現代のサッカーにおいて、サイドバックの重要性は増している。Jリーグにも個性的なサイドバックはおり、チームにも大きな影響…

 現代のサッカーにおいて、サイドバックの重要性は増している。Jリーグにも個性的なサイドバックはおり、チームにも大きな影響を与えている。日本代表にも通ずるテーマであるサイドバックの扱い方について、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■始まりは2018年

 サイドバックの攻撃参加……。これは、今のJリーグではもう珍しい戦術ではない。

 かつてはサイドバックの攻撃参加といえば、タッチライン沿いを持ち上がってクロスを入れることがメインであり、選手によっては内に切れ込んでシュートを放つことがあるくらいだった。

 だが、最近のサイドバックは「インナーラップ」と称して、内側のレーンを上がって行ったり、ボランチの位置やバイタルエリアに入ってビルドアップに参加するなど、マルチな働きを求められるようになった。

 Jリーグのチームでサイドバックが攻撃に関与する戦い方を初めて本格的に取り入れて見る者を驚かせたのは横浜F・マリノスの監督に就任したアンジェ・ポステコグルー(現セルティック監督)だった。2018年のことだ。

 その後、サイドバックが中盤に上がってプレーするやり方はたちまちのうちに日本中のチームに波及していった。

 Jリーグのチームだけでなく、今では大学リーグのチームでも、高校のチームでも、いやU-15の大会でも、そういうスタイルのサイドバックはいくらでも見かけるようになっている。

■ゴールを決めた山根

 さて、第6節の試合では、川崎フロンターレの右サイドバックの山根視来もゴールを決めている。札幌ドームで行われた北海道コンサドーレ札幌との試合でのことだ。

 ホームの札幌が前半7分に右から崩してDF岡本大八のヘディングで先制すると、33分には相手守備陣の乱れを衝いて宮代大聖が決めて川崎が同点とするが、2分後には青木亮太のピンポイントのクロスに浅野雄也が合わせて再び札幌がリード。そして、39分に山根が決めて再び同点とした、そのゴールである。

 左サイドで登里享平のパスを受けた山田新が粘って相手DFと入れ替わってペナルティーエリア内に持ち込み、フリーでニアに駆け上がってきた山根に合わせたのだ。

 山根も、攻撃参加を得意とするサイドバックである。

 川崎が絶対的な強さを誇った2021年シーズンでは、絶対的なキープ力を誇る右サイドハーフの家長昭博と山根のコンビネーションによる崩しが何度も見られた。

 その山根は、今シーズンはボランチの位置に入ってビルドアップに参加する形に挑んでいた。

■苦境のチームにおける活躍

 実際、開幕節(対横浜FM)ではそうしたプレーをかなり見せており、今シーズンの川崎の攻撃パターンの一つになりそうだったのだが、その後、川崎は負傷者が相次ぎ、3月にはルヴァンカップも含めて3分2敗と勝ち星に見放されることになってしまった。

 そうした苦しい状況の中で、山根もボランチとしてビルドアップに参加するという狙いを封じざるを得ない試合も多かった。

 札幌戦では、サイドで攻撃の起点となっていたマルシーニョも負傷で離脱。川崎は本来の4-3-3ではなく家長と遠野大弥をツートップとする4-4-2にシステムを変更しており、山根の攻撃参加もタッチライン沿いのオーバーラップが主体になっていた。

 だが、この得点場面では山根はサイドの立ち位置から相手ゴール前のスペースに一気に駆け上がってきていた。どのポジションからも攻撃参加ができる山根のセンスが生きた動きだった。

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