一週間前に静岡で完敗を喫し、雪辱を誓って、6月24日に東京・味の素スタジアムで再びアイルランド代表に挑んだ日本代表だったが、13-35で敗れた。それでも、2年後のワールドカップで同組に入ることが決まっている強豪相手に、日本は最後までファイ…

 一週間前に静岡で完敗を喫し、雪辱を誓って、6月24日に東京・味の素スタジアムで再びアイルランド代表に挑んだ日本代表だったが、13-35で敗れた。それでも、2年後のワールドカップで同組に入ることが決まっている強豪相手に、日本は最後までファイティングスピリッツを見せ、希望を抱かせる奮闘だった。アイルランドに7割近くボールを支配され、テリトリー獲得も劣勢で、初勝利には届かなかったものの、桜の戦士の魂のこもった184回のタックルは見る者の心を打った。

「100%出し切ったと思う。世界トップ4のチーム相手に、我々はなかから(気持ちの面から)がんばった。この試合から学んだことは多くて、2019年につながると思う」と語ったのはゲームキャプテンを務めた日本代表のリーチ マイケルだ。アイルランドとの差を聞かれ、「試合中に感じたのはボールキープ力。相手はフェイズを重ねる能力が高くて、自陣でプレーしない能力も高くて、それも自分たちにとってはいい経験になった。自分たちはもっとボールキープ力を高めないといけないし、どうやって敵陣に行ってプレーするか、がんばらないといけない」と課題を口にする。そして、「ラグビーの原点は闘うこと。今日はジャパンはすごく闘ったと思う。ただ、戦術面をもう少し磨いて、両方合わせればもっといい試合ができると思う」と力強く語った。

 序盤、けが人続出のチームに緊急招集された2015年ワールドカップの英雄、LOトンプソン ルークがビッグタックルで会場を沸かせた。それを機にターンオーバーした日本だったが、パスが乱れ、バウンドボールをアイルランドのCTBギャリー・リングローズに奪われ先制の独走トライを許した。

 その数分後にも自陣深くに攻め込まれ、懸命なタックルで耐えていた日本だが、11分、アイルランドは13フェイズを重ねたのちにFLジョシュ・ファンデルフリーアーがフィニッシュし、点差を広げた。16分にはCTBルーク・マーシャルのゲインからチャンスとなり、NO8ジャック・コナンの力強い突進などもあって、最後はSHキアラン・マーミオンがインゴールにねじ込んだ。

 一方、15分にPGで得点していた日本は、24分にようやく大きな歓声を浴びる。LOヘル ウヴェが力強いボールキャリーでゴールに迫り、素早く右へボールを動かしてCTB松島幸太朗がこの日チーム最初のトライを挙げた。

 しかし、アイルランドは30分、ゴール前スクラムから攻めて、パワープレーでトライラインを越え、リードを拡大。日本は8-28で前半を終えた。

 日本は後半の立ち上がりがよく、42分(後半2分)にゴールに迫りFL松橋周平がラインを越えてファイブポインターになったかと思われたが、その前にSH流大にノックオンがあり、トライならず。相手に反則があって再びゴール前でアタックチャンスだったが、ラインアウト失敗で日本は好機を逃した。

 それでも、魂のタックルを連発して、必死に食らいついた日本。
 そして62分、敵陣深くに入って連続攻撃を仕掛け、SO松田力也のグラバーキックはブロックされたものの、跳ね返りのボールをWTB山田章仁が確保してインゴール右に飛び込み、トライ。13-28となった。

 リスタート直後、今度はボールを確保したアイルランドがチャンスとなったが、WTB福岡堅樹がプレッシャーをかけて相手に得点を許さない。67分にアイルランドは25フェイズを重ね、SHマーミオンがインゴールに飛び込んだが、最後にFB野口竜司のタックルが落球を誘い、日本は勝利へ執念を見せた。

 しかし、後半はしばらく無失点だった日本だが、終盤につながれてトライを許し、勝負あり。

 勝てなかったジャパン。しかし、魂は見せた。
 味の素スタジアム(東京スタジアム)は、2019年ワールドカップ開幕戦の会場であり、日本代表とアイルランド代表が2年後にここで再戦する可能性もある。自国開催のワールドカップでリベンジと初のベスト8以上を目指す日本にとっては、大きな、大きな進化が期待される。ベテランの山田章仁は試合後、「勝ちにこだわって、これからやっていきたい」と力強く語った。