登里享平に抜かりはなかった。脇坂泰斗が退場になったその瞬間に、ベンチに猛然とダッシュした。 5月12日に国立競技場で行…

 登里享平に抜かりはなかった。脇坂泰斗が退場になったその瞬間に、ベンチに猛然とダッシュした。

 5月12日に国立競技場で行われた多摩川クラシコは、川崎フロンターレがFC東京に1-2で敗れる結果に。そんな試合のターニングポイントの一つが、オンフィールドレビューを経て脇坂にレッドカードが出た52分の場面だった。一人少なくなることで、当然のことながら選手の並びは変わらざるを得ない。その指示を鬼木達監督から受ける役割を自ら勝って出たのが登里だった。

「システムも変わりますし、そこら辺で、しっかりとやることもはっきりしますし」

 そう話す登里は「そこから我慢してから行かないといけないっていうのも思ってたので」と話す。数的に優位になったFC東京の攻勢を受けるのはやむを得ない。その上で川崎はまず1点を取る必要があった。難しい条件の中、最終的に鬼木監督は中盤を一枚削った4-3-2というシステムを採用して一人少ない試合を戦った。そんな試合終盤の戦いについて登里が説明してくれた。

「カミくん(上福元)を入れたビルドアップだとか、そういうのもできましたし」

 また、プレスを掛けてくる相手との駆け引きについて言及。

「相手もスライドしに来てて、それで相手のサイドバックも結構食いついてくるなと思いながら、駆け引きしながらポジション取って」

 その上で、「ダイヤ(遠野大弥)とかもいましたし、そうやって、動かしていければなと思っていました」とも話す。

■「負けてる時だからこそ、やらないといけない」

 数的不利の試合の中、登里は退場した脇坂が巻いていたキャプテンマークを、橘田健人が入る77分ごろまで引き継いでチームを牽引。その一環が、主審とのコミュニケーションだった。

「いつもそうなんですけど、やはりああいう展開で、(勝っているFC東京が試合終盤に)時間を使ってくるだろうし、そういった細かいところ、逐一、時間のところでコミュニケーションを取ったりとかで、そこは負けてる時だからこそ、やらないといけない。そういったところで、コミュニケーション取れればと思いました」

 結果的に同点ゴールは生まれなかったが、影で勝利のために最善を尽くした登里の姿勢はさすがだった。

(取材・文/江藤高志)

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