チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦8試合がすべて終了。以下の8チームが準々決勝に駒を進めた。 マンチェ…
チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦8試合がすべて終了。以下の8チームが準々決勝に駒を進めた。
マンチェスター・シティ、バイエルン・ミュンヘン、レアル・マドリード、ナポリ、チェルシー、ミラン、ベンフィカ、インテル
イタリア3、イングランド2、ドイツ、スペイン、ポルトガル各1という割り振りになった。イングランド3、スペイン3、ドイツ、ポルトガル各1だった昨季とは様相が一変。スペインが3から1に、イングランドが3から2に減らしたのに対し、イタリアが0から3へと急上昇した。
イタリア勢のベスト8入りは2018‐19のユベントス以来4シーズンぶり。3チームがベスト8に駒を進めた過去になると18シーズン前(2005‐06)まで遡る。
上で記した8チームの並びはブックメーカーの優勝予想の順番になる。イタリアの3チームのなかで最も評価が高いのは、全体で4番人気のナポリとなる。セリエAで現在、首位を独走。2位インテルに18ポイントもの大差をつけ、早くもリーグ優勝を動かぬものにしている。CLに照準を合わせながら戦うことが、どこよりも可能なチームだ。評価が高まる理由である。
決勝トーナメント1回戦の相手はフランクフルトで、初戦のアウェー戦を0-2のスコアで完勝。地力の違いを見せつけていた。逆転を狙うフランクフルトは従来の3バックではなく、より攻撃的な4-2-3-1の布陣で、サンパオロで行なわれた第2戦に臨んだ。

ナポリに2戦合計5-0と完敗を喫したフランクフルトの鎌田大地
この日に行なわれたもう1試合、レアル・マドリード対リバプールも同様な展開で、初戦をアウェーのレアル・マドリードが2-5のスコアで制していた。
リバプールが3点差を逆転した試合として引き合いに出されるのは2004‐05シーズンのCL決勝ミラン戦だ。前半を0-3で折り返したリバプールが、後半3点を奪って3-3に追いつき、延長、PK戦でミランを下した一戦だ。4-2-3-1でスタートした布陣を後半開始から3-3-3-1に切り替え、破れかぶれとも言いたくなる強烈なプレッシングを仕掛けたことが奏功。大逆転劇を生んだ一番の要因だった。
【敵地での逆転劇はならず】
ナポリ、レアル・マドリードとの第2戦に臨むフランクフルトとリバプール。それぞれの立ち上がりが注目された。
2004‐05シーズン決勝のリバプールが0-3から1-3とした時間は後半9分だった。そして11分、15分とたて続けにゴールを奪った。後半の頭からリバプールは目一杯飛ばした。中盤の看板選手スティーブン・ジェラードを最前線にコンバート。荒れくるうように彼はボールを追いかけた。楽勝ムードだったミランはその圧力に慌てた。
今回のリバプールは相手のレアル・マドリードをどれほど慌てさせることができるか。それこそが最大の見どころだった。フランクフルトも同様。ナポリをどれほど慌てさせることができるか。
鎌田大地が4-2-3-1のどこで起用されるか。その点も注目ポイントのひとつだった。UEFAからリリースされた布陣図では、その名前は「3の左」にあったが、実際は真ん中付近にポジションをとることが多かった。相手の左サイドバック、ジオバンニ・ディロレンツォにプレッシャーを掛けることより、ゲームメーカー然とボールに触りたがった。ポジションをカバーする意識の低さを露呈させた。
これでは逆転は難しい。鎌田のプレースタイルを見て思った。2004‐05シーズン決勝でハイプレスの主役になったジェラードは本来センターハーフで、ポジション的に鎌田と似たタイプの選手だった。両者を比較すれば、相手にとって脅威に映るのはジェラードだろう。第1戦を終え、格上のナポリに0-2の状況となればなおさらだ。「マイボールありき」の発想では相手は慌てない。反撃ムードは高まらない。ジェラードのような躍動感溢れる振り切ったアクションが見たかったとは、正直な気持ちだ。
一方、レアル・マドリーに向かったリバプールは、立ち上がりから仕掛けようとする姿勢は見て取れた。しかし、2004‐05シーズン決勝のミランとは異なり、レアル・マドリードは慌てなかった。そもそも引いて守ろうとしなかった。リバプールが1回攻めれば、必ず1回攻め返した。連続攻撃を受け慌てるというシーンはなかった。逆に攻め返せば、威力を発揮した。
【下馬評が低いレアルだが...】
ヴィニシウス・ジュニオールとカリム・ベンゼマは、いま欧州一のコンビだろう。この2人が左サイドで連係すると、レアル・マドリードのペースは一気に加速した。右はフェデリコ・バルベルデがセンスよくカバー。中盤はトニ・クロースとルカ・モドリッチが、名監督が選手に成り代わったような上等なプレーをする。
レアル・マドリードは後半33分、このヴィニシウスとベンゼマのコンビで、合計スコアを6-2とするゴールを奪い、昨季の決勝の再戦となったこの試合に圧勝した。だが、冒頭で触れたブックメーカーの優勝予想では、マンチェスター・シティ、バイエルンに次ぐ3番手の扱いを受ける。下馬評は思いのほか低い。そうだろうか。リバプール戦のあまりに賢い戦い方を見ていると、筆者としては本命に推したくなる。
現在のレアル・マドリードに、かつて銀河系軍団と言われた時代の粗野なイメージは全くない。マンチェスター・シティ、パリ・サンジェルマンといった当代の金満クラブにはない、好チームとしての顔を見る気がする。
好チームといえば、フランクフルトに合計スコア5-0で勝利したナポリを忘れることはできない。ルチアーノ・スパレッティが攻撃的サッカーを掲げ、欧州のサッカーシーンに登場したのは、いまから20年前の話になるが、CLでの最高位はローマ時代のベスト8だ。イタリアを代表する名将ではあるが、欧州を代表する名将にはなり得ていない。今回は昇格のチャンスだと見る。
三笘薫所属のブライトンを彷彿とさせる。その兄貴分のようなサッカーにも見える。鎌田の話に戻れば、注目は来季の移籍先だ。フランクフルトからどこに移るか。CL優勝を本気で狙うようなビッグクラブは難しい。バルセロナが関心を示したとする報道を見たことがあるが、それが事実だとしても、そこ止まりだろう。そこから1ランク落ちるチームが現実的だ。ドルトムントあたりが有力な該当チームになるが、この試合を経て、思うのは相手のナポリだ。
欧州には対戦相手の選手に、監督が目を奪われ獲得に動くというケースがよくある。スパレッティ率いるナポリは、鎌田にとってそんな可能性を秘めた相手だった。筆者には、鎌田にとってナポリが最高のチームに見えて仕方がない。