2021年1月に誕生した日本発世界初のダンスリーグである「Dリーグ」はシーズンを追うごとに確かな盛り上がりを見せ3年目のシーズン22-23を迎えた。そんな中、全12ラウンド中10番目となるラウンド10が8日に開催された。ここでは全6回戦の後…
2021年1月に誕生した日本発世界初のダンスリーグである「Dリーグ」はシーズンを追うごとに確かな盛り上がりを見せ3年目のシーズン22-23を迎えた。そんな中、全12ラウンド中10番目となるラウンド10が8日に開催された。
ここでは全6回戦の後半をレポートする。
◆【前編】ラウンド10 チャンピオンズシップ進出をかけた熱き終盤戦 フルキャスト・レイザーズが見事CS進出を決す!
■残り2枠を賭けた闘いが繰り広げられる
4thMATCH:ライフル・アルトリズム vs. セガサミー・ルクス
先攻は毎回独特の「アルトリワールド」を届けてくれるアルトリズム。今回も「海洋プラスチック問題」をテーマとし、海中で聞こえる音をバックに海の中の世界を表現。しばし現実を忘れさせるような魅惑のアルトリワールドが届けられた。海の中を表すために空間を上手く活用し、受け手に思考のきっかけを与えるような奥深い世界観はこれまでのアルトリズムの作品においても特別な趣ある仕上がりで観る者を魅了した。
対するルクスはタイトでキレのある音ハメを多用し、押し出しと掴みの強い分厚い見応えのナンバーで対抗。風格漂う男前集団のルクスは今回も観る者を魅了したが、このマッチも3-3のドロー。互角の結果と相成った。
5thMATCH:ディップ・バトルス vs. ベネフィットワン・モノリス
先攻のディップ・バトルスは「樹海・生命・無限」をテーマに蓮の花の上で宙に浮いているようなスタートから、終始生々しい生命を感じさせる「曼荼羅」的な無限を感じさせる、惹き込まれるような世界観を届け、観客の心までをギュッと掴んだ。バトルスの訴求力も回を追うごとに強くなっているようだ。
対して、ガラッと雰囲気が変わりゴージャスなキャバレーなどを彷彿とさせるモノリスのテーマは「ナイト・ウォーカー」。椅子を効果的に使い、むき出しの足と繰り広げられるヴォーグの振りで女体が浮かび上がる迫力と見応えのあるナンバーに仕上がりモノリスの存在感が花開いていたが、結果は4-2でバトルスに軍配があがった。
6thMATCH:ユーセンネクスト・アイムーン vs. フルキャスト・レイザース
Dリーグ唯一のガールズグループアイムーンと男気香るレイザースの一戦。
先攻はいつもの可愛い衣装から和服の肩を剥いだ衣装で強いセクシーさを前面に出したアイムーン。 和傘に琴の音で“くのいち”のようにも見える激しいアイムーンは今回もシンクロ性の高い雰囲気のあるナンバーが届けられた。
対するレイザースは「一点突破」をテーマに、いつもに増して力強く爆発力のあるクランプでダイナミックなエナジーの解放を思わせるナンバーを展開した結果、強いアイムーンは男気集団に及ばず、1-5でレイザースの勝利となった。
前述したように、このラウンド10の結果を受けて、フルキャストレイザーズのチャンピオンシップ進出が決定した。上位6位までがチャンピオンシップへと駒を進めることが出来るため、ラウンド12までの2ラウンドで残る2枠を賭けた闘いが繰り広げられることになり、ここからさらに目を離せない最終コーナーへと突入してゆく。
ジャッジのピート氏とKoji氏からは、それぞれ「スキルがもうひとつ足りない」「熱意は伝わったが、グサッとささる作品がなかった」等、厳しいコメントも飛び出したが、期待が大きすぎるという事だろうか。筆者の目にはどのチームもどんどんスキルを上げているように感じるのだが・・・。さておき、残すところ2ラウンド、ジャッジも“胸にささった”と思う作品が飛び出すことを祈りながら次回、3月22日、そして4月5日に繰り広げられる“聖戦”を見届けたい。
◆ラウンド9 再びサイバーエージェント・レジットがトップを奪還 前編
◆うまいだけでは勝てない、ますます総合芸術の色合いを強めるDリーガーたち
◆2年連続MVD “B BOY” ISSEIの“これまで”と“これから” 「パリ五輪だけがダンスじゃない」
著者プロフィール
Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター
『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。