スタジアムを鮮やかに彩るチアリーダー。日本ハム球団公式チアリーダー「ファイターズガール」は、ダンスパフォーマンスだけではなく、内野席に設定された応援ステージで熱烈応援したり、地方イベントに参加するなど活動範囲が幅広い。ファンとの距離も近く、…

スタジアムを鮮やかに彩るチアリーダー。日本ハム球団公式チアリーダー「ファイターズガール」は、ダンスパフォーマンスだけではなく、内野席に設定された応援ステージで熱烈応援したり、地方イベントに参加するなど活動範囲が幅広い。ファンとの距離も近く、 今や地域密着のため重要な役割を担う。やりがいを感じて、全国各地からオーディションを受ける人も増えている。倍率14倍以上の難関オーディションを突破して活動する彼女たちの思いに迫る。

■就職活動をやめてオーディション受験「ここでやりたいと」

 スタジアムを鮮やかに彩るチアリーダー。日本ハム球団公式チアリーダー「ファイターズガール」は、ダンスパフォーマンスだけではなく、内野席に設定された応援ステージで熱烈応援したり、地方イベントに参加するなど活動範囲が幅広い。ファンとの距離も近く、 今や地域密着のため重要な役割を担う。やりがいを感じて、全国各地からオーディションを受ける人も増えている。倍率14倍以上の難関オーディションを突破して活動する彼女たちの思いに迫る。

 第1回は、東京出身の三田部晏奈(みたべ・あんな)さん(23)。

 高校、大学と7年間チアリーディング競技を続けた三田部さんの人生を変えたのは、映像で見たファイターズガールのパフォーマンスだった。

「初めてテラスパフォーマンスを見た時に、ここでやりたいと思いました。心の底からチアが好きでファイターズを応援したいという気持ちが、そのダンスから溢れていたんです」

 昨年は西武の公式パフォーマンスチーム「ブルーレジェンズ」で活動していた。各球団がどんなリアリーディングをしているのか知りたくなって、調べていた時にファイターズガールに魅了された。

 当初は大学卒業後、普通に就職するつもりだったが、チアリーディングに関わりたという強い思いを封印することはできなかった。大学4年だった昨年6月に就職活動をやめ、12月に行われるファイターズガールのオーディションにかけた。

 縁もゆかりもない北海道に行くと言い出した三田部さんに、家族は猛反対したという。「でも、私は意志を曲げなかったです。絶対受かるから行かせてほしいと」。その言葉通り、見事14倍の難関を突破。西武から日本ハムへの異例の“移籍”が実現した。

■反対していた家族も今は応援、「母はファイターズのファンクラブ会員に」

 今年2月に札幌に引っ越した。「4月に雪が降ったのを見た時には驚きました」と笑うが、新天地での生活は充実している。ファイターズガールとしての活動に、レッスン、仕事と多忙な日々だ。

 西武では試合前のステージに上がることはあったものの、オープニングダンスはなかった。「毎試合、緊張していますが、ドームの中で、みんなが見ている中で踊ることができるのは、当たり前ではないし、ありがたいことです」と責任と喜びを噛み締めている。

 オープニングダンスの後は、選手をグラウンドに送り出してから、 一塁か三塁の応援ステージに上がり、ポンポンを持って踊りながら 、声を張り上げて応援の音頭を取る。「とにかく楽しんで帰ってほしいです。周りをどんどん巻き込むことを意識しています」とおもてなしの心は人一倍だ。

 25人のメンバーで唯一のアクロバット要員でもある。球団マスコットのB・Bと一緒に軽やかにバク転をする姿が印象的だ。「“見たよ”と言っていただくこともあります。嬉しいですね」 と微笑む。

 ファイターズガールの活動は、主催試合にとどまらない。「試合で忙しくて、まだどこにも行ったことがないので。地方に行くことがとても楽しみです」と広い北海道各地でのイベント参加にも意欲的だ。

 反対していた家族も今では応援してくれている。5月に東京ドームの試合で“凱旋”した時には、家族や友人など15人ほどが駆けつけた。「母はファイターズのファンクラブ会員になり、この夏には2週間くらい札幌に遊びに来ると言っているんですよ」と笑う。

 すっかり北海道が気に入った三田部さんの目標は、ファイターズガールで長く活動を続けること。「ここに来るチャンスをもらったので、長く活動したいです。将来的には、子供が好きなので、 経験を生かして、子供たちを教えたりもしたいですね」。北の大地で芽生えた新たな夢を追いかけながら、グラウンドとスタンドをつなぐ架け橋としてフル回転している。

石川加奈子●文 text by Kanako Ishikawa