食物繊維と同様の働きをするレジスタントスターチを知っていますか?全粒粉や豆類、未熟なバナナに含まれるとされていますが、食材を加熱後冷ますことで増える性質があります。今回はレジスタントスターチをはじめ、冷やすと栄養価や旨味がアップする、「得…
食物繊維と同様の働きをするレジスタントスターチを知っていますか?全粒粉や豆類、未熟なバナナに含まれるとされていますが、食材を加熱後冷ますことで増える性質があります。今回はレジスタントスターチをはじめ、冷やすと栄養価や旨味がアップする、「得する食材」5つをあすけん栄養士がご紹介します。
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冷やして増える「レジスタントスターチ」とは
レジスタントスターチとは、小腸で消化・吸収されにくい「難消化性でんぷん」のことで、食物繊維と同じような次の働きがあるとされています。
・腸内環境を整える
・血中コレステロール濃度を下げる
・血糖上昇を抑える
レジスタントスターチを含む食材の中には、冷やすことで増え、再度加熱をしても大きく量は減らないことがわかっています。
冷やすとレジスタントスターチがアップする食材
さつまいも
さつまいもは、茹でてから冷やすことで、レジスタントスターチが茹でた直後より1.15%増えたという研究結果があります(※1)。さつまいもには「焼き芋」「ふかし芋」「さつまいもご飯」などたくさんの料理方法がありますが、茹でる・焼く・蒸すのいずれの調理方法でも、冷やすとレジスタントスターチは増えます。味や食感も加熱することで甘みが増し、冷やすことで、ねっとりと濃厚な味わいが楽しめますね。
じゃがいも
じゃがいもは、茹でたあと冷やすことで、レジスタントスターチが5~6g増えたという研究結果があります(※2)。同研究で、ポテトチップスには、レジスタントスターチはほとんど含まれなかったことがわかっているので、じゃがいもは「ポテトサラダ」や「ビシソワーズ(じゃがいもの冷製スープ)」などの料理から摂るのがよいでしょう。
ご飯
冷ましたご飯は、炊きたてのご飯より、レジスタントスターチが1.8倍増えたという研究結果があります(※3)。「おにぎり」、「寿司」は、ご飯を使った、冷めてもおいしい食事です。レジスタントスターチは、豆類や雑穀にも含まれるので、小豆を加えて赤飯にしたり、玄米・雑穀米を加えてお米を炊くのもおすすめです。
冷凍すると旨み・栄養価がアップする食材
きのこ
なめこ・しめじ・えのきだけなどのきのこは冷凍後調理することで、香り・旨み・歯ごたえが良くなるという研究結果があります(※4)。石づきを取ってほぐしたきのこを小分けにし、平らにして凍らせましょう。冷凍したものは、手でバラバラにすることができるので、使いたい分だけ取り出すことができます。
しじみ
冷凍することで、しじみに含まれるオルニチンが増加するという研究結果があります(※5)。オルニチンは、運動によるカラダの疲れを和らげる働きがあると言われています。しじみには、砂が含まれるので下処理をしてから冷凍するようにしましょう。
食材を温めてから冷やす、冷凍することは、長期保存につながるだけでなく、栄養価や旨みもアップさせてくれる料理のアイディアです。焼き芋を冷やしてデザートにしたり、雑穀おにぎりをお弁当にしたり、ちょっとした工夫で普段の生活にとり入れていきたいですね。
【参考・参照】
(※1)亀井 文, 高橋 遥,“さつまいもの加熱調理直後、冷蔵保存及び再加熱によるレジスタントスターチ量の変化”,宮城教育大学紀要,53,2019,p.211-216
(※2) 片平 理子他, カラフルポテトの調理によるレジスタントスターチ含量の変化, 平成22年度日本調理科学会大会 セッションID: 2P-3〈https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajscs/22/0/22_0_160/_article/-char/ja/〉(最終閲覧日:2023/1/27)
(※3) 亀井 文, 佐藤 岳志,“炊飯時の加水量および米飯の保存温度と時間の違いによるレジスタントスターチ量の変化について”,宮城教育大学紀要,50,2016,p.165-170
(※4)甲山恵美,青柳康夫,“キノコは冷凍に適しているか”,日本食生活学会誌,第26巻 第1号,2015,p.11-19
(※5)内沢秀光, “シジミの冷凍処理によるエキス成分の変化
─高付加価値化に向けた公設試の試み─” 日本食品科学工学会誌 第 66 巻 第 12 号 2019, p. 443-450
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報
オルニチン〈https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail1265.html#1〉(最終閲覧日:2023/1/27)
海老原 清, “レジスタントスターチの栄養・生理機能”, 日本調理科学会誌 2014 年 47 巻 1 号 p. 49-52
[文:あすけん 管理栄養士 公開日:2023年2月28日]
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