山川穂高は開幕2戦で1安打「言いわけをするつもりも、終わるつもりもない」■オリックス 9ー2 西武(1日・ベルーナドーム…

山川穂高は開幕2戦で1安打「言いわけをするつもりも、終わるつもりもない」

■オリックス 9ー2 西武(1日・ベルーナドーム)

 これも“WBCロス症候群”なのだろうか……。侍ジャパンの一員として第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝に貢献した西武・山川穂高内野手が、公式戦開幕後、かつてなかった不思議な感覚に戸惑っている。1日に本拠地ベルーナドームで行われたオリックス戦で今季初安打をマークしたものの、開幕から2試合で打率.111(9打数1安打)、本塁打と打点はゼロ。松井稼頭央新監督が率いるチームも、開幕2連敗を喫した。

 開幕から2試合を終えた山川は「自分が打てば、もっと点が入っていたのは間違いない」と責任を背負い込んだ。「ただちょっと、自分の中に戸惑いがある。打撃に悩んでいるわけではないのですが、打席の中で『ワッ』といけていない。自分が変に冷静すぎることが気になります」と打ち明ける。「ボールが遅く見えたり、一部始終の記憶がなかったりと、主観的に入り込めている時の方が、打撃はいいのです。今はボールははっきり見えているし、逆に変に周りが見え過ぎている」と言うのだ。

 これも開幕直前にWBCで連日熱戦を繰り広げ、歓喜の優勝を成し遂げた反動なのか。山川は「絶対に、WBCのせいにするわけにはいかない」とした上で、「大盛り上がりしてしまったので、今はあまりにも冷静すぎる自分を感じています」と認める。

 この日のオリックス戦では、6点ビハインドで迎えた4回、先頭打者で左前打を放ち、この回5安打で2得点を挙げる口火を切った。しかし、続く5回の打席では、オリックス2番手の比嘉幹貴投手に対し、初球の真ん中外寄りのスライダーを見逃し。カウント1-1から外角低めの143キロのストレートを打ち上げ、遊飛に終わった。「普段なら初球からいけるはずなのに、なぜか落ち着き過ぎている自分がいて、手を出せなかった」と首をひねった。

 4点差を追う7回には、2死一、二塁の好機に、侍ジャパンのチームメートでもあった山崎颯一郎投手と対決。今度は初球の外角の150キロを打って出たが、あえなく中飛に倒れた。「あれは打球の角度も、方向も良かったのですが、やはりなぜか体ごとガッといけていない。決して気持ちが入っていないわけではないのですが、冷静になりすぎている。調子のいい悪いではなく、こういう時はたいてい打てません」と振り返った。

「今年の開幕戦は全く緊張しなかった。これまでにはなかったこと」

 WBCでは岡本和真内野手(巨人)に一塁スタメンの座を奪われる格好になり、代打での出場が多かったが、準決勝のメキシコ戦で代打出場すると、試合の展開上極めて重要な犠飛を打ち上げるなど存在感を示した。そして決勝の舞台の米マイアミから帰国すると、翌日には西武の練習に志願して参加。オープン戦で一発も放ち、勢いに乗って公式戦開幕に突入するかに見えた。

 しかし「今年の開幕戦は全く緊張しなかった。これまでにはなかったことです。例年は心臓がバクバクして、吐き気を感じるほど。WBCにはそれがありました」と明かす。例年なら自然に湧き上がってくる緊迫感が、今年は物足りないと言うのだが、それも人間のバイオリズムとして、やむをえないのではないだろうか。山川は五輪やWBSCプレミア12への出場経験がなく、これほど世界が注目する国際大会は初めてだったのだ。

 さらに、松井新監督を迎えたチームを春季キャンプ中盤から離れたことで、「去年とは試合前の練習の流れが変わっていたり、打撃投手の顔ぶれが変わっていたり、オープン戦期間中のミーティングの内容を一部聞いていなかったりする。僕、こう見えて敏感なので、これから慣れていかないと」というのが現状だ。

「まだ開幕して2試合を終えたところですが、一度リセットしたいと思います。自分で自分を高めていきたい」と切り替えた山川。「言いわけをするつもりも、このまま終わるつもりもありません。WBCがバタバタと終わり、バタバタと帰ってきて、バタバタと試合をしている感じですが、これから自分を軌道に乗せていきます」とうなずいた。

 代打の切り札としても、ムードメーカーとしても、侍ジャパンを鼓舞し続けた男の本領発揮を、もう少しだけ待とうではないか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)