「X Games Chiba 2023」BMXフリースタイル パーク種目がZOZOマリンスタジアム(千葉県千葉市幕張)にて2023年5月12日(金)~13日(土)に開催され、アメリカ合衆国のダニエル・サンドバル選手が金メダル獲得、日本代表と…

「X Games Chiba 2023」BMXフリースタイル パーク種目がZOZOマリンスタジアム(千葉県千葉市幕張)にて2023年5月12日(金)~13日(土)に開催され、アメリカ合衆国のダニエル・サンドバル選手が金メダル獲得、日本代表として出場した中村輪夢選手(所属:ウィングアーク1st)は惜しくも7位となった。

また最終日14日(日)に開催された同競技のベストトリック種目ではオーストラリアのライアン・ウィリアムズ選手が金メダル、そして今回パーク種目の金メダリストとなったサンドバル選手が銀メダルを獲得した。

パーク決勝当日の13日は雨天の影響による苦渋の決断で中止となり、今回は予選の順位が最終リザルトとして採用されることとなった。なお順位を決めた予選の競技フォーマットは45秒間のランを2本走行した後、良い得点のランが採用されるベストラン方式で、招待選手全15名により争われた。

なお加えて今回のフォーマット上での大きな変化は実際にスコアが表示されるということで、高難度トリックやセクションの使い方でどう配点が変わるのかが選手たちにも想像しやすくなる中、各々のスタイルと大技が光る「まさにX Games」というような独特な雰囲気の戦いが繰り広げられた。

またX Gamesのもう一つの魅力は、オリンピックや他の国際大会とは異なるコースレイアウトで大会ごとにコンセプトに沿った特徴的なセクションが用意されること。今回も日本開催ということから富士山をモチーフにしたトランジションや寺社を模したセクションも用意され、より選手たちがどのようにセクションを活用して観客に魅せるライディングするのかが注目された。

以下は、今大会各種目入賞選手3人と日本代表中村輪夢選手の大会リポート。

パーク種目は雨天により予選順位が最終リザルトになるもサンドバルが圧倒的なトリックバリエーションで優勝。中村はトリック出しきれず7位に。


ダニエル・サンドバルのライディング
photograph by Brett Wilhelm/X Games

今回見事金メダルを獲得したのは、過去にX Gamesで1つの金メダルと3つの銅メダルを持つ通称「トリックマシーン」ダニエル・サンドバル(アメリカ合衆国)。その呼び名の通り常に新たなトリックを生み出しては我々に披露してくれる彼は、ラン1本目で「フレア・テールウィップ」や「360・テールウィップ ・トゥ・ダウンサイドテールウィップ」などの高難度トリックを交えた豪快なランで80.66ptをマークして暫定3位の位置を奪取。


ダニエル・サンドバルのライディング
photograph by Brett Wilhelm/X Games

そしてそのまま暫定3位で迎えたラン2本目は身体が温まってきたのか更にギアを上げた。なんと空中で3Dの動きで2回転する超大技「ダブルフレア」を皮切りに、1本目で魅せた「360テールウィップ to ダウンサイドテールウィップ」、そしてフレアを派生させた「フレア・540」など高難度トリックの中でのバリエーションの多さも見せつけて87.00ptをマーク。

本来は翌日に決勝が予定されていたが雨天のため惜しくも中止。予選の順位を最終リザルトとしたが、天候をも味方にして見事金メダルを獲得したサンドバルは今回で自身2つ目のX Games金メダルを本国に持ち帰る形となった。


ローガン・マーティンのライディング
photograph by Brett Wilhelm/X Games

準優勝は通称「ミスターパーフェクト」のローガン・マーティン(オーストラリア)。昨年のX Games Chiba 2022」の勝者であり、ディフェンディングチャンピオンとして今大会を迎えた彼は、ラン1本目で「バースピン・トゥ・720」をファーストトリックにチョイス。その後は「フレア・バースピン」「フレア・ダウンサイドテールウィップ」「フレア・540」などフレアのバリエーションを次々と披露。86.00ptをマークして暫定1位に躍り出た。

またサンドバルに1位の座を譲った状態で挑んだラン2本目では、その座を取り返すべく1本目のランのトリックに加えて、逆回転の「トリプルテールウィップ」や「バックフリップ・テールウィップ」などをメイクするも、86.33ptとサンドバルには一歩及ばす2年連続の金メダル獲得とはならなかった。


ローガン・マーティンのライディング
photograph by Brett Wilhelm/X Games

3位は、今回X Games初出場のマーカス・クリストファー(アメリカ合衆国)。元々BMXレースを背景に持つ彼はスピーディーのライディングの中で繰り出すトリックが特徴だ。ラン1本目で富士山セクションを使った豪快な「トリプルダウンサイドテールウィップ」や、ディープエンドから寺社セクションのルーフトップへのトランスファーなど大きくセクションを使っていく。

その後は自身のオリジナルトリックでもある「フレア・バースピン・トゥ・ルックバック」もメイクし83.66ptをマーク。暫定2位で1本目を終え、ラン2本目では転倒があり得点を伸ばせずも表彰台の座を守り切り、見事銅メダルを獲得した。


マーカス・クリストファーのライディング
photograph by Naoki Gaman/X Games

今回、日本人唯一の招待選手として参加した中村輪夢はラン1本目と2本目を通して翌日の決勝(雨天中止になってしまった)を見越したライディング。
寺社セクションのルーフトップからの「270のドロップオフ」で始めたランは全体的にフローを意識した形。自身の強みである回転系の「720・バースピン」や、ハイエアーを活かした豪快な「フレア」をメイクするも7位で大会を終えた。きっと決勝ランのために取っておいた超高難度トリックもあったはずなので大変悔やまれる今大会となったことだろう。

ベストトリックはその名の通り、選手自身のトリックの極限を争う戦い


屋根の上に飛び乗るライアン・ウィリアムスのフロントフリップ
photograph by Naoki Gaman/X Games

大会最終日に開催された同競技のベストトリック。前日に行われた通常のラン種目とは違い、一発のトリックの難易度が競われるこの種目ではまたBMXフリースタイル史に新たな歴史の1ページが刻まれた世紀の一戦となった。

今大会の競技フォーマットは20分のジャムセッションの中でのベストトリック採用方式で8名の招待選手が出場。なお今回は日本の中村輪夢や東京五輪金メダリストのローガン・マーティンは出場しない代わりに、本種目だけの出場選手として、大会連覇中でかつ世界初のトリックの記録を次々と更新し続けるライアン・ウィリアムスが参加した。

以下は入賞者3名が魅せた特に印象に残ったベストトリックを紹介。

まずは今回、世界初のトリックをメイクし優勝したライアン・ウィリアムス(オーストラリア)のライディングから、今回一の会場の盛り上がりを起こした「900フレア」を紹介。その回転数は驚愕の3回転半。ウィリアムスは長年キックスクーターでのトップ選手として活躍しておりこのトリックは元々スクーターでメイクしていた技。今回なんとスクーターでの初メイクから10年越しにBMXでメイクしたそうだ。彼の努力の結晶が詰まった超大技がこれだ。


ライアン・ウィリアムスの900・フレア
photograph by Jason Halayko/X Games

そしてパーク種目の金メダルに引き続き、本種目で銀メダルを獲得したダニエル・サンドバル(アメリカ合衆国)が3本目にメイクした「フレア・トリプルテールウィップ」。まるで身体が真っ逆さまになるような姿勢から繰り出される超大技。ただでさえ3Dの斜め重心の回転でのメイクが難しいフレアの中にバイクを3回転させるという想像がし難いトリックを面ピタのペダルキャッチでやってのけた。


ダニエル・サンドバルのフレア・トリプルテールウィップ
photograph by Brett Wilhelm/X Games

最後は今回自身初のX Games銅メダルを獲得した、キーラン・ライリーが1本目に出した「クアッドテールウィップ」。バイクを4回転回すのが超高難度であるにもかかわらず、それをボールのクオーター部分でメイクし、しかも綺麗なペダルキャッチで締めた彼の技術に脱帽だった。


キーラン・ライリーのクアッドテールウィップ
photograph by Brett Wilhelm/X Games

もちろん入賞争いに加わらなかっただけで他の5名の選手のトリックも個性と難易度が掛け算になったカッコいいトリックの数々をメイクしており、改めてBMXフリースタイルのトリックレベルの進化を実感させられた大会だった。

大会結果

フリースタイルパーク種目
左からマーティン、サンドバル、クリストファーの順
photograph by Brett Wilhelm/X Games

優勝 ダニエル・サンドバル / アメリカ合衆国
準優勝 ローガン・マーティン / オーストラリア
3位 マーカス・クリストファー / アメリカ合衆国
4位 ジャスティン・ドーウェル/ アメリカ合衆国
5位 ホセ・トーレス / アルゼンチン
6位 ケビン・ペラザ / メキシコ 
7位 中村 輪夢 / 日本 
8位 キーラン・ライリー / イギリス

フリースタイルパークベストトリック種目
左からサンドバル、ウィリアムス、ライリーの順
photograph by Brett Wilhelm/X Games

優勝 ライアン・ウィリアムス / オーストラリア
準優勝 ダニエル・サンドバル / アメリカ合衆国
3位 キーラン・ライリー / イギリス 
4位 ジャスティン・ドーウェル/ アメリカ合衆国
5位 パット・ケイシー / アメリカ合衆国
6位 ジェレミー・マロット / アメリカ合衆国
7位 ケビン・ペラザ / メキシコ
8位 マイク・バーガ / カナダ 

大会概要

⼤会名称 : 【X Games Chiba 2023】 
開催期間 : 2023年5月12日(金)~14日(日)- 3日間 – 13日(土)は雨のため中止
※詳細は公式HPをご覧ください。
大会会場:ZOZOマリンスタジアム (千葉県千葉市美浜区美浜1)
主催:X Games Japan組織委員会(株式会社XGJ、株式会社イープラス、株式会社ライブエグザム、株式会社CB、株式会社J-WAVE)主管:千葉市
後援:千葉県、一般社団法人ワールドスケートジャパン、一般社団法人日本スケートボーディング連盟、一般社団法人全日本フリースタイルBMX連盟、一般財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会、一般社団法人TEAM JAPAN MX PROJECT、Bayfm
協賛:Monster Energy、HUF、INSTYLE GROUP、X-mobile、ムラサキスポーツ
協力:X Games Japan 千葉後援会、読売新聞社

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