5月11日、FIFA U-20ワールドカップアルゼンチン2023に挑むU―20日本代表メンバーが開催地アルゼンチンに向…
5月11日、FIFA U-20ワールドカップアルゼンチン2023に挑むU―20日本代表メンバーが開催地アルゼンチンに向けて日本を飛び立った。欧州経由での長い時間を過ごす選手の中に、川崎フロンターレからも2人が選ばれている。MF永長鷹虎とDF高井幸大だ。
高井は現在18歳。この3月に高校を卒業したばかりだ。しかし、4月5日のルヴァンカップ・浦和レッズ戦で先発し、国内のプロ公式戦初出場を飾る。そして同15日には名古屋グランパスとのJ1リーグ戦でも先発出場。以降、リーグ戦では5試合連続でフル出場している。
18歳にして川崎の主力選手になったことで世界大会に挑むが、5月9日の練習後に取材対応した鬼木達監督は「やっぱりうれしいですよ。いい経験してほしいですし、しっかり結果も求めながらやってほしい」と目を細める。結果を求めるのは、「たとえば(フル代表の)ワールドカップに出た時に、チャレンジだけじゃないものがある」からで、今後、さらなる大舞台で活躍してほしいからこそ「そういう責任感を持ってやってほしいなと思います。もちろん楽しんでほしいですけど」と話す。
永長鷹虎も含めた2人にかけたい言葉は、「思い切ってやって来い」。「彼らにしかできないようなものというか、見せられないようなものを見せてほしい」と思うからで、それは「個の顔が見える選手であってほしい」という親心を持っているから。
そして、「毎日トレーニングしているのはここ(麻生グラウンド)なので、ここのモノがどのぐらい世界で通用するのかっていうのは、自分たちの物差しにもなるので。そこは、よりチャレンジしてほしい」とも言う。
■「強い相手とやることを楽しんでいる」
高井について鬼木監督は、「やってやろうっていう気持ち」が強いと話す。試合に1回出れば、「このチャンスを逃さないように」という思いを前に出してプレーしているという。しかも、「試合に出る前から自信は持っていましたよ、たぶん。彼はそういうタイプなんで」とも話した。
加えて、試合に出続けることで、「より自信を確信に変えていっている感じはあります」。「本当にいいメンタリティを持っている。強い相手とやることを楽しんでいるというか、Jリーグの中でもそういう感じをすごく受けるので、頼もしい」。リーグ優勝4度を誇る鬼木監督にそう思わせるほどの高井から発せられる雰囲気は、相手にとっても嫌なことであり、「おどおどしていないのは、ディフェンスの選手にとって大事なこと」とも分析する。
ちなみに、試合のピッチの上での姿とは違って、練習場での高井は常にひょうひょうとしていて、猪突猛進や遮二無二といった言葉で表されるような、分かりやすく気持ちの強さを出すタイプではない。鬼木監督が、強い気持ちと何度か言葉にしていたので、それについて聞いてみたところ、「その感じです。その飄々とした感じ」と笑顔を見せたうえで、次にように言葉を続ける。
「18(歳)ですからね。そこがやっぱりすごいんじゃないですか。ふつうはいろんなことを考えてしまうと思うんですよね。チームの状況とか、若い選手はそこまでは考えないにしても、たとえば力のある選手と一緒にゲームに出てるか、とか。グラウンドの中に入れば、先輩や後輩はないですけど、それでもやっぱり気にしちゃうのが人間だと思うんですよね。でも、そういうものも気にせずやれているというか。そこは彼の一つの特徴かなと思う」
5月9日の練習後にU-20ワールドカップに向けての気持ちを高井に聞いていると、フイに永長鷹虎と「お菓子をいっぱい持っていこう」と話していたこと明かし、報道陣の笑いを誘った。大舞台を前にも平静を保てていることが、この一例にも表れている。ちなみに、高井がすでに持っていくと決めているのは『ルマンド』。『コアラのマーチ』(ロッテ)も一緒に挙げてほしかった筆者が、小さく思えてしまった。
■「サッカーの表裏一体のところ」
さらに鬼木監督は、すでにピッチの上でも隠すことなく披露している攻撃面についてもこう続ける。
「ディフェンスの選手ですけど、やっぱり攻撃が好きっていうのが他の選手とちょっと違うところを生んでいる要素でもあると思うんですよね。そういう選手って、各チームに一人ぐらいはいると思うんです。そういう、ボールを上手につないでいく選手とか、(CBで)チャレンジする選手って、“軽い”って言われがちですけど、でもそこがサッカーの表裏一体のところというか。そこを通したら一気に変わっていくというリスクをしっかり分かっている。それが面白味でもあるのかなと思います」
高井は、今年の沖縄キャンプの時点で自身の憧れにして目標をオランダ代表DFファン・ダイクとしており、その理由を攻撃面で挙げていた。それは、リーグ戦が始まってからも変わっていない。
「守備の選手ですけど、多分、点を取りたいと思っている選手なので。それが魅力ではあります」と、鬼木監督は、「多分」という言葉を使ってこうも説明していたが、指揮官に話を聞く20分前に、高井はまさしく得点について意欲を語っていた――。