JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)が主催する自転車ロードレースのシリーズ戦「JBCFサイクルロードシリーズ」の最高峰リーグ「Jプロツアー」の2023年の開幕戦「第1回鹿屋・肝付ロードレース」が2月25日、、初開催となる鹿児島県立大隅広域…

JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)が主催する自転車ロードレースのシリーズ戦「JBCFサイクルロードシリーズ」の最高峰リーグ「Jプロツアー」の2023年の開幕戦「第1回鹿屋・肝付ロードレース」が2月25日、、初開催となる鹿児島県立大隅広域公園周辺特設コースで開催された。



Jプロツアー2023開幕戦は初開催の「鹿屋・肝付ロードレース」

「第1回鹿屋・肝付ロードレース」は、鹿児島県立大隅広域公園にスタート・フィニッシュ地点を設け、鹿屋市と肝付町にわたる1周6.5kmの公道を周回するコースを使用する。



鹿屋市と肝付町に広がる1周6.5kmの周回コース

コース前半はゆるやかなアップダウンが続く丘陵地帯を走り、後半は平坦基調の市街地を走る。コース内に厳しい登坂は含まれず、テクニカルなパートもない。比較的、スタンダードな印象だが、集団の動きを考えると、周回を重ねるごとに体力が徐々に削られるタイプのコースというところか。Jプロツアーのレースはこのコースを20周する130kmの設定で行われることになった。



序盤はゆるやかなアップダウンが続く

シーズン開幕戦ということで、移籍組はまだ見慣れぬジャージ姿で認識しにくく、海外遠征ですでにシーズン入りしたチームもあるが、多くの選手はオフ明けで、選手のコンディションもわからない。それぞれのチームが探りを入れながらのレースになるだろう。
このJプロツアーでは、シリーズ戦の累計でその時点で個人総合ランキング首位の選手には、レッドジャージが、U23の首位の選手にはホワイトジャージが与えられる。レッドジャージを抱えるチームはリーダーチームとして、相応の走り方が求められることになる。
今回は第1戦であり、リーダー不在の状態で、選手たちがスタートラインについた。最前列に並ぶのは、ホストチームとなる鹿屋を本拠地とするチーム「シエルブルー鹿屋(CIEL BLEU KANOYA)」のメンバーだ。



最前列に並ぶシエルブルー鹿屋のメンバー

集まった観客たちに見送られ、選手たちがスタートして行った。レース前半は数名が抜け出しては、集団に捕らえられる繰り返しで、決定的な動きが生まれないまま周回を重ねることになった。
後半に差しかかった10周目、ようやく大きな動きが生まれた。序盤にも積極的に動いていた河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)が単独で抜け出したのだ。



河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)が集団から抜け出した

メイン集団は30秒前後の差を維持してこの河野の動きを見守った。12周目に入ると、才田直人(ベルマーレレーシングチーム)が追走を始め、ここに5名が加わり、先頭河野を追い始めた。
ほどなく、6名が河野に合流、先頭集団は7名になった。このメンバーには、天野壮悠(シマノレーシング)や新城雄大(キナンレーシングチーム)など、主要チームのメンバーも含まれていた。メイン集団との差は一時2分近くまで拡大した。



7名の先頭集団を形成



春を先取りする景観の中を走る

終盤に向けてメイン集団も徐々にペースアップ。差は1分前後まで縮まった。



ペースが上がり、集団は長く伸びた

先頭にメンバーを送り込めなかった愛三工業レーシングチームが集団の先頭に立ち、ペースアップを始めた。



先頭に立ち、ペースアップし、先頭集団との差を詰める愛三工業レーシングチーム。後方にも選手たちがチームごとにまとまり、ゴールへの準備を始めているのが見える

逃げ切りをかけ、ペースを上げる先頭集団からは、堪えきれなくなった選手たちがこぼれ落ち、河野、天野、新城、永山貴浩(備後しまなみeNShare)の4名となった。



ラスト2周、4名までに減った先頭集団。背後には追ってくるメイン集団

レースはついに最終周回に突入。すべての逃げが吸収され、一つの集団となった。



ゴールを狙うチームブリヂストンサイクリングが先頭を奪う



地元シエルブルー鹿屋も上がってくる

トラックレーサーを多く抱えるチームブリヂストンサイクリングやシエルブルー鹿屋、今年大きな補強を行ったシマノレーシングのメンバーらもゴール勝負に向けての位置取りで前方に集まってきた。トップスプリンター岡本隼(愛三工業レーシングチーム)を抱える愛三工業レーシングチームも、やすやすとここまで引いてきた先頭を渡すわけはない。熾烈(しれつ)な位置取り合戦が繰り広げられることになった。
愛三工業レーシングチームが先頭で、ラスト1kmに突入。上り基調のスプリント勝負となり、最後の150mを先頭で通過したのは岡本だった。



上りスプリントは、ラスト150mに岡本隼(愛三工業レーシングチーム)を先頭に突入

昨年U23の首位を獲得した山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)が岡本に迫ったが、岡本は誰も寄せ付けず、そのままトップでフィニッシュラインに飛び込んだ。



初戦からすばらしいスプリントで勝利を勝ち取った岡本

3位には草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)が入った。12年ぶりに監督が交代し、新体制となった愛三工業レーシングチームは、初戦から表彰台の2席を確保する幸先のよいスタートとなった。



表彰台の3名。3位には2021年の全日本チャンピオン、草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)が入った

岡本は「初戦でチームとしてまとまって勝てて、これ以上嬉しいことはない」と喜びを噛みしめた。レース中盤は、先頭グループにメンバーを送り込めず、さらには、メイン集団を揺さぶろうとしても崩れず、チームは追い込まれた状態にあったという。メイン集団の牽引に切り替え、最終局面まで温存され、最後のバトンを渡された岡本が、しっかりスプリントを制した。プレッシャーに打ち勝った岡本は、安堵と誇りに満ちた笑みを浮かべていた。



プロツアーリーダーのレッドジャージを手に入れた岡本



U23リーダーは津田悠義(キナンレーシングチーム)の手に

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【結果】
第1回鹿屋・肝付ロードレース130km

1位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)3時間5分37秒
2位/山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)+0秒
3位/草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)+1秒
4位/石原悠希(シマノレーシング)+1秒
5位/北野普識(イナーメ信濃山形)+1秒

【Jプロツアーリーダー】
岡本隼(愛三工業レーシングチーム)

【U23リーダー】
津田悠義(KINAN Racing Team)

画像提供:JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)