引退した元テニスのスター、ジェームズ・ブレイク(アメリカ)は誤って逮捕され、警官によって乱暴に捕らえられたあと、ニューヨーク市を起訴する権利を持ちながら訴えを取り下げることに同意した。交換条件として、彼の名を運ぶ、警察の監査機関の仕事をサ…

 引退した元テニスのスター、ジェームズ・ブレイク(アメリカ)は誤って逮捕され、警官によって乱暴に捕らえられたあと、ニューヨーク市を起訴する権利を持ちながら訴えを取り下げることに同意した。交換条件として、彼の名を運ぶ、警察の監査機関の仕事をサポートする特別研究員奨学金制度が生み出されることになる。

 ニューヨーク市とブレイクの弁護士は、水曜日に合意に達したことを発表した。この奨学制度の恩恵を受ける研究員は、警察の行為に対する市民からの苦情を調査する団体のために2年間働き、ニューヨーク市が6年に渡りその勉強の資金を負担する。給金は、その機関の他のスタッフと同等のものになり、年棒は6万5000ドルを下らない、と当局は言った。

 研究員の仕事は、警察に対し苦情を申し立てている市民のために組織を導く助けをし、しっかりとした調査を促すことにある。

 ブレイクは2015年9月9日、マンハッタンのホテルの外で警官に飛びつかれ手錠をかけられた。2013年全米オープン後に引退する前には世界4位にまで至ったことのあるブレイクは、警察によれば、携帯電話詐欺組織の犯人のひとりと見間違えられたのだという。

 警察は事件発生当時、ブレイクに非常によく似た犯人と間違えた、と弁明していた。

 ホテルの外側にあった防犯ビデオの映像は、警察官ジェームズ・フラスカトーレがブレイクの腕をつかみ、彼を乱暴に地面に押さえつけた様子をとらえていた。不必要なまでに乱暴に扱われたという不平の訴えは、市民からの苦情を審査する団体CCRBによって実証された。フラスカトーレの内部処罰がどうなるかは不明で、彼の弁護士はノーコメントを通した。

 市長のビル・デブラシオと当時の警視庁官ウイリアム・ブラットンは、事件当時、ブレイクに謝罪した。

 ブレイクの弁護士は、奨学制度の創設は市のために大きな実りをもたらす妥協策であると言う。

「警官による過剰な力を使った執行に強いフォーカスを当て、この非常に重大な問題に取り組むために、この奨学制度は生み出された。市が費用を負担し、独立した調査員を市政に導入することになる」と弁護士のケビン・マリノは言った。

 ブレイクは声明文の中で、ニューヨーク市に感謝したい、と言っている。

「最初の日から、このネガティブな出来事をポジティブなものに転換する、というのが僕の意図するところだった。そしてこの特別奨学制度は、その目標を達成するものだと思う」とブレイクは言った。

 民主党のデブラシオ市長は、この示談の合意内容を称えた。この和解の合意には、また、ブレイクと彼の弁護チームのための法的費用と旅費の弁償金17万5000ドルも含まれている。

「情報を隠さず公開する透明性、成果を出し説明する責任は、法的機関の役人(警察など)と、地域社会(市民)の間の絆を強めるために非常に重要なものとなる。〈ジェームズ・ブレイクCCRB奨学制度〉は、これらの関係を改善させるための、当局の深い献身の姿勢に基盤を置いている」と市長は声明文の中で言った。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は、ニューヨークで誤認逮捕されてからおよそ2年の時を経て、市と和解し、警察の監査機関の仕事をサポートする特別研究員奨学金制度の発足につなげた元世界4位のジェームズ・ブレイク(アメリカ)。(写真◎Getty Images/2015年10月に撮影)

Photo: NEW YORK, NY - OCTOBER 28: (EDITORS NOTE: Image has been converted to black and white.) Former Tennis player, James Blake attends Faces of the 2015 New York City Marathon media photocall at Central Park on October 28, 2015 in New York City. (Photo by John Lamparski/WireImage)