横田久則氏は、台湾プロ野球に参入した「台鋼ホークス」の投手コーチに就任 台湾プロ野球は4月1日に1軍、4日に2軍が開幕し…

横田久則氏は、台湾プロ野球に参入した「台鋼ホークス」の投手コーチに就任

 台湾プロ野球は4月1日に1軍、4日に2軍が開幕した。その中で注目されるのは今季2軍に参入した第6の球団「台鋼ホークス(台鋼雄鷹)」だ。エクスパンション・ドラフトでの獲得選手や他球団の戦力外選手が数人加わっているが、昨年7月のドラフトで指名した選手約30人が主体で、平均年齢は20代前半。台湾プロ野球を運営するCPBL出身で、球界随一の「日本野球通」と知られる劉東洋GMが、投手陣の育成役として白羽の矢を立てたのが、近年はファームディレクターを務めていた横田久則氏だ。

 横田氏は西武、ロッテ、阪神で実働11年、26勝をあげ、2003年に兄弟エレファンツ(現・中信兄弟)に入団。初年度に164回2/3を投げ、16勝(3敗)で最多勝、翌2004年も140回1/3を投げ、9勝をあげ同年限りで引退した。2005年からは同チームで2年間投手コーチを務めた。帰国後は、独立リーグの富山で投手コーチと監督を、2012年からは西武で1、2軍の投手コーチ、ファームディレクターなどを歴任した。劉GMは「台湾の野球、選手、指導法を熟知している上、ファームディレクターの経験もあり、若いチームの指導者として適任」と語る。今年1月に就任した台湾球界一の名将・洪一中監督も、西武での経験を発揮してほしいと期待する。

 台鋼は1軍チームとの対戦となったリーグ主催のオープン戦1勝9敗で終えた。ただ、2軍公式戦ではここまで健闘している。4月4日の開幕戦では21歳の黄紹睿が6回2失点の好投をみせ、味全2軍を4-2で下すとそこから4連勝。12日まで4勝1敗と健闘している。特に先発投手がいずれも最低5回を投げ、試合をつくっている。開幕前に行った横田コーチのインタビューを紹介する。

――投手コーチ就任のいきさつ、決断の決め手について

「今後もライオンズさんでお世話になりながら指導を続けるのもいいかなとは思っていたんですが、今年56歳になる中、台湾の新しいチームのオファーをいただき、いろいろ挑戦してみたいなと。劉GMから選手の平均年齢が23歳と聞き、今まで自分がやってきたことで、何かお役に立てるんじゃないかなという思いで来ました。台湾に恩返しの思いもあります」

――自身の現役時代と現在の台湾プロ野球を比較して、投手のレベルの変化は

「レベルは上がっていると思います。当時は私たちを含め外国人に頼るところが大きかったんですけど、台湾人選手がかなり伸びてきてるという印象はもっています」

「限られた人材をいかに成長させるかが台湾球界に必要」

――WBC台湾代表は1次ラウンドのプールAで準々決勝進出を逃しました。台湾代表を指揮した統一の林岳平監督は「いかにして台湾球界全体で投手力を引き上げることができるかが課題」と指摘している

「台湾の選手が伸びていくことが、非常に大きなウエートを占めると思います。野球人口自体が少ない中、数ある能力の高い選手をいかにして伸ばしていくかは課題になってくると思います。僕もそこで貢献できれば、と思っています」

――オープン戦を振り返って

「やっと全体像が見えてきたかなというところです。1軍とのオープン戦の前、『これ全部負けるよ。それぐらいレベルが違うよ』と話していました。2軍公式戦でもなかなか厳しい戦いが続くのかなと思っています。最終的な目的は来季1軍に参入した中で勝つこと。そのためにどうやって選手を育てるかが目的です」

――台湾に来て3か月、選手に伝えてきたことは

「台湾はここ10年くらいアメリカの指導者が多くて“アメリカスタイル”だと言われたり、今年からは日本のコーチが増えて“日本スタイル”だとか言われていますが、そういうのは僕はあんまりピンとこなくて。僕が作りたいのはあくまで『台鋼雄鷹(ホークス)スタイル』、もっと言うなら“台湾スタイル”を育てていったらいい。限られた中で人材をいかに効率よく成長させていけるかというのが台湾野球全体に必要なこと。ある意味でのロールモデルになればいいなという思いです」

「アジアでもっと野球が盛り上がるようになったらいい」

――2軍の試合も、日本から視聴が可能です。日本のファンへのメッセージを

「今回のWBCでは大谷翔平選手の活躍が光り、盛り上がりを見せました。ただ、それでもワールドスポーツではないかな、というところもある中で、我々がアジアで何かうまくできればいいなっていう、そういう思いでいます。日本の皆さんも韓国や台湾、その他のアジアのチームにも注目していただいて、アジアでもっと野球が盛り上がるようになったらいいなと思っています」

 横田コーチの言葉からは台湾野球に対する深い思い、来季1軍で活躍できる投手を1人でも多く育てたいという意欲が伝わってきた。今季は1軍公式戦には出場しない台鋼の選手も、11月に開催される24歳以下の国際大会「アジアプロ野球チャンピオンシップ」代表メンバーの選抜対象となる。この秋、横田コーチが育てた投手が東京ドームのマウンドに立ち、日本はじめ各国の同世代のトップクラスの打者と対戦する姿を期待してほしい。

 また、各チームの2軍には、横田コーチのほか、楽天モンキーズに川岸強投手ヘッドコーチ、味全ドラゴンズに高須洋介打撃兼内野守備コーチ、富邦ガーディアンズに酒井光次郎投手コーチがおり、統一ライオンズの玉木朋孝守備コーチは1、2軍を巡回している。日本人指導者の奮闘も注目される。(「パ・リーグ インサイト」駒田英)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)