浅井樹さんは代打で154安打、打率.315をマーク 元広島外野手の浅井樹氏(カープ・ベースボールクリニックコーチ)は現役…
浅井樹さんは代打で154安打、打率.315をマーク
元広島外野手の浅井樹氏(カープ・ベースボールクリニックコーチ)は現役時代、左の強打者として知られるとともに、代打稼業でも結果を残した。代打での通算成績は打率.315、154安打、93打点、サヨナラ安打も4度記録した。一振りでここまでの数字をたたき出すのは決して簡単ではない。何か秘訣はあったのか。「僕は基本的に緊張しいなんですが、打席だけは全く緊張しなかったんです。ワクワク感しかなかったんです」とサラリと明かした。
「ある意味、開き直れるかどうかですよね」と言って浅井氏は自身の考え方を説明した。「まず勝負ごとは5割、マルかバツしかないと考える。では、マルって何? 自分の打席が終わった時に以前よりもプラスになっているような状況を作れば勝ちなんじゃないか。ってことはホームランを打つ必要はないな、ランナーが二塁にいたら、少なくとも三塁にすればいい。“ただ死に”だけはしない。マイナスにもしない。そういう発想です」
さらに「例えば力む理由が10あったとする。そこから、もし3つ省けたら、7になったら楽だよねって思う。そんなふうに自分を持って行きましたね」と続けた。「だからワクワクしかなかった。プラスに持って行くためのワクワク感しかなかった。ボールカウント0-0は対等な立場。そこから1ボールになったら有利になり、2ボールになったら、もっと有利になる。すべていい方に転換していきました」
そんな感覚にいつからなったかは「わからないですね」という。1軍で場数をこなすうちに身についたのだろうか。「極端な話、無死満塁だったら、前のバッターは三振しろって思ってましたからね。俺に1アウト満塁で回してくれってね」。チャンスに打席が回ってきたということは、相手にとってはピンチの場面。浅井氏は精神的にも優位に立って、グラウンドで戦っていたわけだ。
内田順三打撃コーチや野村謙二郎氏から学んだ“思考”
加えて2軍時代に内田順三打撃コーチに教えてもらったこともある。「内田さんに『代打やっていたら、年間安打数15本で』って言われたんです。50打数15安打で打率3割でしょ。『50回打席に立てば、フォアボールもあるから15安打を目安にしていたら、45~46打数で、打率は3割を超えるよ』ってね」
数字の目安といえば、野村謙二郎氏にも浅井氏がスタメンで出ている時にこう言われたそうだ。「『100(打席)立って、とにかく30安打を目指していけ』って。『100までいったら、リセットしてまた100まで』ってね」。これもありがたい教えだったという。
考え方ひとつで、ガラリと変わるし、変われる。右の代打の切り札・町田公二郎氏とともに、左の代打の切り札として浅井氏は力を発揮した。「自分が、このチームの中で必要とされているのがわかったら、わかったで、より責任みたいなのが出てくるじゃないですか。打てなかったら2軍に落とされると、常に危機感は、やめるまでずっと持っていましたよ」
現在、浅井氏はカープ・ベースボールクリニックコーチとして中学生への打撃指導や、女子野球普及に携わっている。必要に応じて、このような自分が学んだ知識や自身の経験も惜しみなく伝えている。(山口真司 / Shinji Yamaguchi)