで衝撃的な一撃を浴びせた。

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 多くの海外メディアが「年間最優秀KOだ」(米スポーツ専門局『FOX Sports』)と評した形で勝利を飾った中谷。日本屈指のハードパンチャーが見せたポテンシャルに賞賛の言葉が集まった一方で、タイトル奪取を狙ったモロニーには母国からも手厳しい声が飛んだ。

「私は試合を見ていて気分が悪くなった」

 そう同胞戦士を断じたのは、元世界4階級制覇王者のジェフ・フェネック氏だ。

 2015年に井岡一翔が塗り替えるまで史上最速での3階級制覇記録を持っていたオーストラリア・ボクシング界の巨匠は、母国版『FOX Sports』のインタビューに対して「12ラウンドに行く前にコーナーは試合を止めるべきだったんだ。もうはなっから彼は戦意を失っていたからね」と持論を展開した。

「間違いないのは、アンドリューは非常に優れたチャンピオンと戦った。だから、次の2、3戦のために彼を温存しなきゃいけなかった。もう100回以上も殴られる必要なんてなかったんだ。ノックアウトされるまでは分からなかったけど、パンチは一発でも食らうと……気持ち悪かった。おそらく彼は元には戻らないだろうね」

 実体験をもとにハードパンチを被弾する重みを口にした百戦錬磨の鉄腕は「アンドリューの陣営は最悪だった。選手には『こんなことしたら嫌われるかもしれないが、またチャンスがあったら世界タイトルを獲れるように、君の面倒を見る』と言うだけでよかったんだ」と吐露。さらにモロニー陣営の決断を嘆いた。

「第11ラウンドの後になぜ止められなかったのか? 第12ラウンドに入る時点で、試合に勝つことができなかった。もうノックアウトもする力すら残っていなかったからね。もっと物事を賢く判断すべきなんだ。私はレフェリーが止めようとするのを見ていたから、止めてほしかった。

 モロニーはナカタニのビッグヒット1発でやられたのではないよ。他に食らっていた50発のパンチでやられたんだ。思わず感情的になった。こんなことは起こる必要がなかったからね。モロニーが頑張ってなかったとは言わないけど、試合は全く接戦じゃなかった。勝てるわけがない」

 なお、中谷の猛攻に屈したモロニーは試合後に病院へ直行。一部の報道では両鼓膜にダメージを受けていると伝えられており、回復には時間を要すとされている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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