UEFAチャンピオンズリーグ(CL)はベスト8が出そろい、準々決勝以降の対戦カードも決まった。混戦と見られている今シーズ…

UEFAチャンピオンズリーグ(CL)はベスト8が出そろい、準々決勝以降の対戦カードも決まった。混戦と見られている今シーズン、ヨーロッパの頂点に立つチームはどこか。3人の識者に優勝予想をしてもらった。

◆ ◆ ◆



CL準々決勝以降の組み合わせが決まった

◆準々決勝組み合わせ
(※左側のチームが第1戦のホーム)
【Match1】
レアル・マドリードvsチェルシー
(1stレグ4/12、2ndレグ4/18)
【Match2】
ベンフィカvsインテル
(1stレグ4/11、2ndレグ4/19)
【Match3】
マンチェスター・シティvsバイエルン
(1stレグ4/11、2ndレグ4/19)
【Match4】
ミランvsナポリ
(1stレグ4/12、2ndレグ4/18)

◆準決勝(1stレグ5/9,10 2ndレグ5/16,17)
ミランvsナポリの勝者 vs ベンフィカvsインテルの勝者 
レアル・マドリードvsチェルシーの勝者 vs マンチェスター・シティvsバイエルンの勝者

◆決勝(6/10)

【リアリズムを備えたバイエルンか】

中山 淳(サッカージャーナリスト)

◎本命=バイエルン 
○対抗=マンチェスター・シティ 
△穴=レアル・マドリード

 CLを制するためには、「実力」のみならず、「経験」と「運・勢い」が極めて重要な要素になる。とりわけ、驚異的な逆転劇を連発して頂点に立った、昨シーズンの王者レアル・マドリードを目の当たりにして、改めてそのことを痛感した。

 それを踏まえて今シーズンの8強の顔ぶれを見てみると、バイエルン、レアル・マドリード、マンチェスター・シティが優勝に最も近いチームになる。

 もちろん「運・勢い」は予測不能なので今回は考慮しないとして、実力だけならCL初制覇のためのラストピース、アーリング・ハーランドが爆発中のシティが頭ひとつ抜けた印象。「経験」を加味すれば、バイエルン、マドリーとほぼ横一線と見る。ただ、さすがにマドリーが2年連続で昨シーズンのような神がかり的な勝ち方をするとは考えにくいので、本命バイエルン、対抗シティ、穴にマドリーとしたい。

 問題は、本命と対抗が準々決勝で対戦するということだ。正直、どちらが優勢とも言えない非常に読みにくいカードになるが、バイエルンはラウンド16のパリ・サンジェルマン戦で証明したように、相手の武器を消す作業も辞さないリアリズムを兼ね備えたチーム。逆に、ペップ率いるシティは常に先進的なスタイルでピッチを圧倒することはできるが、相手の良さを消す作業にはあまり興味を示さないロマン主義のチームだ。

 個人的な好みで言えばシティに初優勝を、と思ってしまうが、毎回そのロマンティシズムが凶と出てしまう過去を考えると、ほんのわずかだがバイエルンが優勢に見えてしまう。

 一方、今回の組み合わせでは、この3チームとは別の山から必ずファイナリストが生まれることになる。ミラン対ナポリの勝者、もしくはベンフィカ対インテルの勝者だ。つまり、3チームを占めるイタリア勢から優勝チームが生まれる可能性もあり、そのなかでは今大会屈指の攻撃サッカーを見せているナポリを大穴として推しておきたい。

【ハーランドを加えたシティが遂に行くか】

西部謙司(サッカーライター)

◎本命=マンチェスター・シティ 
○対抗=バイエルン 
△穴=ナポリ

 準々決勝のマンチェスター・シティ対バイエルンは、優勝候補同士の対決。これに勝ったほうが優勝に近づくと考えられるが、レアル・マドリード、チェルシーも難敵なので予断を許さない。

 反対側の山はダークホースだらけ。ミラン、ナポリ、ベンフィカ、インテルはいずれも優勝候補と呼ぶには力不足かもしれないが、勢いに乗れば面白い。

 今季のCLには絶対的な優勝候補がいない。実力的にはわずかにシティ、バイエルンが抜きんでているが、昨季のように奇跡的逆転の連発でレアル・マドリーが勝ち抜ける可能性も否定できないし、ナポリやベンフィカが何かを起こすかもしれない。それでもシティを本命に推すのは、ハーランドがいるから。

 グアルディオラ監督はバルセロナ時代に2回CLで優勝しているが、それ以降はバイエルンでもシティでもあと一歩届かなかった。実力的には優勝していてもおかしくないのに優勝できない。それだけCLは僅差勝負であり運にも左右されるところが大きいからだろう。

 今季、シティはハーランドを獲得した。それによってチームの機能性は一部損なわれている。昨季のシティはエースストライカーのいないチームだったが、そのぶんグアルディオラ監督らしいパスワークと流動性が際立ち、ある意味完璧で機械のような仕上がりをみせていた。

 それをあえて壊してもハーランドを加えたのは、圧倒的な得点力に期待したのだと思う。あえて完璧なチームを壊しても個を優先し、限界突破のためのほんのわずかの差を作り出せる能力に賭けたのだろう。英断は今のところ吉と出ている。

 ナポリは屈強なクビチャ・クバラツケリア、ヴィクター・オシムヘン、イルビング・ロサーノの快足FWトリオが強烈。熱狂的なファンの後ろ盾もあって勢いに乗りそう。ベンフィカはテクニカルで、ミラン、インテルもしぶとさがあるが、得体の知れなさと潜在的爆発力から言って、このなかで優勝を期待できるのはナポリではないか。

【レアル・マドリードは今季も健在】

杉山茂樹(スポーツライター)

◎本命=レアル・マドリード 
○対抗=ナポリ 
△穴=マンチェスター・シティ

 マンチェスター・シティ対バイエルン。ブックメーカーをはじめとする大方の予想で、本命と対抗に挙げられている両チームが準々決勝で早くも対戦。星の潰し合いをする。一方、準々決勝でチェルシーと対戦する3番人気のレアル・マドリードは、この一戦に勝利すればその勝者と準決勝で対戦する。

 こちらサイドの山に強豪が集まった。1番人気から3番人気までの3チームと5番人気のチェルシーだ。この抽選結果を受け、チャンス到来とばかり大喜びしているのは4番人気のナポリだ。決勝へ進出する可能性はどこよりも高い。

 そしてなによりルチアーノ・スパレッティ監督のサッカーが面白い。セリエAで断トツの首位を走り早くも優勝間近であるため、CLに専念できる余裕がある点も強み。大会の焦点はナポリの相手探しと言ってもいいくらいだ。

 その相手に推すのは、マンチェスター・シティ、バイエルンではなく、昨季の覇者レアル・マドリードだ。

 振り返れば、昨季の決勝トーナメント4試合でレアル・マドリードはすべて下馬評で相手に上回られていた。番狂わせを4試合続け優勝したダークホース的な、受けて立っていないチャレンジャー的な魅力が今季も健在なのだ。CL優勝14回という断トツの実績を誇る欧州一の名門であるのに、好チーム。銀河系軍団時代に露呈させた成金色は全くない。ピリ辛のサッカーでなによりバランスがいい。

 ヴィニシウス・ジュニオールとカリム・ベンゼマという欧州最強の絶対的なコンビが存在することも輪を掛ける。この2人が絡むと相手の守備陣は棒立ちになる。得点の匂いは瞬間、プンプンと漂う。多少押されていても逆襲から2人で試合を決める力がある。

 レアル・マドリードに比べると、マンチェスター・シティのサッカーは甘く見える。バイエルンには勝てるかもしれないが、レアル・マドリード戦となると、昨季の準決勝の戦い(合計スコア5-6)を想起してしまう。そこからアーリング・ハーランドが加わっているが、チーム力そのものは上がっていないと見る。

 レアル・マドリードにとって戦いにくいのは、むしろ受けて立つ格好になるナポリのほうだろう。