3月に入り、一気に気候も春らしくなってきた。蹴球放浪家・後藤健生が思い出すのは、2002年のポーランドだ。トルシエ・ジ…
3月に入り、一気に気候も春らしくなってきた。蹴球放浪家・後藤健生が思い出すのは、2002年のポーランドだ。トルシエ・ジャパンが自国開催のワールドカップを前に勝利を持ち帰った遠征だ。もちろん、蹴球放浪家も、貴重な経験を積んできた。
■夏時間の季節
サッカーが好きな方なら、ヨーロッパで「夏時間」が実施されていることはよくご存じでしょう。
日の出が早く、日の入りが遅い夏場に時計の針を1時間進めることによって、明るい時間を有効に活用しよう(朝は早く起きて、夜も屋外での活動をしやすくする)というのがその趣旨。英語では「デーライト・セービング・タイム」つまり「日光を節約する時間」と呼ばれています。
日本に比べて緯度が高いヨーロッパでは、夏と冬で昼と夜の時間はとても違うので、たしかに電気代の節約になるでしょう。
各国でその歴史は違うようですが、1970年代以降はEU(ヨーロッパ連合)加盟国ではすべての国でこの「夏時間」が採用されています。ただし、最近は弊害の方が多いのではないかという意見も多く、いずれ廃止されるかもしれません。
ヨーロッパ中央部は、グリニッジ標準時より1時間進んでいて本来は日本との時差が8時間なのですが、夏時間の間は時差が7時間に縮まります。その結果、各国リーグやチャンピオンズリーグのキックオフの時間が(日本時間では)1時間早くなるというわけです。
そして、冬時間から夏時間に変わるのは「3月の最終日曜日の早朝」と決まっています。この日の午前2時になると、時計の針が1時間進められて午前3時になるというわけです。今年だったら、3月26日ということになりますね(冬時間に戻るのは10月です)。
■取材の後のお楽しみ
2002年の3月にフィリップ・トルシエ監督率いる日本代表チームはポーランドに遠征しました。日韓ワールドカップ開幕の3か月前のことです。準備の最終段階のことでした。
3月27日に首都ワルシャワ近郊の工業都市ウッジで行われた試合で、日本はポーランドを2対0で破りました。前半10分に右サイドを突破した市川大祐のクロスがこぼれたところを中田英寿が決めて先制。42分には、市川からのアーリークロスを高原直泰が決めました。
日本の完勝でした。しかも、ヨーロッパのナショナル・チームとアウェーで対戦して勝利したのですから、日本の強化を実感できた試合となりました。
さて、ポーランド戦の翌日、僕はワルシャワから南部のクラクフに向かいました。列車で2時間40分くらいの距離です。「Krakow」と書いて「クラクフ」と読みます(ポーランド語は発音=カタカナ化が難しい)。
クラクフ行きの目的は観光です。
■ポーランドの魅力
ポーランドというのは、僕の好きな国の一つなのです。1974年のワールドカップ西ドイツ大会を見に行った時にワルシャワに立ち寄ったのが、僕にとって初めての海外一人旅でした。そこで、ポーランドの歴史や文化を勉強しましたし、巨匠アンジェイ・ワイダ監督の映画もほとんど見ていました。
クラクフはポーランドの古都で、第2次世界大戦で都市の大半が破壊されてしまったワルシャワと違って、クラクフはあまり被害を受けなかったので昔のままの建物が残っていて大変に美しい街なのです。もちろん、旧市街は世界遺産に登録されています。
そして、クラクフではイースター(復活祭)のお祭りも有名だったのです。
「イースター」は十字架に懸けられて処刑されたイエスが3日後に復活したことを祝うキリスト教のお祭りですが、キリスト教が広まる前の古代からヨーロッパでは春の訪れを祝う日となっていました。
「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」なので、年によって日にちは違いますが、いずれにしても3月後半から4月の初めのこと。つまり、冬時間から夏時間に変わる頃ということになります。2002年のイースターは3月31日の日曜日でした。