今年前半、大谷翔平に代わって日本ハムの話題を独占した近藤健介。しかし、故障で離脱となった。■今季打率.407、出塁率.560と驚異の数字を残していた近藤 今年前半、大谷翔平に代わって日本ハムの話題を独占した近藤健介。しかし、故障で離脱となっ…

今年前半、大谷翔平に代わって日本ハムの話題を独占した近藤健介。しかし、故障で離脱となった。

■今季打率.407、出塁率.560と驚異の数字を残していた近藤

 今年前半、大谷翔平に代わって日本ハムの話題を独占した近藤健介。しかし、故障で離脱となった。

 チームの試合数が「67」に達した6月25日を最後に、打撃ランキングから姿を消した。近藤の今季成績は210打席150打数61安打3本塁打28打点56四球、打率.407、出塁率.560という破天荒な数字だった。

 故障で戦線離脱しても、早期に復帰できれば、史上初の4割挑戦、出塁率新記録はまだまだ見込みがあったが、近藤は椎間板ヘルニアの手術を6月28日に受けた。全治3か月。復活できるのは、シーズンが終了を迎える時期だ。ポストシーズンに間に合うかどうかは微妙だが、少なくとも今季の「4割挑戦」は、ここで終わってしまった。

 しかし200打席を超えて4割というシーズン成績も空前の記録である。NPB史上、シーズン50打席以上立って、4割以上の打率を残したのは過去に2人しかいない。

宮川孝雄(広島)1972年 62打席52打数21安打 打率.404
鶴岡一成(横浜)2004年 60打席55打数22安打 打率.400

 宮川孝雄は代打の切り札として長年活躍。1972年は36歳のシーズンだったが、代打で殊勲打を連発した。打席にぎりぎりに立つことでも知られ、この年も4死球を得ている。

 昨年まで阪神でプレーした鶴岡一成は2004年、27歳で正捕手・相川亮二がオリンピックに出場している際にチャンスをつかんだ。打撃でも好成績を残し「打てる捕手」の評価を得た。近藤の今季の記録が破天荒なのは、このデータを見てもわかる。

■規定打席以下、100打席以上でのシーズン打率5傑は…

 次の一覧は規定打席以下、100打席以上でのシーズン打率5傑。

三沢今朝治(東映)1969年 117打席103打数39安打 打率.379
岡大海(日ハム)2016年 154打席131打数49安打 打率.374
高木由一(大洋)1983年 221打席195打数72安打 打率.369
笠原和夫(南海)1951年 233打席213打数78安打 打率.366
長谷川一夫(西武)1979年 144打席138打数50安打 打率.362

 三沢は駒沢大出身の左打ちの外野手。代打で好成績を残す。この年がキャリアハイ、のちにBCリーグ信濃グランセローズの社長になる。岡は昨年、規定打席未達で高打率をマークした。三沢、岡ともに近藤健介と同じ系統の球団の選手だ。高木、笠原、長谷川の3人も打撃が良い打者で、代打成績も優秀だった。近藤はこのままで終われば、このランキングでもトップに立つ。

 こういう形で球史に残ることは、近藤にとって不本意なことなのは間違いないが、今季の成績がフロックだと思われないためにも、故障を十分に直し、リハビリも入念に行って、来季に臨んでほしいものだ。(広尾晃 / Koh Hiroo)