石川祐希のAttack The World vol.4(vol.3:「本当にあと一歩」だったプレーオフ準決勝敗退に>>) イタリア1部リーグのミラノでプレーオフを戦った石川祐希は、3位決定戦で敗れて4位に終わった。決勝に手が届きかけていただ…

石川祐希のAttack The World vol.4

(vol.3:「本当にあと一歩」だったプレーオフ準決勝敗退に>>)

 イタリア1部リーグのミラノでプレーオフを戦った石川祐希は、3位決定戦で敗れて4位に終わった。決勝に手が届きかけていただけに悔しさが残る結果となったが、4位はイタリアで過ごした8季で自己最高位。クラブとしても過去最高順位という結果を残した。

 プレーオフ準々決勝ではレギュラーシーズン無敗のペルージャを撃破し、準決勝では昨季王者のチビタノーバと激戦を繰り広げたチームの中心として躍動。確かな足跡を残した石川には手応えと自信、そして新たな課題が見えている。



今シーズンを4位で終えたミラノの中心選手として活躍した石川

【体と心のタフさが足りなかった】

――3位決定戦は3戦ともストレート負けでした。粘り強く戦うミラノらしさをなかなか出せず、厳しい試合展開が続きましたね。

「準々決勝、準決勝ですべてを出しきってしまっていました。心と体のタフさがまだ足りなかった。決勝が本当にあと少し、間近なところに見えていた準決勝で負けてしまい、がっくりきていました。力を出しきった感じもあったので、そこから切り替えるのが難しかった。僕自身もパフォーマンスを全然上げられなかったので、そこは課題です」

――3位決定戦の第3戦、第3セットの21-24で石川選手にサーブが回ってきました。相手のマッチポイントでのサーブで、結果的にアウトになって相手に得点を与えて試合が終わりました。どのようなことを考えていましたか?

「サーブが回ってくるだろうなと予想していたので、準備はしていました。あの点数から逆転するなら、しっかりいいサーブを打つしかないと思いながら準備に入りました。ミスになったのは、自分自身にタフさがなかったからです。あの場面で、あの時の心と体の状態で活躍するためには、もっとタフじゃないといけない。どんな状況でも、疲れとかを考えずにプレーできるようにならなければいけないと思いました」

――準々決勝、準決勝と激闘を10試合やったあとだったので、コンディションを整えるのも苦労したのではないでしょうか。

「そのとおりです。準々決勝のペルージャ戦も足をつりながらプレーしていました。準決勝のチビタノーバ戦は、気持ちで自分自身を奮い立たせるしかなかったです。ミラド選手がケガをしてしまい、僕とメルガレホ選手しかサイドがいないなかで試合も練習もやっていたので、『限界に近かったのかな』という感じはします。

 それでも戦いきる強さ、タフさが上に行けば上に行くほど必要だと思いました。欧州チャンピオンズリーグに出ているペルージャやチビタノーバ、トレントでプレーしている選手は、やっぱりタフだなと」

【「もっと先に行きたい、もっと先に行ける」】

――今季の戦いを終えて、今の心境はいかがですか?

「すべての試合が終わったので、すっきりしている気持ちもあります。でも、今は決勝が行なわれているので、そういうのを見ると『ここに立てていたはずなのに』と悔しさがフラッシュバックします。準決勝の第4戦、4セット目で僕がしっかり1点決めておけば......とも思いますね。

 でも、そんなことを言ったらキリがない。スポーツは『強いチームが勝つ』んじゃなくて、『勝ったチームが強い』という世界。それを証明するために、もっともっとタフにならなければいけないですし、上を目指したいです」

――これまで過ごした7シーズンとは違った感覚でシーズンを終えたように見えます。

「違った感覚ではありますね。これまでは5位決定戦に回っていたので、ステージをひとつ上がることができました。新しいステージに一歩を踏み出すことができた。『もっと先に行きたい、もっと先に行ける』と思えたシーズンでした。また新しいスタートというわけではないですが、気持ちを新たに次に臨める気はしています」

――プロの世界なので、今季のメンバーで来季も戦うことはないですね。非常に仲がよく、まとまっているように見えたチームでした。今季のミラノのチーム、チームメイトについてどう感じていましたか?

「個人の技よりも、チーム力がある、チームで戦っていくスタイルでした。プレーオフに入って、メンバーが揃ってからは全員のパフォーマンスが高かったと思います。今季から新しく入ったメンバーもいましたが、リベロ、セッター、ミドルブロッカー、オポジットは2、3年一緒にやっているメンバーだったので、お互いにわかり合っていました。

 非常にやりやすかったですし、まとまっていました。バランスもよかったです。メルガレホ選手が後衛にいったら、レシーブでミラド選手が入ったりとか、ミドルブロッカーの3人で誰かが調子が悪かったら交代したりとか、うまく戦えていましたね。そういったなかで、個人のパフォーマンスをもっともっと上げられるといいのかな、と思いました」

【来季は絶対にファイナルへ】

――来年も、このメンバーで戦いたいという思いが湧くことはありますか?

「それはないです。この世界では、メンバーが変わるのが当たり前のことなので。また来季に集ったメンバーで、新しい目標に向かっていければと考えています。僕はもちろん上のチームに行きたい気持ちも持っていますけど、ミラノで4強に入りましたし、その先を目指せる自信もあります」

――今までのイタリアでのシーズンで、最もエキサイティングだったんじゃないでしょうか。

「間違いないです。こういう試合を何回も何回も経験していくことで強くなると感じました。このイタリアの地でベスト4に入って試合をすることは、なかなか味わえない経験です。そういう経験が僕を成長させてくれますし、成長のスピードも早くなると思うので、『やはりここは世界でトップのリーグだな』と実感しました」

――シーズンが終わったばかりですが、来季に向けての決意を聞かせて下さい。

「来季はリーグとコッパ・イタリアとCEVカップ(欧州チャンピオンズリーグに次ぐレベルのチームが揃う大会)があります。シーズンを戦う上でカギになるのは、今回で課題となったタフさ。タフさがなければ来季は勝てないと思っているので、そこに取り組んでいきたいです。

 CEVカップは絶対に優勝したい。コッパ・イタリアとリーグは今季、準決勝で負けたので、来季は絶対にファイナルに行きたいですね。そして優勝することを目標にして戦っていきたいです」

【プロフィール】