通算134勝のバムガーナーが放出された理由…2020年に転落スタート メジャー通算134勝を誇るマディソン・バムガーナー…
通算134勝のバムガーナーが放出された理由…2020年に転落スタート
メジャー通算134勝を誇るマディソン・バムガーナー投手が4月にダイヤモンドバックスから放出され、メジャー最低年俸で獲得可能な状況にもかかわらず、まだ新天地が見つかっていない。5年総額で約118億円という巨額契約を結んでから低迷した理由を、米国のスポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」が報じている。
バムガーナーは、ジャイアンツ時代の2017年に開幕戦で投手として史上初の1試合2発を記録するなど、通算19本塁打の“打てる投手”としても知られた。2019年オフにFAとなり、5年総額8500万ドル(約117億6000万円)でダイヤモンドバックス入り。今季の年棒は2300万ドル(約31億8000万円)で、2024年までの契約が残っていたが放出された。
記事は、バムガーナーの“転落”を「自身の力の低下という現実を直視することに苦しんだ、頑固な元スターという複雑な人物像」が理由だとしている。
低迷は、新型コロナウイルスで球界が動きを止めた2020年に始まっていた。記事は、短縮シーズンの開幕が近くなってキャンプ入りしたバムガーナーの体が絞れていなかったこと、その間ボールを触ってもいなかったことを紹介している。その結果、2020年は9試合の先発で防御率6.48、さらに直球の球速が、キャリアでワーストとなる平均時速88.4マイル(約142.2キロ)まで落ち込んだ。
コーチの助言は耳に届かず「過去と決別できない生徒」
さらに「2021年はこれよりも良かったが、チームが酷かった」と、周辺環境の変化で低迷が長引いたとしている。ジャイアンツ時代からバムガーナーを知っていたマット・ハージェス投手コーチが別の役割に配置転換となり、アストロズを強豪に押し上げたブレント・ストロム氏が後任となった。データ重視の新コーチは「過去にうまくいっていた方法と決別できない生徒(=バムガーナー)」を見つけたと記事は指摘する。
ジャイアンツ時代、主に4シームとカットボールで三振を奪ってきたバムガーナーは、球威とピンポイントの制球力が落ち始めたことでカットボールを減らし、カーブやチェンジアップの割合を増やすよう助言されたのだという。「しかし、バムガーナーは現在の自分を受け入れるよりも直球の球威を取り戻すことに躍起になっていて、耳を傾けなかった」というのだ。
結果、2021年からは2年連続で7勝という成績に終わり、ついにはチームを追われた。記事はバムガーナーの周囲からの「メカニクスや球種に関する意見の相違の根底には、信頼の欠如という確信問題があった」という声を紹介。指導者と合わなかったことも低迷に拍車をかけた。
球団の中には「ストロム投手コーチがバムガーナーに対し(変化を強要するよりも)より優しいアプローチを取ればうまくいく可能性があった」という声もあるというが、後の祭りだ。記事は「バムガーナーがダイヤモンドバックス時代にすべての修正を受け入れ、投手としての部品をすべて入れ替えたとしても、3年半前にチームが契約した際に期待していたようなローテ上位で投げる投手になれた保証はない」とキッパリ。新天地を見つけることはできるだろうか。(Full-Count編集部)