サードシーズンで確かな盛り上がりを見せている「Dリーグ」は21日、1シーズン全12ラウンド中のクライマックスともいえるラウンド11が開催された。ここでは全6回戦の後半をレポートする。◆【前編】ラウンド11 盛り返し感を強くするサードシーズン…
サードシーズンで確かな盛り上がりを見せている「Dリーグ」は21日、1シーズン全12ラウンド中のクライマックスともいえるラウンド11が開催された。
ここでは全6回戦の後半をレポートする。
◆【前編】ラウンド11 盛り返し感を強くするサードシーズン チャンピオンシップを目前に控えた美しき闘い
■昨季の覇者エイトロックスがレギュラーシーズン敗退
4thMATCH:FULLCAST RAISERZ vs. KOSÉ 8ROCKS
先攻は肉体派武闘集団のフルキャストレイザーズ。「ジェネレーション・ニューウェーブ」をテーマとし、MADD⁻TWIGGZとE-FLOWをSPダンサーに迎え、分厚い男たちの魂の叫びをいつもに増して爆発力のあるクランプで表現し、マッスル階段という新技も繰り出し大いに会場を盛り上げた。対する21-22シーズンチャンピオンのエイトロックスのテーマは「ブレイキン&和」頭に和傘を被り、シルバーが光る和の出で立ちで登場。三味線の音色と共に、フォーメーションも考えぬかれ、和の楽曲で踊るブレイキンを披露した。結果は1-5で三味線の音色でブレイキンを踊りきるという新しい見せ方が光ったエイトロックスに軍配があがった。
5thMATCH:avex ROYALBRATS vs. SEGA SAMMY LUX
先攻は現在3位につけるエンタメ性の高いロイヤルブラッツ。今回のテーマはプリズナー「囚人」。1人、ポリスに扮したShungo以外は全員が薄いグリーンの囚人服と思しき衣装に身を包み、手錠に繋がれたジェスチャーで踊り初め、そこにポリスが登場し囚人たちのドタバタする様をロイヤルブラッツらしい愉しく巧みな表現でエンタメに仕上げ、今回もオーディエンスを魅了した。
対するルクスは肩パットが目立つピンク色の衣装に身を包み、大人の色気とエナジーを解き放つ洒脱で粋な振り付けでフォーメーションも豊かに華のあるナンバーを届けてくれた。どちらも自分たちのチームの色を上手く出し、楽しさと美しさの対決、という色合いを強くしたが、結果は1-5でエンタメ性の光るロイヤルブラッツが勝利を攫った。
6thMATCH:CyberAgent Legit vs. dip BATTLES
最終マッチの先攻は現在8勝して1位につけるレジット。
シャンパンゴールドのシルク素材のような生地で胸の打ちつけなどが良く映える衣装に身を包み、衣装を活かした音ハメが良く見える細部にまでこだわったポッピンのヒットバイブレーションで会場をせしめた。対するディップバトルス画家に扮したAITOの描く創造される世界を表現。全員が顔にもペイントを施し最後は描かれた絵を見せてその色濃く深い世界観を披露した。どちらも仕掛けに富んだ見応えのあるナンバーだったが結果は4-2でレジットが勝利した。
■最終ラウンドを前にチャンピオンシップ進出が決定
サードシーズンも残すところ1ラウンドとなり、チャンピオンシップを前にし、レギュラーシーズンのウィナーはサイバーエージェント・レジットが勝ち取った。リーダーのTAKUMIには神田勘太朗COOからチャンピオンフラッグが授与され、また今回のMVDも贈られた。試合後の囲み取材でも「長くて色々あったが、ようやく3シーズン目で勝てて嬉しい。今回の作品は熱い気持ちを込めて質と完成度を求め、ポップを表現して観客の心に響かせたかった」と自らの喜びを伝えた。
また、ディレクターのFishboy氏は「今回の結果の理由はチームのまとまりです。シーズン初めに審査員から気持ちがまとまっていないと言われたこともあり、みなのモチベーションを確認し合い、コミュニケーションをとりました。失敗の積み重ねで強くなっていきました」と語った。試行錯誤を重ね、迷いながらも前進を続けた分、ダンスにも深みが増し、それが観る者の心に強く迫る作品となるということはあるのではないだろうか。
コロナ禍にも負けず、確かな盛り上がりを感じさせるDリーグのサードシーズンも残すところあと1ラウンド。今回までのラウンドでこれまで上位4位に付けていた、サイバーエージェント・レジット、セガサミールクス、エイベックス・ロイヤルブラッツ、フルキャスト・レイザーズの4チームに加えて、カドカワ・ドリームズとライフル・アルトリズムが6枠あるチャンピオンシップへの出場枠を勝ち取った。また、昨季の覇者エイトロックスがレギュラー・シーズンで敗退となる波乱ともなった。
2024年にはパリオリンピックでブレイキンが正式競技として採用され、日本勢がメダル候補と囁かれるなか、3年に渡って繰り広げられるこの美しき闘いが、さらに勢いを増してゆくことは間違いがない。
残るラウンド12、そして来たるチャンピオンシップの盛り上りを楽しみに待ち受けたい。
◆【前編】ラウンド11 盛り返し感を強くするサードシーズン チャンピオンシップを目前に控えた美しき闘い
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著者プロフィール
Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター
『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。