「Dリーグ」サードシーズンの最終ラウンドとなるラウンド12が東京に名残の桜の花弁が舞う5日、開催された。競技ルールが各2チームによる対戦方式となってから、各マッチでの勝敗を占うという愉しみも加わり、よりゲーム性を強く感じさせるDリーグ。2週…
「Dリーグ」サードシーズンの最終ラウンドとなるラウンド12が東京に名残の桜の花弁が舞う5日、開催された。
競技ルールが各2チームによる対戦方式となってから、各マッチでの勝敗を占うという愉しみも加わり、よりゲーム性を強く感じさせるDリーグ。2週間に一度、まったく新たなナンバーを創作して踊り込み、試合に臨むという前人未到の過酷にして華麗な闘いも、いよいよサードシーズンの大詰め。さっそく最終戦を迎えた各マッチを振り返りたい。
◆【前編】ラウンド12 優勝したCyberAgent Legitが圧巻のナンバーを披露
■最終戦も大いに湧いた3季Dリーグ
4thMATCH:USEN-NEXT I‘moon vs. CyberAgent Legit
先攻はDリーグ唯一のガールズオンリーチーム、アイムーン。ゴールドのジャケットにブラックパンツという出で立ちで、ここ数ラウンドでも見せてきた“強いアイムーン”でガールズパワーを炸裂。「Muse」をテーマにしなやかに力強く踊りきった。
後攻は常勝集団レジット。緑とイエローゴールドの“レジットカラー”の衣装が繰り出すテーマは「Born as Music」。いつものように音の一つ一つを表現するスキルが高く、見慣れているはずの筆者も毎回「上手い!」と膝を叩いてしまうレジット。ブレイキンとポッピンをシームレスに柔らかく展開し、今回も圧巻のナンバーが届けられた。
ガールズ達の“強いアイムーン”も光を放っていたが、結果は1-5でレジットが勝利をさらった。
5thMATCH:KADOKAWA DREAMS vs. SEGA SAMMY LUX
先攻はエンタメ性の高さで声援からも人気の高さが伺えるカドカワ・ドリームズ。今作品のディレクションはMINAMI。SPダンサーにAIRAを迎え、シャンパンゴールドの上下に手足をブルーの手袋とブーツで覆い、頭髪もブルーに染め、全員女性メンバーでオリジナリティ高い迫力あるヒップホップが届けられた。
対する後攻のセガサミー・ルクスはSPダンサーにREMOWAを迎え、極めてクールなストリートを舞台上に出現させた。男女の駆け引きのような場面も盛り込み、ルクスらしい迫力あるナンバーをダンサブルに踊りきり、大いに会場を沸かせた。
ルクスが醸し出したストリートの空気感はとても味わい深いものだったが、結果は5-1で迫力が勝ったカドカワドリームズに軍配があがった。
6thMATCH:Valuence INFINITIES vs. SEPTENI RAPTURES
シックスマッチはヒップホッパー同士の闘い。先攻はブレイキンの上手さでも定評のあるバリュエンス・インフィニティ。ベージュのジャケットとブラウンのパンツという一見地味とも思える出で立ちで登場したが、トランペットとパーカッションがスピード豊かに奏でる曲に合わせ、今回もストリート魂と共に床技も大いに取り入れたブレイキンとヒップホップを巧みに融合したナンバーが届けられた。また、ジャケットでブレイキンを踊る姿が新鮮に映り、インフィニティ独自のプロのこだわりと共に、ブレイキンの違った側面を見られたような気持ちになった人も多かったであろう。
対する後攻は“音ハメ集団”セプテーニ・ラプチャーズ。イエローのラインは入っているもののグレーのナイロンのトレーニングウエア上下という装飾性のない衣装ではあったが、それが筋肉の動きまでをよく伝えることになり、踊りそのものが浮き上がる効果をあげていた。それゆえまさに踊りの上手さが強く引き立ち、シンプルにラプチャーズの良さが伝わることとなった。
今回もインフィニティは流れるような動きと共に独自の味わいと存在感を放っていたが結果は1-5で音楽を巧みにとらえたラプチャーズの勝利となった。
■優勝はサイバーエージェント・レジット
Dリーグ創設以来3度目のレギュラーシーズンはサイバーエージェント・レジットが総合点トップで優勝を飾り、チャンピオンフラッグと賞金200万円が贈られた。試合後のインタビューでディレクターのFISHBOY氏は「ファーストシーズンは最下位で、チームとしてのまとまりがないと言われた所から、できるだけ互いのコミュニケーションをとって上がってきて、ここまでくるのに3シーズンかかりました」、「こうやって成長できたのもリーグがあるおかげです。踊る環境を整えてくれて感謝しています」と語った。
まさに、世界初のダンスリーグがここ日本で始まり、ますます勢いを増しているという事実は、世界中のダンサー、そしてダンスファンにとって真にエポックメイキングな出来事であり、ダンスが競技としてここまでの存在感を放つようになるとは、Dリーグ前にはありえないことだったろう。
コロナ禍という逆境をも乗り越えた感のある日本発、世界初のダンスリーグ。このままこの輝きがさらにいっそう強くなり、日本がダンスで凄いことになっているというニュースが世界を駆け巡る未来もやってくるに違いない。
来たる23日のチャンピオンシップで戦う上位6チームは下記。
1位:サイバーエージェント・レジット 2位:エイベックス・ロイヤルブラッツ 3位:セガサミー・ルクス 4位:カドカワ・ドリームズ 5位:フルキャスト・レイザーズ 6位:ライフル・アルトリズム
ぜひ、時代の動きを見逃さず、各チームの勇姿を見届けて欲しい。
◆ラウンド11 Cyber Agent Legitがレギュラー・シーズンを制すが来たるチャンピオンシップを勝ち取るのは… 前編
◆うまいだけでは勝てない、ますます総合芸術の色合いを強めるDリーガーたち
◆2年連続MVD “B BOY” ISSEIの“これまで”と“これから” 「パリ五輪だけがダンスじゃない」
著者プロフィール
Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター
『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。