2、3、5回に限れば無安打1四球の完璧投球■ロッテ 5ー3 西武(12日・ベルーナドーム) 西武2年目の左腕・隅田知一郎…

2、3、5回に限れば無安打1四球の完璧投球

■ロッテ 5ー3 西武(12日・ベルーナドーム)

 西武2年目の左腕・隅田知一郎投手には、“魔のイニング”がある。初回と4回だ。今季2度目の先発となった12日のロッテ戦(ベルーナドーム)でも、初回に1点、4回に3点を失い、結局6回途中5安打4四球5失点で降板。今季2戦2敗で、ルーキーイヤーの昨年プロ初登板初先発で白星を挙げたのを最後に、球団ワースト記録を更新する通算12連敗となった。

 140キロ台後半の速球には空振りを取れる威力があり、カーブ、スライダー、カットボール、スプリット、チェンジアップと変化球も多彩。失点していない2、3、5回に限れば、無安打1四球とほぼ完璧に抑えた。それなのに、突然制球を乱すイニングがある。

 初回はいきなり1、2番に連打され、1死後、4番の山口航輝外野手に中犠飛を許した。4回には3番の中村奨吾内野手をカウント0-2と追い込みながら、そこから四球を与え、続く山口には1球もストライクが入らず連続四球。初回同様に無死一、二塁とされると、グレゴリー・ポランコ外野手に右前適時打、井上晴哉内野手に2点二塁打を浴びたのだった。

 隅田は「(4回)先頭打者に無駄な四球を出したところから始まって、自滅してしまいました。常に打者に向かっていく気持ちを持ってマウンドに上がっていますが、自分でカウントを作っても、相手に有利なカウントに持っていってしまっているので、自分に有利なカウントのうちにアウトを取ることができていれば、結果は変わっていると思います」と猛省。「次回の登坂では、次はないくらいの気持ちで臨まなければいけないと思っています」と危機感をあらわにした。

松井監督「次回はどんな形でも隅田に勝ちを付けたい」

 昨年は計36失点中、初回に12点、4回にも12点を失った。他のイニングは5回に7点、3回に4点、6回に1点を失ったに過ぎない。立ち上がりが苦手な投手は多く、4回は上位打線が2巡目を迎えるイニングではあるが、それにしても極端だった。防御率3.75は決して悪くないのに、1勝10敗と大きく負け越し。契約更改の際には、渡辺久信GMが「味方打線の援護点が少なかったのも事実だが、援護してもらう前に先に点を取られている試合がほとんど。それって、勝てない投手の特色だよね」と苦言を呈した。

 今年も初先発だった5日の楽天戦は、6回3安打1失点の好投だったが、失点はまたもや初回。計5四球と制球にも苦しみ、チームは0-1の零敗を喫した。今のところ、隅田の傾向は昨年と変わっていない。

 それでも松井稼頭央監督は「内容のいいイニングもあった。隅田本人も言っていたように、先頭の四球が非常にもったいない。もっと大胆に投げてもいいんじゃないかと思う」と評し、「ボール自体はいいですから、1つ(白星が)付けば、流れも変わると思う。もちろん、その1つがなかなか難しいのだけれど、次の登坂では援護できるように、どんな形でも隅田に勝ちを付けられるようにやっていければと思います」と擁護した。

 西日本工大時代に大学ナンバーワン投手と呼ばれ、2021年のドラフト会議で4球団の1位指名が重複した実力は伊達ではない。次回こそ、魔のイニングを乗り越え、連敗に終止符を打つことができるか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)