日本ボクシング界の若大将、中谷潤人(M・T)とアンドリュー・マロニー(オーストラリア)のWBO世界スーパーフライ級王座決定戦が20日(日本時間21日)、ラスベガスのMGMグランドで開催される。中谷が2階級制覇を達成するか、試合の展開を予想し…

日本ボクシング界の若大将、中谷潤人(M・T)とアンドリュー・マロニー(オーストラリア)のWBO世界スーパーフライ級王座決定戦が20日(日本時間21日)、ラスベガスのMGMグランドで開催される。中谷が2階級制覇を達成するか、試合の展開を予想したい。

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WBOの指名挑戦者である中谷は、正規王者である井岡一翔(志成)への挑戦権を持っていた。この試合が実現すれば、日本人同士のビッグファイトになるところだった。しかし、井岡が昨年暮れに引き分けたジョシュア・フランコ(アメリカ)との再戦を望んで、WBOタイトルを返上してしまった。ファンとしてはがっかりな展開となったが、近い将来、ふたりが統一戦でグローブを交える可能性もある。ここは中谷にすっきりと勝ってもらいたいところだ。

■マロニーはストレートを武器するファイター

マロニーの戦績は25勝(16KO)2敗。WBAの同級タイトルを獲得したことがある元チャンピオンだ。中谷がライトフライ級から上がってきたのに対し、マロニーはキャリアの前半、バンタム級で戦っていた。中谷は常に体格的に有利な状況で戦ってきたが、今回はイーブンになりそうだ。

アンドリューの双子の兄ジェイソンも元世界チャンピオンで、井上尚弥(大橋)と対戦したことは記憶に新しい。顔はそっくりだが、ファイティング・スタイルは異なる。ジェイソンがきれいなアウトボクサーであるのに対し、アンドリューはストレート系のパンチを主体とするファイター。積極的に前に出て、速い連打でプレッシャーをかける戦法を得意としている。

2019年に獲得したWBAのベルトは、2020年6月の初防衛戦に失敗して手放したが、このときの相手が井岡のターゲットであるジョシュア・フランコだった。判定が際どかったためにダイレクトリマッチとなり、今度はフランコの目の傷をめぐって無判定試合に。その結果、第3戦が行われたが、ここでも判定で敗れた。

■アッパー、フックで中盤から後半のKO決着か

中谷の戦績は24戦全勝(18KO)。フライ級では圧倒的な強さを見せつけて、WBOタイトルを2度防衛した。しかし、階級を上げた初戦で、フランシスコ・ロドリゲス・ジュニア(メキシコ)にやや手を焼いた。強引に距離を詰められてパンチをもらう場面もあった。

しかし、同じファイターでも、中谷にとってモロニーは戦いやすい相手といえる。ワンツーで入ってくるところに長い右ジャブを当てるシーンを思い描くことができる。また、最近の試合では、接近戦にも磨きがかかっている。中谷のアッパー、フックが当たり、中盤から後半にかけてKOのチャンスがくるとみる。

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著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。