フェデリコ・バルベルデと西村拓真のゴールで1-1に終わった日本対ウルグアイ戦。好印象を抱いたのはどちらかと問われれば、…
フェデリコ・バルベルデと西村拓真のゴールで1-1に終わった日本対ウルグアイ戦。好印象を抱いたのはどちらかと問われれば、アウェーチームになる。ウルグアイの判定勝ち。試合内容で言えば44対56ぐらいの関係だった。
FIFAランクでは、ウルグアイの16位に対して日本は20位になるが、この4の差は想像以上に大きかった。カタールW杯でベスト16入りした日本に対し、ウルグアイはグループリーグ落ち。W杯の成績がいかにアテにならないかが示された一戦でもあった。
ウルグアイはしかも、まだ新監督を決めていない。この試合と次戦の韓国戦にはU‐20のマルセロ・ブロリ監督を暫定的に充てて臨んでいる。森保一監督の続投をW杯が終了したわずか10日後に決め、さらにはコーチ陣も刷新し、やる気を漲らせている日本より、はるかに泰然自若に構えている。
しかも日本にとってはホーム戦だ。44対56の関係はその逆であってほしかった。

ウルグアイ戦に先発した日本代表イレブン
日本が内容及び好チーム度でウルグアイに劣った理由は何か。森保采配の問題が先か、選手の問題が先か。両者は拮抗した関係にあると見るが、パッと見、こちらの目を惹きつけたのは、腕にキャプテンバンドを巻いたフェデリコ・バルベルデの存在だった。昨季の欧州覇者レアル・マドリード所属のMFであることはご承知のとおりである。
ポジションは4-2-3-1の1トップ下。しかしその影響力は広範囲に及んだ。視野の広さ、長短のキックを精巧に駆使するパッサーとして、ピッチの隅々まで支配下に置いた。相手ボールに転じるとプレッシングの旗振り役にもなった。背番号は15だったが、今日的な10番像を見せられた気がした。
レアル・マドリードでは右サイドをセンスよくカバーする好選手ながら、真ん中のカリム・ベンゼマ、左のヴィニシウス・ジュニオールに比べると、少なからず地味に映る。だがこの日は、そこで常時スタメンを張る底力をまざまざと見せつけた。
わかりやすいシーンは前半38分。先制点につながった右足キックである。
【一流クラブで何人プレーすることができるか】
難しいバウンドとなったボールを、身体をたたむように右足のインステップで合わせた弾道は、まさに胸のすくような鮮やかさで、日本ゴールに向かっていった。ポストに跳ね返ったボールをバルベルデ自ら頭で押し込み先制ゴールとしたわけだが、日本の残念な失点シーンながら、筆者にとっては世界のトップのプレーを目の当たりにし、幸福感に浸った瞬間でもあった。
監督が選手になりすましているかのような、監督級の頭を持つ選手。同じ布陣で戦う日本の1トップ下、鎌田大地との差を痛感することにもなった。鎌田が特段悪かったわけではない。光るプレーも見せたが、あくまで局所的で、その分線が細く、頼りなげに見えた。
それは、チャンピオンズリーグ(CL)決勝レベルを毎シーズン、コンスタントに戦う選手と、今季初めてその決勝トーナメント1回戦を戦うも、ナポリに大敗したブンデスリーガ6位のチーム(フランクフルト)でプレーする選手との差、そのものだった。鎌田の移籍話のなかで、バルセロナも興味を示しているという報道も見聞きしたが、この日のバルベルデと比較すれば、そのレベルには一枚も二枚も及ばないことは明白だ。
バルベルデと対峙した日本のゲームキャプテン遠藤航しかり。森保監督は、現在ブンデスリーガ最下位に沈むシュツットガルトという、CL出場にはほど遠いクラブでプレーする守備的MFに大きな信頼を寄せている。だが、2026年W杯を見据えたとき、それは物足りない姿に映る。
CLの決勝トーナメントを常時戦うような一流クラブで何人プレーすることができるか。欧州組の数が増えたことを隔世の感だと言って喜ぶ時代は終わった。次元を切り替える必要に迫られているのである。バルベルデが披露した圧倒的なパフォーマンスは、レアル・マドリードに所属するプライドと密接な関係があることを知る必要がある。
ウルグアイのブロリ暫定監督は、試合後「高い位置からのプレッシングに力点を置いた」と述べた。対する森保監督は試合前「ボールをできるだけ握った戦いがしたい」と述べ、試合後には「サイドバック(SB)をどうやって活かすか」に取り組みながら試合に臨んだことを明かした。
【SBが高い位置を取れなかった理由】
ハイプレスがなにより先に向かう場所は相手(日本)の両SBだ。SBが活躍したほうが勝つとは欧州で常識的な考え方だが、ハイプレスはそれに対抗するための手段になる。実際、ウルグアイはハイプレスを利かせたサッカーをした。日本のSB(伊藤洋輝/左、菅原由勢/右)にプレッシャーを掛けた。SBをどうやって活かすかという森保監督の目論見はその結果、はかなく潰えることになった。
彼らは確かに、中盤と同じ高さまで上がり、真ん中にポジションをとる今日的なSB像にトライしていた。従来の旧態依然とした森保式SBとは異なる動きを見せていた。しかし、トライしたに過ぎなかった。ウルグアイのハイプレスの標的となり、それどころではなくなった。
その結果、「ボールを握った戦い」もできなかった。采配の対決で森保監督はブロリ暫定監督に劣った。それが44対56の関係に陥ったもうひとつの原因だ。選手の力量不足を監督采配で補うことができなかったといっても言いすぎではない。
伊藤、菅原両SBには可能性を感じる。縦、外オンリーだった長友佑都、酒井宏樹にはない、中盤的な動きができる選手だと見る。ただ、それはもちろん監督から的確な指示があれば、になる。森保監督によれば、その指導は名波浩コーチが中心になってやっていたということだが、この日の出来を見る限り、指導力不足と言われても仕方がない。ブロリ暫定監督が胸を張るほど、筆者にはウルグアイのプレスが厳しいものには見えなかった。
うまくいかなかった理由は明白だ。それは両センターバック(CB)、瀬古歩夢と板倉滉の間隔が狭かったことに起因する。その間隔を広く保ち、その間に守備的MFのひとりが降りてくる守備のスタイルが確立されていないので、両SBは高い位置を取れない。守備的MFの高さまで上がれなければ、真ん中にポジションをとることはできないのである。
SBが高い位置を取れなかった原因。マイボール時に真ん中付近でプレーできなかった原因は、ウルグアイのプレスが厳しかったからだけではない。外的要因ではなく内的要因にある。指導力の問題だ。両SBのプレーがどう改善されるか。次戦コロンビア戦の注目ポイントのひとつだと考える。
選手の質と監督の質。ともに問題点が目立つウルグアイ戦だった。