4月23日、川崎フロンターレは等々力競技場で浦和レッズと対戦した。試合前に吉田明宏社長はサポーターの前で挨拶を行ったが…

 4月23日、川崎フロンターレは等々力競技場で浦和レッズと対戦した。試合前に吉田明宏社長はサポーターの前で挨拶を行ったが、その後、取材に応じた。

「皆さんと一緒に川崎を盛り上げていく」

 吉田社長の宣言に、サポーターはフロンターレコールで応えた。さかのぼること4月5日のルヴァンカップ浦和レッズ戦後の観客席に、横断幕が掲示された。地域密着活動の現状に対する抗議の内容が綴られていたが、声明発表を経て吉田社長が改めて自らの口で説明したことに対し、観客席から大きな声が鳴り響いたのだ。

 これまでの2週間、吉田社長は多くの人の話に耳を傾け、さらに、クラブ内でも若手やベテランに関係なく議論が重ねられた。その結果、「地域密着・地域貢献をやることが我々フロンターレのベースとなる」と結論が出た。

 だからこそ、地域担当者だけでなくクラブの社員全員で街に出て、コミュニケーションを取ることを決めた。全員でやっていくにしてもリーダー役が必要となるため、ベテラン社員1名が社長補佐として指揮を執るという。

「あのメッセージを受けて我々がどう変わっていくのかが大事だと思うので、今回をいい機会にして、会社自体が変わっていけばいいなと思います」と決意を語ったからこその、再構築だった。

■「俺たちも街に出るから」

 クラブがこうして形を整えている中、周囲からの熱い気持ちも寄せられている。社長自らタペストリー交換をしたことで、商店街では感謝の言葉をかけられたほか、「俺たちも街に出るから」と話す選手がいたことを明かした。

 また、クラブOBである中村憲剛氏や中西哲生氏とも意見交換をしたという。

 横断幕が出されてから2週間。悩んだこともあったが、「この街に大切にされているクラブなんだなと、それをものすごく感じました」と再発見した部分もある。

 さまざまな思いを得たフロンターレが、川崎の街とともに改めて歩むための新たなスタートを切った。

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