世界のサッカーは日々、目まぐるしく変化していく。日本が属するアジアも、例外ではない。ピッチ内外で見え始めたアジアサッカ…

 世界のサッカーは日々、目まぐるしく変化していく。日本が属するアジアも、例外ではない。ピッチ内外で見え始めたアジアサッカーの「もう一つの横顔」にサッカージャーナリスト・大住良之が迫る。

■70兆円の計画都市

 ロシアとともに世界のサッカー界で大きな動きを見せつつあるのがサウジアラビアである。自他ともに認めるアラブ世界の盟主でありながら、オイルマネーを背景に「孤高」を保ってきたサウジアラビアは、近年、大きく政策を転換し、2019年には「観光ビザ」の発給も行うようになった。ムスリム(イスラム教徒)でなければまだ聖地メッカにははいることはできないが、メッカと並ぶ聖地であるメディナの観光は昨年解禁された。

 そのサウジアラビアが、いま観光の目玉としようとしているのが、5000万ドル(約70兆円)を投じるという、この国の北西部に建設中の計画都市「ネオム」だ。そこには、高さ500メートルもの「壁」で南北をはさむことで快適な人工的気候を確保した、幅200メートル、東西の長さ170キロという超未来型の「線状都市」「ザ・ライン」のほか、標高1500~2600メートルの山地につくられる人工のウインターリゾート「トロジェナ」などの観光施設が計画されている。

■次々とスポーツ大会を招致

 こうした政策転換を背景に、サウジアラビアは巨大スポーツ大会の招致を計画、すでにいくつもの大会招致に成功している。2027年のAFCアジアカップ(サッカー)を筆頭に、2029年の冬季アジア競技大会(トロジェナが中心)、そして2034年の夏季アジア競技大会である。そして当然のことながら、ワールドカップやオリンピックの開催も視野に入れている。

 ワールドカップの招致計画は、ギリシャ、エジプトとの共同開催だという。この大会は、1930年の第1回ウルグアイ大会からちょうど100周年ということで、南米のウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイ、チリの4か国の共同開催案が早くから伝えられていたが、モロッコがスペイン、ポルトガルとの共同開催案を発表するなどまだたくさんの案があり、2024年FIFA総会での決定まで紆余曲折があるに違いない。

■ポスト中国の筆頭候補

 それにしても、サウジアラビアの案は、ギリシャ(UEFA所属)、エジプト(アフリカサッカー連盟=CAF所属)という3つの地域連盟をまたぐ形での開催計画である。こうした計画は初めてのことで、注目されている。

 近年、ワールドカップを筆頭にした世界の巨大スポーツへの興味を強く示していたのは中国だった。2014年ブラジル大会まで、ワールドカップの公式スポンサーになっていた中国企業はわずか1つだったが、2018年ロシア大会では6社に急増、そのスポンサー招待を中心に、この大会には6万人もの中国人が観戦に訪れた。この数字は、ロシア国外からの観客数の最多記録だった。

 しかし昨年のカタール大会では、サウジアラビアからの観戦客が最多となった。中国からのスポンサー企業数は減ってはいなかったものの、「ゼロコロナ政策」で外国への渡航を禁じられた中国からの観戦客は非常に限られた数となったのだ。

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