■ホームの”みちのくダービー”で仙台が先行 この勝利は、大きい。 5月13日開催のJ2第15節で、ベガルタ仙台はモンテ…
■ホームの”みちのくダービー”で仙台が先行
この勝利は、大きい。
5月13日開催のJ2第15節で、ベガルタ仙台はモンテディオ山形と対戦した。仙台はここまで4勝5分5敗で13位、山形は4勝1分9敗の19位と、どちらも厳しい序盤戦を過ごしている。だからこそ、この“みちのくダービー”を浮上のきっかけにしたい、との思いは強い。
果たして、勝利への執念が序盤からぶつかり合った。
前半10分、右CKから仙台のFW氣田亮真がゴールネットを揺らすが、これはオフサイドで認められない。その後は古巣対戦となる山形のMF田中渉にポスト直撃の一撃を浴びるが、仙台は32分に先制する。
前線からのプレスで相手のビルドアップに規制をかけ、ボランチ鎌田大夢がアタッキングサードでボールを奪う。右サイドからのクロスはDFにブロックされるが、足元へ戻ってきたボールをていねいにマイナスへ通すと、氣田が右足でプッシュした。仙台の背番号18は、9試合ぶりの今季3ゴール目だ。
その後は山形に2度の決定機を許すが、GK林彰洋の好セーブなどで得点を許さない。仙台は1対0で折り返した。
■アディショナルタイムに猛攻を仕掛け…
ここ2試合勝利のない仙台は、後半も強度の高い守備を続けていく。早めの選手交代で反撃を試みる山形に、試合の主導権を渡さない。
ウノゼロの勝利が見えてきた85分、ユアテックスタジアム仙台に悲鳴と歓声が交錯する。山形のFW藤本佳希にオーバーヘッドを決められ、仙台は1対1に追いつかれてしまう。
このまま1対1の引分けに終わったら、仙台にとっては勝点1を取った試合ではなく、勝点2を失った試合である。同点では終われない。何としても、勝ち切らなければならない。
7分のアディショナルタイムに突入すると、仙台はアクセルをもう一度踏み込んだ。90+1分、途中出場のFW中島元彦の右足シュートがバーを叩く。中島はその直後にも左足で狙うが、これはゴールマウスを逸れていく。
90+2分、右SB真瀬拓海がペナルティエリア内右から左足で狙うが、相手GKに弾かれる。
90+3分、途中出場のMFフォギーニョがペナルティエリア内右でフリーになり、右足を振り抜く。枠を捕らるべき一撃が、大きく逸れてしまう。
際どいシーンが訪れるたびに、仙台サポーターの声援が大きくなる。残り時間は少なくなっていくが、勝利を諦める雰囲気は、ピッチにも、スタンドにもない。
そして、ドラマが生まれる。
90+6分だった。ペナルティエリア内右へ侵入した真瀬が、ゴール正面の中島へパスを通す。ファーストタッチをピタリと決めた背番号7は、正面から2人、左右からも2人がシュートコースを消そうとした直前に、左足を柔らかく振り抜く。コントロールされた一撃が、ゴール左上へ突き刺さった。
試合後のフラッシュインタビューに応じた中島は、「その前に2本外して、これはあかんなと。真瀬がいいとこに(パスを)くれたんで、絶対決めなあかんと思って。決められて良かったです」と、言葉を弾ませた。
ホームのユアスタで、みちのくダービーで、アディショナルタイム弾で、仙台は勝利をもぎ取った。浮上のきっかけとなる材料は、これ以上ないぐらいに揃っている。
それだけに、次の試合が大切だ。今シーズンまだ一度もない連勝を飾ることができれば、この勝利の意味はさらに大きくなる。