鷹・中田賢一4軍投手コーチも大谷翔平のWBC「MVP」を喜ぶ プロ野球史上初となる投手の先頭打者ホームランを記録したのは…
鷹・中田賢一4軍投手コーチも大谷翔平のWBC「MVP」を喜ぶ
プロ野球史上初となる投手の先頭打者ホームランを記録したのは、大谷翔平投手(エンゼルス)だった。日本ハム時代の2016年7月3日のソフトバンク戦(当時ヤフオクドーム)で「1番・投手」として出場。先頭打者弾となる10号ソロに加え、マウンドでは8回無失点。“リアル二刀流”はどんどんと進化して、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではMVPにも輝いた。
“1番・投手初球先頭打者弾”を許したのは、ソフトバンクの中田賢一4軍投手コーチだった。NPBから世界にまで羽ばたいた大谷の活躍を「単純に野球が好きなオッサンの1人として。すごい選手に年々なっていますよね。僕の妻も去年は『オオタニサン』と言ってMLBを楽しみにしていたので」と喜ぶ。今でも当時の映像が流れることに「僕が1軍で投げていた証明になる」とちょっぴり誇らしそうだ。
当時の心境は……。「1番・投手、大谷」を聞いた時は「もちろんびっくりしましたけど、あの時からちょこちょこ投げながら(野手で)出ていたので。そういうところで一発で仕留めるのはすごい」と、マウンドから驚きがあった。相手の先発投手がまっさらな打席に入ることも、極めて異例な状況だが「気を使うことはなかったですね。1人の打者として対戦している感じでした」と真剣勝負を強調した。
試合は0-2で敗戦…決勝点になるも「後悔はないです」
バッテリーを組んだのは細川亨捕手だった。大谷に限ったことではないが「どういう試合でも1番打者に関しては捕手と打ち合わせをする」と立ち上がりについて入念な意見交換を重ねる。投じたのは内角への124キロのスライダーだった。結末はプロ野球史に残る本塁打になってしまったが、あの1球目になったプロセスを明かした。
「初球からインコースのスライダーは振ってこないだろうというところで、投げたボールが失投で真ん中低めにいった形なんです。1番振ってくる確率の低いところで、自分が球種的にストライクを取れる変化球がスライダーだったので、その選択をした。あの試合の1球目はそうやって相談して決めましたし、すごく思い入れがある1球でした。甘くなって完璧に打たれた形でしたけど」
結果的に試合は0-2で敗れた。中田コーチの自責点も大谷の1発だけだったが「あの形で大谷くんに打たれた時点で流れは向こうにいっていた。自分の投げミスですけど、しっかり打ち合わせしたので後悔はないです」と笑顔で話す。大谷にも「毎年MVPを取るくらい、記録を打ち立ててほしいです」とエールを送った。伝説を残し続ける大谷の歩みは、確実に後世へと語り継がれていく。(竹村岳 / Gaku Takemura)