日本のB-GIRLシーンを支え続けているB-GIRL ERi FeNeSiS。FINEPLAYでは、前回Red Bull BC One Cypher Japan 2022(以下:BC One)に出場した際にインタビューを行った。今回は<後編…
日本のB-GIRLシーンを支え続けているB-GIRL ERi FeNeSiS。FINEPLAYでは、前回Red Bull BC One Cypher Japan 2022(以下:BC One)に出場した際にインタビューを行った。今回は<後編>として、シーンのことや彼女のプライベートを含む今後についてのインタビューを敢行した。
ERi FeNeSiS(以下:E)
日本のB-GIRLシーンについて
国内外の大会をみて、この数年でB-GIRLの実力が世界的にグッと引き上がっているように感じました。実際のところはどう感じますか?
E:そうですね。だいぶ上がってきましたね。日本については、20代以上のB-GIRLは、そう多くはいないのですが、10代を中心とした若手でスキルもあるB-GIRLが多くなりましたね。
若手を中心としたB-GIRLが増えてきたのも、皆さんのシーンを拡大するという言動による影響も大きいのではないでしょうか?
E:私もそうですが、主に30代以上のB-GIRLたちは下の世代を育成することを考えて行動しています。10代の子たちが年齢を重ねても頑張り続けられる環境をつくりたいと思っていますし、そういう努力をしていきたいと思っています。というのも、なかなか「続けたくても続けることができない」という課題もあると思っていて、それはB-GIRLとかダンサーだけではなく、スポーツ選手とかアスリート全体に言えることでもあると思うのですが、私はその環境面のサポートもしていきたいなと思っています。そうした人たちの行動が少しずつ開花してきたのなら嬉しいなと思います。
シーンの成長という面で、特に大きく感じる課題はどんなところでしょうか?
E:できることはたくさんあると思っていますが、例えばブレイキンってまだまだ男性が多いシーンで、女性がなかなか育ちにくい土壌であると思います。それは、他のスポーツでもあると思いますし、男女の格差が反転するスポーツもあると思います。性別や出身地、世代など関係なく、みんなでシーンを盛り上げていきたいと思っています。
B-GIRLはまだまだマイノリティなカルチャーです。地方だとB-GIRL自体がいないことも多く、主要都市でもそのような現状には何か理由があるんだと思うんですね。
気になって、地方のB-GIRLたちに聞くと、やっぱりそれぞれ悩みがあるんですよね。「こういう場合どうしてますか?」など、よく相談を受けます。そういうこともあり、今後は地方を拠点にしていても、これだけのことができるよっていうことを自ら体現していきたいと思っています。
影響を受けたダンサーについて
ERIさんが影響を受けたダンサーを教えてください。
E:それはもう沢山居るのですが・・。
ナル(NARUMI)さんやSHIE CHANさんの存在はとっても大きいですね。私自身、彼女たちがいなければブレイキンを続けていなかったと思います。あと、この2人に加えてNARUMIさんの妹のあーちゃん(AYUMI)とかYURIEもなくてはならない存在というか。
ナルさんとSHIE CHANさんとYURIEと私はJDSFオリンピックの組織委員会に入って一緒に仕事もしています。あーちゃんはオリンピック強化選手でもあり、同世代のこの5人でよく集まって、ずっとブレンキンについてアツい気持ちを喋っていますね。この人たちがいるからこれまでも、これからも私は頑張れるんだなと感じます。
そういう存在が身近にいるかどうかも、B-GIRLを続けられる環境の大事な要因ということですよね。
E:そうですね。例えば、ナルさんすごいなって思うのは、京都に拠点を置きながら世界中を飛び回っているんですよね。京都でダンススクールを経営し、地方ダンサーの育成をし、それを10年以上前から続けているなんて本当に尊敬します。
今後の活動について
Eriさんご自身も今後は活動拠点を変えられると聞きましたが、今後の活動について詳しく教えていただけますか?
E:はい、そうですね。旦那と共に沖縄に移住する予定です。沖縄は旦那の出身地であり、そこに住むということは元々話していましたが、もっと先の予定でした。新型コロナウィルスによる生活変容がきっかけで色々と考えが変わり、今年を目処に移住することに決めました。
とはいえ、第一線を退くつもりもないし、まだまだ現役でバトルも出ていくし、育成もしていきたいし、そして私も地方からブレイキンを発信し、地方活性化も体現していきたいなと思っています。
育成面では、例えばオリンピックという視点だと、私を含めオリンピック委員会に関わっているメンバーたちは全員、強化選手たちが最大限の力が発揮できるようにサポートをしていきたいと思っています。オリンピック以外でも技などのスキル面を教えることはもちろんなのですが、私は“目標に向かってどう頑張るのか”ということを大切に伝えています。メンタルの面も、長く踊りを続けていく上ではとても大事だと思っているので。
地方活性化については、自ら各地方に出向きワークショップを行ったりしています。先ほども少しお話ししましたが、そこで感じることはブレイキンをやっている女性はいるにはいるのですが、なかなかアクティブに挑戦するようなモチベーションにはなれない子が多いんだと気がつきました。
きっと、色々なハードルがあるのだと思います。ブレイキンは男性の多いシーンなので、そう言った中で活動していくタフさだったり、遠征先でも男性の中に混ざって生活をおくる必要があったり。体力的にも精神的にもそう言った環境で続けるタフさは重要な要素になります。これがなかなか難しい壁なんだと感じています。なので、私が自ら地方に拠点を構えて、コミュニティから創っていく、そうやって地元を巻き込みながら地方活性化をしていきたいなと思っています。
具体的に、沖縄生活のビジョンは決まっていますか?
E:沖縄からどのように発信ができるのかも色々とチャレンジしていきたいなと思っています。地方自治体や地方にいるダンサーと面白いことができたらいいなぁと。私も愛知県出身者として、地方でダンスを始め活動をしていたので。久しぶりの地方からの発信がとっても楽しみです。沖縄で何をどう発信していけるのかなと考えています。
沖縄は特にどこに行くにも飛行機に乗らないといけなくて、移動を考えるとハードルが高いと思うんですよね。その環境下でも沖縄在住のB-GIRLには、10代のchuraとかRIKOがものすごくアクティブに頑張っていますし、B-BOYたちもかなりの頻度で内地のバトルに出に行っているので、私もアクティブにいきたいですね!イベントやワークショップに誰かを呼んだりとか、私の今までの経験を活かして良い流れをつくれたらいいなと思っています。もちろん、沖縄のもとからあるシーンやコミュニティにはリスペクトを持ちつつ、私に何かできることがあるならチャレンジしていきたいですし、結構面白いことができるかなとも思っています。
ちなみに・・ご夫婦でカフェを作るというお話は本当ですか?
E:本当です(笑)。2人とも将来のために飲食の経験を積んでいますが、自分達の店を構えたことはないので、少しずつリサーチを進めています。沖縄に行く前に、数ヶ月バックパッカーで中南米にいき修行したり、移住してからも飲食修行はするつもりです。不安もありますが、楽しみの方が大きいですね。夫婦揃ってダンサーで、いつも応援し合える強力なパートナー。お互いを理解できるのも心強いですね。
お店を経営しながら自分達も現役ダンサーとしてダンスも並行してやっていきたいんですよね。カフェを経営しても、踊り続けていくと夫婦では話しています。まだまだ先と思いますが無事にオープンしたら、ぜひこれを読んでくれているみなさんにも遊びに来て欲しいです!
—– 2023年4月、彼女は国内外の多くの土地を巡る旅に出る。それは沖縄移住を見据え、これまで以上のインプットとアウトプットを各所で行ってくるのだろう。そこで得た経験をまた、身を以て体現しオリジナルスタイルを築き上げていくのだろう。エネルギーの原動力は仲間でありコミュニティ。B-GIRL ERi FeNeSiSの今後の動向にも目が離せない。
B-Girl ERi FeNeSiS (Keep It Real, DownzKru, Qween of Qweenz)
16歳でStreet Danceを始め、様々なジャンルをこなし、地元愛知にてShowcase出演等で活動を続けてきた。20歳でAmericaの大学に進学のため単身渡米。 現地のBBOY達に出会い、本場NewYorkでBreakin’を始める。 BreakEasy, KingUprock, KWonを師事、America国内様々な大会で好成績を残す。 26歳で日本に帰国、地元愛知へ戻り、BBOY Crew Keep It Realに出会い・加入。 27歳で活動拠点を関東に移し、今現在も日本国内のみならず世界各国において、Judge・Workshop・Guest Battlerと活躍をしている。 また、日本のTop B-Girl集団Qween of Qweenzにも在籍し、海外からの支持も厚く、様々な国で好成績をおさめている。 2011年、B-girlの世界No.1を決めるB-Girl2on2の大会、We B☆Girlz日本予選で優勝。日本代表としてフランスで行われたWe B☆Girlz International Finalに参戦、優勝。世界No.1に輝く。 続いて同じ年に台湾で行われたBBOY Crewバトルにおいて、Qween of QweenzとしてB-Girlのみで参戦、優勝。史上初のB-girl Crewでの世界大会優勝となった。 2012年、スロバキアで行われたOUTBREAK International 2012 Finalにおいても、B-Girl Soloバトルで優勝。ソロでも世界No.1に輝いた。 2013年、オランダで行われたIBE 2on2 Bgirlバトルにおいても優勝。 以降も毎年数々の世界タイトルを獲得し続けている。 海外だけでなく、国内でもBBOYシーンの第一線で活躍中。 国内最高峰レベルといわれるDance@liveにおいては、Break sideにて2年連続ファイナリスト。 2014、2016年度は、All Style sideで好成績をおさめ、日本人bgirl初All Style sideでファイナリストとなる。 今もなお進化し続け、バトルだけでなく、様々なアーティストとコラボ、ショーケースなども行い、2016年にはストリートダンスの舞台BRING IN’DA FRESHにも出演など活躍の場を広げている。
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