4月5日に史上最年少27歳5か月で通算200セーブを達成 4月5日、楽天・松井裕樹投手が史上最年少となる27歳5カ月で通…

4月5日に史上最年少27歳5か月で通算200セーブを達成

 4月5日、楽天・松井裕樹投手が史上最年少となる27歳5カ月で通算200セーブを達成した。現時点の年齢を考えても、名球会入りの条件となる通算250セーブに向けた視界は良好。しかし、過去に通算250セーブを達成して名球会入りしたのは、岩瀬仁紀氏、高津臣吾氏、佐々木主浩氏の3人のみと、難易度は並大抵のものではないことがうかがえる。今回は、松井裕の球歴や投球スタイルに加えて、過去に200セーブを達成した8人の投手たちの顔ぶれを紹介する。(成績は5月14日の試合終了時点)

 松井裕は桐光学園高から、2013年のドラフト1位で楽天に入団。プロ1年目の2014年は先発とリリーフを兼任しながら116イニングを投げ、投球回を上回る126奪三振を記録。高卒新人離れした投球を見せた。続く2015年から本格的にクローザーに転向すると、同年は72.1イニングで103奪三振。33セーブを挙げて防御率0.87と、若くして球界屈指の守護神と呼べるだけの成績を残した。

 2016年は防御率3.32とやや成績を落としたが、2017年は防御率1.20と安定感を取り戻して3年連続となる30セーブ以上を記録した。2018年には中継ぎへの配置転換も経験したが、9月に史上最年少で通算100セーブを達成。2019年には防御率1.94と前年の不振を払拭し、キャリア最多の38セーブで自身初の最多セーブのタイトルを獲得した。2020年は先発に転向した影響もあってわずか2セーブ。抑えに復帰した2021年は、故障の影響で24セーブも防御率0.63と快投した。

 松井裕はキャリアを通じて防御率3点台と1点台以下のシーズンを1年ごとに繰り返す、いわゆる隔年投手の傾向があった。しかし、2022年は防御率1.92と前年に引き続いて安定した投球を見せ、長年のジンクスを払拭。自身2度目の最多セーブのタイトルも獲得し、リーグを代表するクローザーであることを改めて証明している。

通算与四球率4.18も…今季は2.31と大きく改善している

 松井裕の代名詞ともいえる奪三振の多さは、指標の面においても如実に表れている。先発とリリーフを兼任していたプロ1年目の2014年の時点で、奪三振率は9.78と優秀な水準にあった。2年目の2015年から2022年まで、実に8年連続で奪三振率10.00以上を記録。通算奪三振率は11.83と、まさに圧巻の数字となっている。2022年は14.46、2023年は14.66と近年はさらに奪三振率が向上。その投球がさらに凄みを増していることは、これらの数字からもうかがい知れる。

 一方で、通算の与四球率は4.18とかなり高い数値となっており、制球面は明確な弱点となっていた。それでも、通算の被打率は.187と痛打を浴びるケースは少なく、最終的には相手打線を力でねじ伏せてしまうところに凄みがある。ただし今季は与四球率が2.31と大きく改善を見せており、WHIPも自己ベストの数字を記録している。それに伴い、一般的に3.50を上回れば優秀とされる「K/BB」は、6.33まで向上。今なお進化を続けていることが、こうした指標からも読み取れる。

 200セーブ到達者をみてみると、20代のうちに達成したのは松井裕と山崎康晃投手の2人のみ。裏を返せば、松井裕と山崎を除く多くの投手が、200セーブを達成した時点ですでにベテランの域に差し掛かりつつあったということになる。3番目に若い30歳6カ月で200セーブを記録した佐々木氏がその後も活躍を続け、日米通算381セーブと、ひとつの目安となる250セーブを優に超える数字を残した点は、松井裕にとっても好材料となりそうだ。

 その一方で、藤川球児氏は31歳8カ月で通算200セーブを達成したが、大リーグ挑戦後に故障を経験したこともあり、日米通算245セーブとわずかに大台に届かず。小林雅英氏は32歳2カ月で同記録を達成したものの、2008年の大リーグ挑戦後はわずか7セーブの上積みにとどまった。サファテ氏は7シーズンで229セーブと圧倒的なペースでセーブ数を積み上げ、外国人選手としては史上初の通算250セーブ達成も濃厚と思われていた。しかし、2018年の序盤に股関節を故障し、それ以降は1軍での登板を果たせず。大台まであと16セーブに迫りながら、惜しくも名球会入りは果たせなかった。

オリ平野佳は史上最年長38歳2か月で200S、日米通算250Sなるか

 ただし、ベテランになってから数字を伸ばした投手たちも存在している。高津氏は33歳5カ月で通算200セーブに到達したが、そこから日米通算で113セーブを上積み。NPBでの登板は2007年が最後となったが、その後も韓国や台湾のプロリーグや日本の独立リーグで好投。大ベテランの域に達してからも、その実力を各地で示し続けた。

 岩瀬氏は史上3番目に遅い34歳6カ月での200セーブ到達となったが、それ以降も408試合に登板し、207セーブを記録。大卒社会人でのプロ入りと年齢的には不利だったことを考えれば、43歳まで現役を続け、通算1002試合登板と407セーブという2つのNPB記録を樹立した事実は、まさに驚異的と形容できる。史上最年長となる38歳2カ月で通算200セーブを達成した平野佳寿投手は、その後も守護神として奮闘中。史上最年長で日米通算250セーブを達成する可能性も十二分にあるはずだ。

 抑えはチームの勝敗に直結する役割となるため、失敗が続くと短期間で配置転換されるケースが多い。登板過多の影響による勤続疲労の影響も含めて、250セーブに達するまで抑えの座を守り抜くことは、非常に難しい。その点、松井裕の場合はシーズンごとの波こそあれど、安定してセーブ数を積み上げ続けている点は強みだ。年間60試合以上に登板した回数も2度のみと、登板過多に陥ったシーズンも多くない。さらに、近年における奪三振率と制球力の向上に示されているように、今なお進化を続けている点も見逃せない要素だ。

 今後も守護神の座を守り続け、通算250セーブの大台に到達することができるか。近年のNPBを代表するクローザーといえる存在でもあるだけに、250セーブという数字を通過点とできるような、今後のさらなる活躍にも期待したいところだ。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)