3月26日(日)、中京競馬場で4歳以上馬によるGⅠ高松宮記念(芝1200m)が行なわれる。昨年11月の京阪杯で重賞初勝利を挙げたトウシンマカオ 今回が53回目で、GⅠになってからは28回目の開催となる。今年は、昨年の勝ち馬ナランフレグ、2…

 3月26日(日)、中京競馬場で4歳以上馬によるGⅠ高松宮記念(芝1200m)が行なわれる。



昨年11月の京阪杯で重賞初勝利を挙げたトウシンマカオ

 今回が53回目で、GⅠになってからは28回目の開催となる。今年は、昨年の勝ち馬ナランフレグ、2021年のスプリンターズS勝ち馬ピクシーナイト、2020年の朝日杯フューチュリティSを勝ったグレナディアガーズと3頭のGⅠ馬が出走予定。さらに、前哨戦のGⅢ阪急杯を勝ったアグリ、GⅢシルクロードSを勝ったナムラクレア、GⅢオーシャンSを勝ったヴェントヴォーチェなど、実績馬と新星が入り交じった興味深い一戦になった。

 このレースを血統的視点から占ってみよう。高松宮記念に限らず、芝の短距離戦で常に注目すべきなのがサクラバクシンオーの血。1993年と94年のスプリンターズSを連覇した同馬は"日本史上最強スプリンター"と称されることも多く、種牡馬としても成功を収めた。

 同馬が現役の頃は、このレースは「高松宮杯」という名の芝2000mのGⅡ戦だったため出走することはなかったが、産駒は2002年ショウナンカンプ、2016年ビッグアーサーと2勝を挙げている。母の父としても、キルロードが2022年に3着、ハクサンムーンが2013年3着、2015年2着と存在感を示している。

 今年はビッグアーサー産駒からトウシンマカオ(牡4歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)が出走を予定している。

 同馬は2歳時からGⅡ京王杯2歳S(東京・芝1400m)2着など重賞で活躍し、3歳1月にはクロッカスS(東京・芝1400m)を勝利。夏から1200m戦に路線を変更すると、2戦目のオパールS(阪神)を勝ち、続くGⅢ京阪杯(阪神)で重賞初制覇を果たした。

 前走のGⅢシルクロードS(中京)は4着に敗れたが、ハンデ戦で58.5kgという重い斤量を背負った上に、大外枠で展開も向かなかった。4角10番手から上がり3F33秒2の末脚を見せた走りは悪くなかったので、見直しは可能だろう。

 トウシンマカオの血統を見ると、兄ベステンダンクが都大路S(京都・芝1800m)の勝ち馬で、母系はスペシャルウィーク、ウッドマン、ニジンスキーと日米欧の成功種牡馬が並ぶ。短距離戦といえどもスピード血統だけでGⅠを勝つことは難しく、母系にスタミナの血を持つのは好感が持てる。父仔制覇に期待したい。

 もう1頭は、キズナ産駒のダディーズビビッド(牡5歳、栗東・千田輝彦厩舎)を推す。同馬は昨年の信越S(新潟・芝1400m)など1400~1600mで4勝。1200mでは6戦して2着が2回と勝利はないが、血統はスプリンターの資質を秘めている。

 父キズナはGⅠ日本ダービー馬であり、産駒はGⅡ阪神大賞典連覇のディープボンドのようなステイヤーも出すが、GⅠ安田記念のソングラインのほか、GⅢ函館スプリントSなど芝1200m重賞を2勝したビアンフェなど、スピードタイプも少なくない。

 そして母系を見ると、いとこに有馬記念、天皇賞・秋、皐月賞を勝ったエフフォーリアや、ジャパンC、宝塚記念、ドバイデューティフリーを勝ったアドマイヤムーンがいる良血。その2頭は芝中距離戦を中心に活躍したが、アドマイヤムーンは種牡馬としてセイウンコウセイ、ファインニードルと2頭の高松宮記念勝ち馬を出している。また、母のいとこスリープレスナイトはスプリンターズSの勝ち馬。この血統背景からすれば、ダディーズビビッドが芝1200mのGⅠで好勝負をしても不思議はない。

 前走のGⅢ阪急杯(阪神・芝1400m)では、先に抜け出したアグリをゴール前で追い詰め、クビ差の2着に入っている。重賞レースには2歳時から挑戦を始め、6回目の挑戦にして初めて連に絡んだ。本格化が感じられるし、1400mのハイペースでも中団より前にポジショニングができるスピードもあるので、GⅠのペースにも対応できるはずだ。

 以上、今年の高松宮記念はビッグアーサー産駒のトウシンマカオ、キズナ産駒のダディーズビビッドの2頭に期待する。