レース後に「とにかく鍛え直したい」と何度も繰り返した山縣亮太(セイコー)。日本短距離界の実力者は、後輩の躍進に喜びを感じつつも歯がゆさも見せた。6月24日に大阪市のヤンマースタジアム長居で行われた第101回日本陸上競技選手権大会。大会第2日…

レース後に「とにかく鍛え直したい」と何度も繰り返した山縣亮太(セイコー)。日本短距離界の実力者は、後輩の躍進に喜びを感じつつも歯がゆさも見せた。

6月24日に大阪市のヤンマースタジアム長居で行われた第101回日本陸上競技選手権大会。大会第2日目の最終種目となった男子100m決勝は直前から雨に見舞われたが、2万人を超える観衆が10秒間の戦いに息を飲んだ。

山縣とともに2016年のリオデジャネイロ五輪男子4×100mリレーで銀メダルを手に入れたケンブリッジ飛鳥(ナイキ)、桐生祥秀(東洋大)に加え、6月10日に追い風参考とはいえ国内試合で日本人初の9秒台の記録を残した多田修平(関西学院大3年)、さらに18歳のサニブラウン・ハキーム(東京陸協)らトップアスリートが集結。国内最高峰のレースはサニブラウンの勝利となった。

山縣亮太(右奥)は6位に終わった
「自分が選手でいる間に、これだけレベルが上がった。下からの突き上げもある中で、そこに自分が関われたことが嬉しい」

リオデジャネイロ五輪で日本人選手も世界の舞台で通用することを証明できた。それを見た後輩たちが頭角を現してきたことに嬉しさはある山縣だが、自身は6位に沈んだ。「こういうレベルが高いレースで勝ててこそ本物の選手。自分の弱さを感じている」とうつむく。

スタートを得意とする山縣は、「もっとスタートで出れたはず。そこでレースの主導権を握れたら、予選・準決勝よりはいいレースができるだろう、順位もそれに付いてくるだろうと期待を持って臨んだ」と振り返った。準決勝は2組で走って結果は4位。ギリギリの通過だった。

3月のケガにより4月の織田記念も欠場。満を辞して臨んだはずの日本選手権だったが、仕上がりはよくなかった。「自分の体調管理能力のなさを反省している。とにかく鍛え直すしかない。非常に悔しい」と淡々と答える。しかし、マイナス面ばかりではないようだ。

「気持ちとしてはこのレースが終わって何かやり残したことがあったのではと振り返ったときに、今できる最大限のパフォーマンスが発揮したと言えると思っている。精神的なところでは良かった」

2016年9月の全日本実業団対抗選手権で自己ベストとなる10秒03を出している山縣。10日に25歳の誕生日を迎え、年齢的にも実力的にも若手を牽引する立場だ。このまま終わるわけにはいかない。

「来年の日本選手権ではしっかり優勝できるように、借りを返せるように努力する。まだ9秒台は出ていない。自分が一番最初に出すつもりで鍛え直す必要がある。逆にそれをすれば、まだまだ勝負できる」

世界選手権代表はお預けとなったが、この悔しさは山縣をより引き上げることになりそうだ。

第101回日本陸上競技選手権大会、男子100m決勝(2017年6月24日)撮影:五味渕秀行

第101回日本陸上競技選手権大会、男子100m決勝(2017年6月24日)撮影:五味渕秀行

第101回日本陸上競技選手権大会、男子100m決勝でサニブラウン・ハキームが初優勝(2017年6月24日)撮影:五味渕秀行

第101回日本陸上競技選手権大会、男子100m決勝でサニブラウン・ハキームが初優勝(2017年6月24日)撮影:五味渕秀行

第101回日本陸上競技選手権大会、男子100m決勝(2017年6月24日)撮影:五味渕秀行

第101回日本陸上競技選手権大会、男子100m決勝(2017年6月24日)撮影:五味渕秀行