WBC開幕 緊急鼎談(後編)前編:「侍ジャパンの不安要素」「チェコの躍進」などWBCプールB 展望はこちら>> 前編では…
WBC開幕 緊急鼎談(後編)
前編:「侍ジャパンの不安要素」「チェコの躍進」などWBCプールB 展望はこちら>>
前編では日本代表、そしてプールBのライバル国について語り合ってもらったが、後編では準々決勝で戦うことになるプールA(台湾、オランダ、キューバ、イタリア、パナマ)の戦力分析、そして優勝国予想もしてもらった。

ソフトバンクでプレーするモイネロはキューバ代表としてWBCに出場する
【プールAを勝ち上がるのは?】
── 日本代表が準決勝に進むには、準々決勝を突破しなくてはなりません。準々決勝で対戦するのはプールAを勝ち上がった2チームのどちらかになりますが、ここはどんな戦いになると思いますか。
村田 まったく予想がつかないです(笑)。東京ラウンドとは比べものにならないくらい激戦になるでしょうね。
MOBY 私は現地に行くので、いろいろ調べたのですが、まずキューバはNPBに縁のある選手がすごく多い。ピッチャーだけでも5人います。
中島 そのなかでも、セットアッパーのリバン・モイネロ(ソフトバンク)、クローザーのライデル・マルティネス(中日)のリリーフ陣は超強力です。
MOBY あとは亡命した選手が、初めてキューバ代表として戦えることになりました。アストロズのヨルダン・アルバレスやホセ・アブレイユといったメジャートップ級の選手は参加していませんが、それでもキューバにとっては大きな一歩となる大会だと思います。
村田 ホワイトソックスでスタメンを張っているルイス・ロバートは参戦しますし、不気味なチームですよね。
MOBY 不気味と言えば、イタリアが面白んじゃないかと。
村田 僕の周りのコアなMLBファンも、イタリアに注目している人が多くいます。
MOBY 内野はすべてメジャー経験者で、ファーストはジョージ・ブレッドが"イタリアン・ナイトメア"のあだ名をつけたビンセント・パスクアンティノ(ロイヤルズ)。サードがニッキー・ロペス(ロイヤルズ)で、ショートがデビッド・フレッチャー(エンゼルス)。セカンドのマイルズ・マスロトブオニ(カブス傘下)は数試合しか経験はありませんが、侮れないメンバーです。
中島 ピッチャーもそこそこの顔ぶれが揃っていますよね。メジャーでシーズン13勝を挙げた経験のあるマット・ハービー(元オリオールズ)とか。
村田 もともとイタリアは前評判が高かったのですが、そこからブランドン・ニモ(メッツ)やトレイ・マンシーニ(アストロズ)、ジョーダン・ロマノ(ブルージェイズ)が辞退してしまって、当初予定していたメンバーよりは戦力ダウンしてしまった。それでもブルワーズのトッププロスベクトであるサル・フレリックという外野手がいたり、アンドレ・パランテ(カージナルス)というイキのいい投手がいたり、楽しみな選手が多い。
中島 これまでは中南米の列強と戦わされていたのが、今回はグループが変わりました。
村田 なにより監督は、あのマイク・ピアッザですからね。野茂英雄さんの女房役が、監督として東京ドームに来たら盛り上がるでしょうね。
MOBY 殿堂入り監督ですからね。
【日本の準々決勝の突破の確率は?】
── 前回大会で日本と激闘を繰り広げたオランダ代表はいかがですか?
村田 オランダはアンドレルトン・シモンズ(元カブス)、ディディ・グレゴリウス(元フィリーズ)など、ピークを過ぎた選手が多いですよね。バリバリのメジャーリーガーとなるザンダー・ボガーツ(パドレス)やジョナサン・スコープ(タイガース)くらいで、野手の世代交代が進んでいない印象ですね。
中島 それにオランダと言えば、どうしてもピッチャーが弱い印象があります。今回もオランダリーグとマイナーの投手がほとんどです。
村田 プールAのチームに共通しているのは、「このピッチャーに任せておけばいい」という絶対的エースがいないこと。だから、打ち合いを制したチームが勝ち上がってくるんじゃないかと。そのなかでキューバだけはしっかりした勝ちパターンの継投が確立しているので、リードする展開になれば強いのかなと思いますね。
MOBY モイネロ、ライデルまでどうつなぐかですよね。
村田 日本の準々決勝の相手としていちばん嫌なのはキューバだと思います。序盤にリードされて、次々とピッチャーが変わってくる展開になるのが怖い。
中島 逆にキューバ以外のチームは、どこが来ても得点できないことはないと思います。
── 地元開催の台湾はどうですか?
村田 ホームアドバンテージがどこまで生きるかでしょうね。
MOBY 咋シーズン、ボールが低反発球になったようで、本塁打王でさえ14本ぐらいだと聞きました。逆にピッチャーの成績は飛躍的に上がったのですが、WBC球になった時にどうなるのか。
村田 あとパナマは、野手は小粒ですよね。
MOBY 余談ですが、プールAの始球式は"パナマの英雄"マリアノ・リベラなんですよね。レジェンドがどんな球を投げるのか、それだけでも楽しみです。
中島 このプールAは、どこが勝ち上がってきても不思議じゃない。ただ、投打のバランスを考えれば、どこが勝ち上がってきても、準々決勝で日本が負ける可能性は低いんじゃないかと。
村田 もちろん一発勝負の怖さはありますが、準決勝に進む可能性は限りなく100%に近いと思います。

メキシコ代表のエース、フリオ・ウリアス
【戦力充実のメキシコ】
── 日本は準決勝に進めば、いよいよアメリカ、中南米との戦いになります。まずプールC(アメリカ、メキシコ、コロンビア、カナダ、イギリス)はどう予想しますか。
村田 アメリカが大本命なのはわかっていますが、メキシコの戦力が揃っています。スタメン、先発、クローザーと全員メジャーリーガーで固められるだけの選手層があります。先発4枚は、昨年全員がローテーション投手でした。
MOBY あと2021年新人王のランディ・アロサレーナ(レイズ)もいるんですよね。キューバを亡命してメキシコに渡った。
村田 ほかにも去年35本塁打のロウディ・テレス(ブルワーズ)がいたり、オリックスでもプレーしたジョーイ・メネセス(ナショナルズ)もいたり......。ピッチャーも2021年に最多勝、2022年に最優秀防御率のタイトルを獲得したフリオ・ウリアス(ドジャース)がいるなど、投打のバランスがいい。
中島 ウリアスをアメリカ戦でぶつければ、1位通過もあるかもしれないですね。
村田 カナダはフレディ・フリーマン(ドジャース)やタイラー・オニール(カージナルス)など、バッターはタレントが揃っていますが、ピッチャーが弱い。オリックスにいたアンドリュー・アルバースとか......。
中島 巨人にいたスコット・マシソンも出るんですよね。
村田 5、6年、メジャーで投げていないようなピッチャーがロースターに入っていたり。一応、エースのカル・クァントリル(ガーディアンズ)は昨年15勝を挙げていますが、それ以外のピッチャーが不安です。
MOBY よほど打たないと厳しいでしょうね。コロンビアもカナダと同じで、面白い選手は揃っていますが、投手力が弱い。
村田 最近はコロンビア出身のメジャーリーガーも増えているように、レベルは上がっていますが、アメリカ、メキシコに勝てるかと言えば、もう少し時間がかかるかもしれないですね。

昨年のサイ・ヤング賞投手、ドミニカ代表のサンディ・アルカンタラ
【プールDは三つ巴の大激戦】
── そしてプールD(ドミニカ、プエルトリコ、ベネズエラ、イスラエル、ニカラグア)は、死のグループと言われています。
MOBY 個の塊のドミニカと、規律のプエルトリコ、そしてその中間ぐらいのベネズエラ。
中島 戦力的にはドミニカでしょうが、辞退者が相次ぎ、当初予定していたチームよりは落ちましたよね。
村田 サンディ・アルカンタラ(マーリンズ)とクリスチャン・ハビエル(アストロズ)の2枚看板は強力で、おそらくプエルトリコとベネズエラにぶつけてくるでしょうね。
中島 これまでドミニカはリリーバータイプの投手が多かったですが、先発タイプも出てきましたよね。打線とリリーフは強力だったけど、先発はやや落ちる印象があったのですが、近年は先発投手も育ってきた。
MOBY ドミニカは2013年に優勝していますけど、チーム構成、バランスは今回のチームのほうがいいような気がします。そのドミニカの対抗となると、プエルトリコですかね?
村田 2大会連続準優勝ですからね。このチームは、戦力的にはドミニカやベネズエラに劣ると言われていますが、いざ戦いが始まるとチームの結束力、統率力で勝ち上がってくる。今回の選手層で言えば、若干薄いかなと。
MOBY 先発の駒が少し足りない気がしますね。
村田 2013年、2017年はメジャーでの実績があまりない投手を、キャッチャーのヤディアー・モリーナが圧倒的な存在感と絶大な信頼感で彼らのレベルを引き上げた。今大会はモリーナがキャッチャーから監督になり、そこでどんな戦いをするのか注目したいです。
中島 キャッチャーはマーティン・マルドナード(アストロズ)とクリスチャン・バスケス(ツインズ)ですか。相変わらずキャッチャー王国ですよね。プエルトリコは前回の決勝の時、視聴率70%を記録したそうなんです。ただプエルトリコは、2019年にウインターリーグを見に行ったことがあるのですが、スタジアムはガラガラで......。ドミニカやベネズエラと違って、メジャーリーガーがほとんど出ないのがその理由なんですが、メジャーリーグの中継やWBCは盛り上がる。野球熱はものすごくある国なので、今回もいい結果を出してほしいですよね。
MOBY もうひとつの注目国、ベネズエラは毎回、タレントは揃っているのに勝てないですよね。
中島 国としてはドミニカにものすごく対抗心を持っているんですが、これまでWBCで一度も勝っていません。
村田 いつも大量失点して散っていくイメージですよね。先発ピッチャーはそれなりに揃っているけど、2番手以降の投手でやられてしまう。
MOBY とはいえ、野手はキャッチャーのサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)、セカンドのホゼ・アルトゥーベ(アストロズ)、外野手のロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)を筆頭にスター選手が揃った。
中島 アクーニャが加わったのは大きいですよね。
村田 それに唯一の5大会連続出場のミゲル・カブレラもいます(笑)。
MOBY 現役ラストイヤーですよね。
村田 あとは前回大会で旋風を巻き起こしたイスラエルがこのグループに入ったんですよね。今回も面白いチームですが、さすがにこのグループを勝ち上がるのは難しい。ニカラグアもヤンキースのセットアッパー、ジョナサン・ロアイシガがいますが、はたして彼が出る展開になるのかどうか。
【優勝するのはどこ?】
── では最後に、優勝するチームはどこかそれぞれ予想してください。
中島 ベスト4に入ったチームは、どこが優勝してもおかしくない。とくにトーナメントですので、その日のピッチャーの出来によって大きく変わってきます。そのなかで今回期待したいのはメキシコです。アメリカ、ドミニカ、日本、プエルトリコ、ベネズエラのトップ5に次ぐ存在ですが、投打のバランスもいいですし、勢いに乗ったらそのまま突っ走ってしまうような感じがします。
村田 私はモリーナの手腕にかけてプエルトリコにします。願望もありますが、チーム力でプエルトリコを推したいですね。
MOBY いやー迷いますね。中島さんがおっしゃったように、どこが勝ってもおかしくない......。今回はまだ優勝していないチームに勝ってほしいので、ベネズエラにします。ドミニカは間違いなく強いですが、あまりにも期待が大きすぎて、意外とコロッと負けるんじゃないかと。ベネズエラも取りこぼしが多いんですが、今回は期待してもいいかなと。
── 日本の優勝はないですか?
中島 いや、あると思いますよ。
MOBY 普通にありますよね。栗山英樹監督が「目標は世界一」と言うだけあって、メンバーは過去最強だと思います。チームのまとまりもありそうですし、期待してもいいんじゃないかと。
村田 あの投手陣なら大量失点する展開にはならないと思うので、問題は野手がメジャーの投手をどう打ち崩すかでしょうね。
中島 さっき優勝はメキシコって言いましたけど、決勝で日本対ドミニカ、日本対ベネズエラとか見たいですね。アルカンタラと対戦する日本とか、実現したらワクワクしますね。
村田 山本由伸や佐々木朗希がメジャーの超一流の打者にどんなピッチングをするのか、村上宗隆がメジャーのピッチャー相手にどんなバッティングをするのか。国同士の戦いも面白いですが、WBCは普段なかなか見ることのできない個の対戦があって、そこも楽しみですね。