6月21日、エリオドロ・ロドリゲス・ロペスで行なわれたリーガエスパニョーラ・プリメーラ(1部)昇格プレーオフ決勝第…
6月21日、エリオドロ・ロドリゲス・ロペスで行なわれたリーガエスパニョーラ・プリメーラ(1部)昇格プレーオフ決勝第1戦、テネリフェ対ヘタフェの一戦は、34分に柴崎岳のアシストからホルヘ・サエンスが決めたゴールが決勝点となり、1対0とホームチームが勝利を収めた。テネリフェは夢の実現にあとひとつと迫った。

1部昇格プレーオフ、ヘタフェ戦に先発、決勝点をアシストした柴崎岳
プレーオフ準決勝第2戦のゴールに続いて、再び柴崎がテネリフェファンに大きな喜びを与えた。
34分の右CK。柴崎の右足から放たれたボールはきれいな弧を描き、ヘタフェDFの間にいたホルヘ・サエンスへと届く。U-19スペイン代表にも選出されたテネリフェ生え抜きの20歳がこれを頭で合わせる。ボールがネットを揺らすやいなや、スタジアムは3日前と同様に歓喜の雄叫びを上げた。
大歓声が響き渡る中、値千金の得点を決めたCBは柴崎のもとへ走り、日本人MFと抱擁をかわした。そこに次々とチームメイトが集まり、ピッチに咲いた小さな白い花から喜びが溢れ出した。
「とてもいいボールだったね。自分はただ合わせるだけでよかった。あのゴールの半分はいいボールを上げてくれたガクのものだよ」
ミックスゾーンでホルヘ・サエンスはそう言って、柴崎の正確なキックに感謝した。
柴崎がテネリフェの中心選手のひとりとなったことは、何もチームの中だけでの話ではない。スペイン各紙は試合前のプレビューでも、柴崎をキープレーヤーとして取り上げていた。スタジアムの記者席にいると、隣のブースのラジオの中継から、何度もスペイン語にはない「ガク」という固有名詞が聞こえてくる。逆サイドに設置されたテレビカメラは、しばしばアップで柴崎にフォーカスを合わせていた。
テネリフェの街を歩けば、決して多くはないが日本代表のユニホームを着ているサポーターの姿があったし、どこで購入したのかわからないが、テネリフェのクラブの旗と共に日の丸の旗を持つ集団もいた。もちろん、こちらに向けて「ガク!」と声をかけてくる地元の若者が大勢いることは言うまでもない。
スペインの人々を虜(とりこ)にしている柴崎。そのひとつの理由が彼のテクニカルなプレーにある。カバーに入った選手に止められはしたものの、瞬時の判断能力と高い技術スキルがないと見せることができない前半終了間際のルーレットは、スタジアムを酔わせるのに十分なものだった。
この試合、83分でピッチを後にした柴崎に向かって、大きな拍手とともに「ガーク、ガーク」の大合唱が送られた。2009~10シーズン以来8年ぶりのプリメーラ昇格をかけたプレーオフで主役を努めている選手に対して、相応しい賛辞だろう。
夢のプリメーラ昇格まで、残された試合は今週土曜日のヘタフェでの90分の戦いだけになった。次はスタジアムにチームを後押ししてくれるサポーターはいない。だが、ホームでしっかりとリーチをかけたテネリフェには風が吹いているようにも感じられる。
この第1戦では、試合終了間際に同点になってもおかしくないプレーがあった。90分、カマラがエリア内でヘタフェのフステルの足を削ったシーンだ。PKが与えられてもおかしくなかったが、主審はこのプレーを見逃している。
また、カディスで行なわれた準決勝の第1戦でも、カディスのアリダネの正当なゴールが取り消される幸運がテネリフェにはあった。もし、このゴールが認められていれば、テネリフェのシーズンはすでに終わっていた。
ともかく、泣いても笑っても残された試合はあとひとつ。再び柴崎がチームをプリメーラへと導くプレーを見せ、テネリフェがプリメーラ昇格のチケットを手にするのか。それともホームのヘタフェが意地を見せるのか。2017~18シーズンのスペインサッカーを締めくくる最後の戦いに向けて、時計の針は動き始めている。