3年目を迎えた日本発、世界初のダンスリーグ「Dリーグ」は23日、サードシーズンのラストセットとなるチャンピオンシップを開催した。レギュラーシーズンとは異なり、各対戦から勝ち残る形式のトーナメント制で行われたチャンピオンシップ。ここではセカン…
3年目を迎えた日本発、世界初のダンスリーグ「Dリーグ」は23日、サードシーズンのラストセットとなるチャンピオンシップを開催した。
レギュラーシーズンとは異なり、各対戦から勝ち残る形式のトーナメント制で行われたチャンピオンシップ。ここではセカンドセミファイナルマッチから振り返ってみたい。
◆【前編】22-23シーズン最後のチャンピオンシップは初出場のカドカワ・ドリームズが初優勝
■カドカワドリームズが初優勝
2nd SEMI FINAL MATCH:KADOKAWA DREAMS vs. avex ROYALBRATS
レギュラーシーズン3位と2位の闘い。
先攻のカドカワドリームズのテーマは「スートラ(経典)」。鐘音で始まり念仏を思わせる音に乗せて静と動の緩急と迫力としなやかさを掛け合わせた“神力”をも連想させる完成度の高いヒップホップの可能性を押し広げたようなナンバーが届けられた。
対するはザ・エンタメ集団ロイヤルブラッツ。制服のジャケットを連想させる衣装で学校をネタにしたナンバー。学校の教室で使われる机を巧みに、そして軽々と使いこなし、ロイヤルブラッツならではのエンタメ性の高さが際立つ、見ていて愉しくなるナンバーが踊られた。
どちらも会場をしっかりと沸かせていたが、結果は8-4でカドカワドリームズの勝利となり、カドカワは初のファイナル進出を果たすこととなった。
FINAL MATCH:KADOKAWA DREAMS vs. CyberAgent Legit
いよいよ決勝。勝ち上がった2チームのうち先攻はカドカワドリームズ。フリンジのついた真っ白な衣装で爆発力のあるダンスが力一杯に踊られ、全ダンサーの気迫が胸に迫るナンバーとなっていた。
後攻はレギュラーシーズントップのレジット。レジットならではの緩急溢れる振り付けと巧みなダンスで観る者を釘付けにし、ブルーのスーツによる洒脱なナンバーが届けられたが、結果は8-4でカドカワドリームズに勝利の女神がほほ笑んだ。
これにより、Dリーグサードシーズン、チャンピオンシップはカドカワドリームスが優勝と相成り、ドリームスにはDリーグ代表の平野岳史氏から優勝トロフィーとDリーグCOOの神田勘太朗氏から賞金の3000万円が贈られた。
■各ダンサーの涙に見た未来
Dリーグを観戦するたび必ず思うことは、ダンサーの末席に身を置く筆者からすると、プロとはいえ2週間に一度巡ってくるラウンドのために各ナンバーを作り上げ、踊り込んで仕上げるというDリーガーの過酷さは凄まじいものに違いないということなのだが、試合後に神田氏も言っていたように、当然とはいえ、決勝トーナメントではたった1チームしか勝者になれないのだ。
優勝したカドカワドリームズはこの優勝も通過点であると思いを新たにしていたが、このような過酷なラウンドスケジュールにおいてチャンピオンシップまで勝ち残り、しかし、優勝には至らなかったDリーガー達が流した涙の美しさは忘れることができない。
そして、確実にファンを増やし熱量を上げているDリーグが、日本から世界へと広がっていく未来は、きっとすぐそこまで来ているのだろう。
2024年のパリオリンピックでの日本勢の活躍も強くリアルにイメージしながら、来シーズン、Dリーグ23-24の開幕を心待ちにしたい。
◆サードシーズンを制したCyberAgent Legitが圧巻のナンバーを披露 ラウンド12 前編
◆ラウンド11 Cyber Agent Legitがレギュラー・シーズンを制すが来たるチャンピオンシップを勝ち取るのは… 前編
◆うまいだけでは勝てない、ますます総合芸術の色合いを強めるDリーガーたち
著者プロフィール
Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター
『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。