2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦クロアチア・ラリーは23日、クロアチアの首都ザグレブを中心に最終日のデイ3が行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR)のエルフィン・エバンスが2…

2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦クロアチア・ラリーは23日、クロアチアの首都ザグレブを中心に最終日のデイ3が行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR)のエルフィン・エバンスが2時間50分54秒3で今季初優勝を飾った。

◆【前編】第4戦クロアチア・ラリー最終日 マーティンは事故死ブリーンに捧ぐ涙の勝利、トヨタのエバンスが今季初優勝

■オジエ対ロバンペラ

トヨタ勢は昨季王者カッレ・ロバンペラが4位、ラリー前までドライバーズ・ランキング1位のセバスチャン・オジエが5位。

オジエとロバンペラはデイ2で激しい4位争いを展開、オジエが2秒差でリード。しかしデイ3最初のSS17でベストタイムを刻んだロバンペラが4位の座を奪い、さらにSS19でもベストタイムを記録。最終的に9.7秒差でオジエを抑え、4位となった。なお、ボーナスの選手権ポイントがかかる最終の「パワーステージ」では、ロバンペラが2番手タイム、オジエが3番手タイム、勝田が4番手タイムを記録しました。その結果、ドライバー選手権ではオジエとエバンスが同ポイントでトップに並び、ロバンペラは彼らと1ポイント差の3位につけています。また、通常マニュファクチャラー選手権は1チームにつき3人をポイント獲得対象ドライバーとして登録することができますが、今大会ではブリーンが所属したヒョンデとの連帯の意味も込め、ロバンペラとオジエの2選手のみを登録。それでもTGRは29ポイント差で首位を守った。

今季まだ勝ち星のないロバンペラは「リザルトに関してはそれほど良い週末ではありませんでしたが、自分たちにできることはやれたと思います。セブと素晴らしいバトルができましたし、その戦いに勝つことができたことは悪くありません。もちろん、4位争いはしたくなかったですが、金曜日の時点ではそれが精一杯でした。この週末はいいスタートを切ることができず、セットアップで小さなミスをしてしまいましたが、その後クルマは良くなったので、チームに感謝します。パワーステージではハードにプッシュし、十分なポイントを獲得することができました」と前を向いた。

表彰台で事故死したクレイグ・ブリーンを偲ぶドライバーと関係者 (C) Red Bull Content Pool

ロバンペラとの4位争いに敗れた形のオジエは「厳しい1週間でした。スポーツの観点からは、もっといいリザルトを残すことができるペースがあったと思いますが、この週末は思い通りに行きませんでした。ただし、モータースポーツというのはそういうものです。今日はかなり苦労しましたが、カッレは本当に速かったですし、最終日に関しては彼ほどのペースが私にはなかったと言わざるを得ません。それでも、パワーステージは狙っていたのですが、誤ったタイヤ戦略をとってしまい、ステージ中に息を呑む瞬間が何度かありました。ですので、フィニッシュラインを通過し、チームにポイントをもたらすことができて良かったです」と冷静にラリーを振り返った。

TGRのチーム代表ヤリ-マティ・ラトバラは「ラリー界にとって厳しい1週間でしたが、もっとも重要なのは、クレイグが望んでいたに違いない、安全にラリーを行い、良い戦いをすることができたことです。私個人としては、エルフィンとスコットは、このような状況でこのラリーを制するにふさわしい、素晴らしいペアだったと思っています。彼らはクレイグの友人であり、スコットは以前クレイグのコ・ドライバーとして共に初表彰台を獲得しました。このラリーに臨むのは簡単なことではなかったはずですが、彼らは素晴らしい仕事をしましたし、勝利に値する戦いでした。再び優勝できたことは、彼らにとって大きな意味があると思います。また、カッレとセブが金曜日に問題に遭遇しながらも、チームに十分なポイントをもたらしてくれたことを嬉しく思います」と総括した。

次戦は5月11日に開幕する第5戦「ラリー・ポルトガル」。ポルトガル北部のマトジニョスを中心に展開される今季2回目のグラベル(未舗装路)ラリーとなる。ステージを1回目に走行する際は路面は砂に覆われているが、2回目の走行では砂が掃けて下から硬い岩盤や石が現れるなど、路面のコンディションが大きく変化するのが特徴だ。

■クロアチア・ラリー最終結果

1 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 2h50m54.3s 2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォード PUMA Rally1 HYBRID) +27.0s 3 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +58.6s 4 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m18.3s 5 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m28.0s 6 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m22.5s 7 ピエール=ルイ・ルーベ/ニコラ・ジルソー (フォード PUMA Rally1 HYBRID) +4m22.6s 8 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (シトロエン C3 Rally2) +7m51.3s 9 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m07.4s 10 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +9m16.7s

◆【実際の映像】ブリーン事故死後、優勝を飾り思わず顔を覆い涙するスコット・マーティン

◆ヒョンデのクレイグ・ブリーンが事故死 レース界が哀悼の言葉で埋まる 

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文●SPREAD編集部