2021年1月に誕生した日本発世界初のダンスリーグである「Dリーグ」はシーズンを追うごとに確かな盛り上がりを見せ3年目のシーズン22-23を迎えた。そんな中、全12ラウンド中10番目となるラウンド10が8日に開催された。この日も、コロナ禍で…

2021年1月に誕生した日本発世界初のダンスリーグである「Dリーグ」はシーズンを追うごとに確かな盛り上がりを見せ3年目のシーズン22-23を迎えた。そんな中、全12ラウンド中10番目となるラウンド10が8日に開催された。

この日も、コロナ禍での制約はありながら、会場の有明ガーデンシアターの観客席はほぼ埋め尽くされ、マスク越しの声援が、地鳴りのように会場を震わし、興奮の湧き上がる熱き闘いが繰り広げられた。

前回お伝えした通り、現在4月23日に行われるチャンピオンシップの6枠の出場権を獲得したチームはトータルランキングので上位を占める、サイバーエージェント・レジット、セガサミー・ルクス、エイベックス・ロイヤルブラッツの3チーム。また、このラウンド10の注目の一戦となったフルキャストレイザースのチャンピオンシップをかけた闘いは見事レイザースが勝利し、6枠中の4枠目をキープした。

2チームずつ、対戦形式の総当たり戦となり勝敗の明暗が色濃い印象を残すようになったこのシーズン、審査はジャッジのみならず、ネットから観戦するファンもポイントを入れて勝敗のゆくえに参画できるため、自分の票をどうやって生かそうという愉しみも味わえる仕組みとなっており、贔屓のチームが勝利した暁にはさらなる満足感が得られることとなっているに違いない。それではさっそく激闘となったラウンド10の熱き6つの闘いを振り返りたい。

◆ラウンド9 再びサイバーエージェント・レジットがトップを奪還 前編

■MVDはエイトロックスのCOCOAが受賞

1st MATCH:カドカワ・ドリームス vs. サイバーエージェント・レジット

先攻はブルーコーナーからいつものブルーのジャケットを纏って登場したカドカワ・ドリームス。毎回人気の高さを裏付ける声援の大きさが目立つ登場シーンが印象的なドリームスは、いつもの通りジャケットを脱ぎ捨て、やわらかな緑の羽で覆われたような衣装で、トライブを感じさせる低音が響く楽曲で大地と植物の力強さを思わせる緩急と躍動感に溢れたナンバーを繰り広げ、会場の空気をドリームス色に染めきった。

対するレジットは全員がオレンジ色のスーツに身を包み、ベンチに座ったパントマイムからおしゃれで洒脱なレジットらしいナンバーを展開。流れるような動きと時折暗転させた照明の効果を存分につかった驚きある凝った構成で、曲調がアップテンポになってからは特にレジットならではの粋な姿を見せつけた。結果2-4でカドカワの健闘は光っていたがレジットが勝利を攫い、これによってレジットは単独首位独走の色を濃くした。

2nd MATCH:エイベックス・ロイヤルブラッツ vs. ヴァリュエンス・インフィニティ

先攻は毎回エンタメ性高く、オーディエンス人気もナンバーワンのロイヤルブラッツ。

毎回明るくハッピーな雰囲気で打ち出してきたロイヤルブラッツだが、今ラウンドはグレーのシャツに黒のパンツという装飾を省いたミニマルな衣装で、いつものハッピーエンタメ路線ではなく、人の内面を表現したようなシリアスなナンバーでロイヤルブラッツの違った一面を見せてくれた。

対するインフィニティはアップテンポな曲に乗って高速ヘッドスピンやパワームーブを始め、ブレイキンにヒップホップを融合させた凝ったナンバーを展開。インフィニティのブレイキンはラウンドを経るごとに磨かれ際立っているようだ。中盤、メンバーの胸に駆け上ってその胸板でステップを踏むなどサプライズに満ちた技も展開し、大いに会場を沸かしていた。

が、この対戦は3-3。ドロー(引き分け)となり、勝敗つかずの結果となった。

3rd MATCH:コーセー・エイトロックス vs. セプテニ・ラプチャーズ

先攻はエイトロックス。黒い衣装に身を包んだ6人の男達が重厚な雰囲気でブレイキン技を展開しているところに颯爽と白いジャンプスーツに身を包んだ女子二人が飛び出しテンポよく組み技や格闘シーンを繰り広げ、エイトロックスの活きの良さが際立ち見ていてスカッとするような気持ちのいいナンバーに仕上がっていた。

対するラプチャーズは色鮮やかなパーツを併せたスーツ姿の衣装に身を包み、ピアノの重低音に合わせたリズミカルでお洒落、且つ迫力と爆発力あるナンバーを展開したが、4-2で二人の女子の健闘が光ったエイトロックスに軍配が上がった。またこれによってラウンド10のMVDは女子パワーを炸裂させ瑞々しいイメージを残したエイトロックスのCOCOAに贈られた。

◆ラウンド10 チャンピオンズシップ進出をかけた熱き終盤戦 フルキャスト・レイザーズが見事CS進出を決す! 後編

◆うまいだけでは勝てない、ますます総合芸術の色合いを強めるDリーガーたち

◆2年連続MVD “B BOY” ISSEIの“これまで”と“これから” 「パリ五輪だけがダンスじゃない」

著者プロフィール

Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター

『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。