前日の男子100mは大会タイ記録を叩き出して優勝した18歳、サニブラウン・ハキーム(東京陸協)が男子200mも制して二冠を達成した。6月23日から大阪市のヤンマースタジアム長居で開催されていた第101回日本陸上競技選手権大会。最終日となった…
前日の男子100mは大会タイ記録を叩き出して優勝した18歳、サニブラウン・ハキーム(東京陸協)が男子200mも制して二冠を達成した。
6月23日から大阪市のヤンマースタジアム長居で開催されていた第101回日本陸上競技選手権大会。最終日となった25日、最終種目の男子200m決勝もサニブラウンが魅せた。ベテランの藤光謙司(ゼンリン)、2016年リオデジャネイロ五輪男子4×100mリレー銀メダルメンバーの飯塚翔太(ミズノ)を抑えた優勝は100mがまぐれではなく、実力であることを再認識させるものだった。
「がむしゃらに走っている感じだった。もっとレースプランを考えて走ったら、より良いタイムが見えてくるのかな」と振り返るサニブラウンの優勝タイムは20秒32。ジャマイカのウサイン・ボルトが持つ世界記録19秒19はまだ遠い数字だが、成長盛りのハキームならこれから経験を積み重ねることで100m9秒台とともに200m19秒台も視野に入るだろう。日本記録は末續慎吾(ミズノ)が2003年に記録した20秒03だ。
ガーナ出身の父、日本人の母を持つ。二冠達成に「正直驚いている」とレース後に笑ったが、「これに満足せず、この先がまだある。そこで結果を出せなければここで勝ったところで何の意味もない。今日のレースもこんな所でヘバっているようでは世界選手権のスケジュールもこなせないと思う。しっかり練習を積んでいき、最高のパフォーマンスをロンドンで出せるようにしたい」と冷静さもあり、大物ぶりがうかがえる。
2015年世界ユース選手権男子200mではボルトの持つ大会記録を塗り替える走りで世界に名を知らしめた。8月の世界選手権はボルトの引退レースとされているが、サニブラウンとの初対決も期待される。
食事制限を特にせず「過度に脂っこいものは摂らない方がいいのかな~と思う自分はいる。終わってラーメン食べに行こうかなと考えたりはする」と答える姿は18歳らしいが、その潜在能力は計り知れない。
前日の100m決勝も「レース前はものすごく楽しみで、ワクワクしている感じが止まらなかった」と大舞台でも物怖じしない強心臓。この日も「今日はもうあと一本という気持ちだった。これが終わったらいっぱい寝れるし、美味しいご飯も食べられると思いながらレースに臨んだ(笑)」というから面白い。その自然体がサニブラウンの今大会の強さにつながったのだろう。日本陸上界から新たなスターの誕生だ。
●第101回日本陸上競技選手権大会 男子200m決勝リザルト
1位:サニブラウン・ハキーム(東京陸協)20秒32
2位:藤光謙司(ゼンリン)20秒47
3位:飯塚翔太(ミズノ)20秒55
4位:原翔太(スズキ浜松AC)20秒77
5位:諏訪達郎(NTN)20秒83
6位:山下潤(筑波大)20秒87
7位:田中佑典(日本ウェルネス大)20秒90
8位:高瀬慧(富士通)20秒99
第101回日本陸上競技選手権大会、サニブラウン・ハキームが男子200mで優勝。二冠を達成(2017年6月25日)撮影:五味渕秀行
第101回日本陸上競技選手権大会、サニブラウン・ハキームが男子200mで優勝。二冠を達成(2017年6月25日)撮影:五味渕秀行
第101回日本陸上競技選手権大会、サニブラウン・ハキームが男子200mで優勝。二冠を達成(2017年6月25日)撮影:五味渕秀行
第101回日本陸上競技選手権大会、サニブラウン・ハキームが男子200mで優勝。二冠を達成(2017年6月25日)撮影:五味渕秀行