ウズベキスタンで開催中のAFC U20アジアカップ2023──。日本代表は惜しくも、準決勝でイラクに敗れた。 世界への…
ウズベキスタンで開催中のAFC U20アジアカップ2023──。日本代表は惜しくも、準決勝でイラクに敗れた。
世界への切符を掴んだ準々決勝のヨルダン戦から3日後、メンバー6人を入れ替えて試合に臨んだ。
U-20ワールドカップ出場権をすでに手にしていた──ということは、このイラク戦からはメンバー争いの再開でもある。だが、冨樫剛一監督は「そんなことよりも、まずイラク戦に勝ちたかった」と先発メンバー入れ替えの意図を説明した。

U20アジアカップで松木玖生の存在感は際立っていた
しかしプレスがハマらず、むしろサイドで巧みに奪われ、ボールをつながれて劣勢になっていった。前半を0-1で折り返したのは初戦の中国戦と同じだが「中国戦のように相手に圧をかけることができたなかでの0-1と、イラク戦のようにうまくかけられなかったなかでは、同じスコアでも意味が違う」と、指揮官はいかに日本が苦しんだかを説明した。
6人のメンバー変更の影響を感じざるを得なかった。それについて、指揮官は「それよりも相手のクオリティが高かった」と選手をかばった。
試合は取られては追いつきを2度繰り返し、2-2でPK戦へ。PK戦では佐野航大だけが外した。
佐野はこの日先発し、中盤からサイドバックまで120分のなかでポジションを変えながら奮闘。それでも冨樫監督は「120分間走り回っていたけど、練習でも外したことがない」とキッカーに指名したが、その彼が外すという皮肉な結果だった。
イラク戦で先発を外れたひとりに、松木玖生がいる(後半から途中出場)。松木は初戦からヨルダン戦まで、4試合すべてフル出場。疲労を考慮してのベンチスタートだった。前半ベンチで戦況を見つめながら、松木は厳しさを感じていた。
「先制点を決められてしまうと、やはり難しい。それはわかりきっていることでもあるので。この立ち上がりのところは、大会を通して本当に課題になってしまっている。世界大会に向けて、本当に修正しないといけないですね」
中国戦やこのイラク戦のように前半に失点する、もしくはキルギス戦やヨルダン戦のように前半をなんとか無失点で折り返して後半で巻き返すなど、前半は慎重さゆえにリズムを掴みきれないことが多かった。結果の求められる大会で、セイフティになることは致し方ないにせよ、改善の余地は残った。
【松木への信頼は増すばかり】
ただ一方で、4試合11得点。「フォワードが点を取って勝つチーム」を監督が標榜するだけあって、前線の得点力は頼もしいものがあった。
「自分たちも絶対に点数を決められるチームではあるので、リードされてからも自信を持ってやっていました」と松木。
今後、世界が相手にどうかとなると、また別の話でもある。
松木は今大会では、キルギス戦の2得点など攻撃的なプレーだけでなく、キャプテンマークを巻いてチームを鼓舞し続けた。なによりも胸を打つのは献身性で、味方にパスを要求して前線で待つわけではなく、相手の攻撃の芽を積み、誰よりも走り回った。
「勝ってても、負けてても、最後まで笛がなるまであきらめないところは、自分が見せないといけないところかなと思います」
それが松木の"主将"としての覚悟だ。
所属クラブで出場機会獲得に苦しむ選手も少なくないなか、J1でレギュラーを掴んでいる唯一の選手でもあり、勘所のよさとゲーム体力、すべてにおいて現時点ではチームをリードする存在だったことは認めざるを得ない。さらに、松木自身も意識は高く、先を見据えている。
「自分の強みとして、運動量のところと攻撃力、守備力いろいろありますけど、海外に出て行ったら一番求められるのはそこ(運動量・攻撃力・守備力)だと思っている。プラスアルファとして求められるものもあるので、そこに自分はまだ達していないと思う」
欧州のレベルについては、高校時代からいくつかのチームの練習に参加し、経験して体感したことに加え、FC東京の同僚・長友佑都から学ぶものが大きいとも明かしている。
「長友佑都選手はすごくメンタル的なところ、私生活でもピッチでもいろいろなところで、自分しかり、若手選手たち皆にいい影響を与えています」
松木をイラク戦先発から外した影響について、冨樫監督は「想像の域を出ない」と話すにとどめ、多くは語らなかった。
それでも現時点では、明らかに「松木のチームである」と逆説的に感じさせるイラク戦であった。