吉田は開幕後に一時打率低迷も…24日に2本塁打、25日は3安打の活躍 メジャーでは開幕から3週間が経過。各チームが20試…

吉田は開幕後に一時打率低迷も…24日に2本塁打、25日は3安打の活躍

 メジャーでは開幕から3週間が経過。各チームが20試合以上を戦い終え、投手も野手も一定程度の試合出場を重ねた。日本人選手を見ると、エンゼルス・大谷翔平投手が投げては無傷の3勝、打っても5本塁打と大活躍。ブルージェイズ・菊池雄星投手、メッツ・千賀滉大投手も3勝無敗と揃って好投すれば、カブス・鈴木誠也外野手は打率3割超をキープしている。

 その一方、開幕から本来の打撃を発揮できずにいたのが、レッドソックス・吉田正尚外野手だ。23日(日本時間24日)ブルワーズ戦では満塁弾を含む2発6打点、翌24日(同25日)のオリオールズ戦では3打数3安打の活躍で復調の兆しを見せている。日本では対戦相手の主軸として苦しめられながらも、その実力を「正尚は完璧に近い打者」と大絶賛する野球評論家の井口資仁氏は吉田の現状をどう見るのか。また、ロッテ監督時代にはトレードでの獲得も検討したというアスレチックス・藤浪晋太郎投手についても語った。

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 ようやく正尚らしい打撃が出ましたね。ブルワーズ3連戦の最終日に出た2本塁打は、どちらもリラックスした構えから力感のないスイングで運んだアーチでした。ここ2試合くらいはだいぶ自然体で打席に立てている感じがします。それまでは相当力んでいるであろう感じが伝わる構えでした。

 大型契約を結んだプレッシャー、開幕で4番打者を任された緊張感があったのか、思った以上に自分自身でストライクゾーンを広げてしまい、強引にバットを振っているところがありました。本来であれば、選球眼が良く、際どいボールはあまり振らない打者。カウントが良くなったところで、甘いコースに来たボールをフルスイングで仕留めるのが持ち味ですが、今季は初球からドンドン振っている感じでしたね。

日米の違いはタイミングのとり方「スイングを変える必要はまったくない」

 センター方向を中心に広角に打てる打者なので、力任せに引っ張ってしまっては良さが消えてしまいます。不調の長いトンネルに入ったら厄介だと思っていたところで、歯止めを掛けたのが10日(同11日)レイズ戦の左前打でした。左中間方向へ力強くいい打球を打てる打者なので、ああいう当たりが出ると復調のきっかけになるはずです。

 そして、22日(同23日)の2安打も大きかった。第1打席に打った三塁へのボテボテの内野安打に、第4打席の中堅手前に落ちる安打。ああいう当たりが出始めると、気持ちが楽になるでしょう。思った以上に早く復調の兆しが見えたのは、彼が十分な実力の持ち主である証拠とも言えます。

 米メディアでも「大振りをしている」と評論されていたようですが、レッドソックスは1番ベルドゥーゴが絶好調で、2番デバースはすでに8本塁打。3番ターナーも豪快なスイングが魅力の好打者なので、自分も長打が欲しくなってフルスイングが多くなってしまうも無理はありません。

 移籍1年目のこの時期は、対戦する投手はほぼ初見。さらにはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での活躍もあり、相手チームのマークは厳しい。思うような打撃ができないこともあるでしょうが、勝負の駆け引きはシーズンを通して行ったり来たりするところ。強引にいくと相手の思うツボなので、今までやってきた打撃をそのまま続ければいいと思います。

 日本とメジャーで大きく変わるのは、タイミングのとり方です。正尚は自分のスイングを変える必要はまったくない。完璧に近い打者だと思います。監督時代には対戦相手として何度も痛い目に遭いました(苦笑)。メジャーでは全体的に球速が少し速い分、タイミングが合わず、自分が思うほどしっかり真っ直ぐを弾き返せない部分があるのでしょう。試合を重ね、体と目が慣れてくれば、今まで通りドッシリとした感じを持って打席に立つことができるはずです。

監督時にトレードを模索した藤浪…4戦全敗で正念場「誰でもない、自分の力で」

 今後のキャリアを考えても、今、踏ん張りどころを迎えているのが藤浪(晋太郎)です。ここまで4戦4敗、防御率14.40。特に22日(同23日)のレンジャーズ戦は2回1/3を8失点と苦しみ、コッツェイ監督は中継ぎへの配置転換を決断しました。

 藤浪は対戦打者ではなく、自分に勝てていない感じがします。ストレートが抜けたり引っかかったり荒れてしまうので、腕と体が縦振りになって安定するフォークに頼る。首を振ってフォークを投げると、打者は待っていましたとばかりに打つ。こうした悪いパターンに自分で持ち込んでしまっているところがあります。

 ロッテの監督時代、トレードで藤浪を獲得できないか、球団に相談したことがあります。ストレート自体は勢いもあるし、いいものを持っている。一番の問題は、本人が自信を持って投げられていないことでしょう。ストレートの制球が荒れるのは本人も承知の上。それでも実際に試合で抜けたり、デッドボールを当てたりすると、なかなか次が攻めづらくなる。そうであれば、コーチも交え、バッテリー間で話し合い、配球を工夫すれば解決の糸口は見えてくるかもしれません。

 そもそもストレートが抜けるのであれば、真ん中からベースの外寄りを中心とした配球にしながら、外れたストレートが右打者のインコースにいく球になれば相手は嫌がる。制球が定まらないことを逆手に取り、内角を要求するのではなく、抜ける球を上手く使えるような配球ができれば、自信がついてくるのではないかと思います。

 今季の4試合を見ても全てが悪いわけではなく、15日(同16日)メッツ戦は6回までは1失点。7回先頭にソロ弾を浴びた後、四球を出して降板しましたが、ああいういいピッチングもできることに自信を持てばいい。この先もメジャーで投げ続けられるのか、正念場に立たされていますが、ここは誰でもない、自分の力で乗り越えなければいけないところ。期待も込めて、見守りたいと思います。(佐藤直子 / Naoko Sato)