オリックス、巨人でプレーした鈴木優さんは現在米国留学中 オリックスと巨人で投手としてプレーし、昨季限りで現役を退いた鈴木…
オリックス、巨人でプレーした鈴木優さんは現在米国留学中
オリックスと巨人で投手としてプレーし、昨季限りで現役を退いた鈴木優さんは現在、米国に約2年の予定で留学中だ。現地で感じた“ベースボール事情”を、不定期でレポートしてくれることになった。今回は大谷翔平投手の所属するエンゼルスの本拠地、米カリフォルニア州の「エンゼル・スタジアム」を訪れて感じたことを伝えてくれた。
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前回はメジャー球場の雰囲気やグルメを紹介した。今回の記事では「試合」について書いていきたい。
まずは審判と選手の関係についてだ。日本では審判と選手が話すことはあまりない。厳しく審判と選手が分けられているというイメージ。対してアメリカでは、両者ともフレンドリーだ。
もちろんプレーに関しては厳しく正確にジャッジするのだが、イニング間は談笑する姿が見られるなど、お互いに近い距離感で“敬意”を持って接している。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも、大谷翔平選手が審判と頻繁にコミュニケーションをとる場面があった。とてもこれはいいことだと思う。お互いに尊重しあいながら、いい関係を築けたらと感じた。
そして数年前から行われているピッチャーへの、松やになどの粘着物質をつけていないかのチェックだ。行われていることを知ってはいたが、現地で見ていると、思っていたよりも回数が多い。先発ピッチャーも1回ではなく、投げている間に2、3回はチェックされている。リリーフは抑えてベンチへ戻る投手にほぼ行われ、クローザーへは登板前に行われている。
チェックされる選手はもう慣れたもので、審判が近づいてくると自らグローブ、帽子を取る。たまに、少しふざけて笑いながら服を脱いだりベルトを取ろうとしたりとする選手も見られるなど、ルールということで素直に認め実行している。
日米のルールで「もっとも違う」と感じるのがピッチクロック
日本では使われているボールの質がいいため、そういうものをつける選手はいないが、メジャーリーグで使われているボールを実際に触ってみると、日本に比べ滑りやすい印象を受ける。よって公式に使われるロジンバックも日本に比べるとベタベタするため、選手が別に“工夫”するのもわからなくはない。しかし実際にこのルールができたことにより、投球の平均回転数が下がったというデータもある。選手が故意に粘着物質を使わなくなった証拠であろう。
一番ルールとして違うと思ったのが、今年から導入されているピッチクロックだ。投手はランナーなしでは15秒以内、ランナーありで20秒以内に投球しなくてはならない。もし過ぎた場合は1ボールが宣告される。また打者は、残りが8秒になるまでに打撃態勢に入らなくてはならない、もし過ぎた場合は1ストライクが宣告される。
シーズン前のオープン戦のデータで、平均の試合時間が2時間半程度と昨年までの平均約3時間から30分も短くなっている。シーズンに入ってからも、点を両チーム取り合う展開で3時間ほど。また、投手戦になると2時間15分ほど、延長に入った試合でも3時間を切るなど結果は顕著に出ている。
野球というスポーツは米4大スポーツの中で唯一、時間制のスポーツではない。そのため他に比べ試合時間が長い傾向にある。私がプロ野球にいた時、日本でもファン離れを防ぐために試合時間を短縮するにはどうしたらよいか選手会などで議論されていた。ここまでメジャーで成功していることを考えると、日本でも近い将来の導入が予想される。
野球を見ている人の、一番試合で気になる部分が「試合時間の長さ」というアンケート結果も出ているので、これからより野球界を盛り上げる方法としても良いルールになりそうだ。
試合時間短縮の裏で…投手の目から見たいくつかの問題点
ただ、ピッチクロックについて気になった点も書いていきたい。
まずはピンチの場面での、投手の気持ちの切り替えにくさである。ピッチクロックがあることで、気持ちを落ち着かせる時間をなかなか取れないないように見える。よって流れを切ることができず、大量失点につながりやすいのではないだろうか。
見に行った試合でも1イニングに簡単に3、4点入るなど、大量得点を許す確率が去年に比べて上がっているのではないかと思った。データをまだ見られていないので、また調べてみたい。
そしてもうひとつは、ピッチクロックを守れたか、守れていないかという細かい判断が、主審の“さじ加減”1つになることだ。
ピッチャーが投球までに許された時間を超える事はあまりないが、バッターが残り8秒にまでに打撃態勢を取らなくてはいけないところが少し“あやふや”になる。
試合を見ていても2、3回、時間を超えたと判断され、ストライクがコールされていた。審判によって少し甘かったり、厳しかったりという違いも出やすそうだ。
大事なチャンスの場面で打席に入るのが遅く、何もしていないのに1ストライクになり、簡単に三振を喫してしまった場面も実際にあったので、難しいところだ。
今回は特に気になった点を3つ挙げたが、他にも野手の極端なシフト守備の禁止、各ベースのサイズの拡大、ピッチコムの使用、ワンポイントリリーフの禁止、延長に入った際にはランナー2塁から始まるなど日本と異なるルールのところがあるのでまた試合をみて気になる点があったら紹介していきたい。(「パ・リーグ インサイト」鈴木優)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)