大阪・堺ビッグボーイズ瀬野竜之介代表「勝利至上主義は怪我につながる」 日本の中学野球や高校野球にもリーグ戦の動きが広がっ…
大阪・堺ビッグボーイズ瀬野竜之介代表「勝利至上主義は怪我につながる」
日本の中学野球や高校野球にもリーグ戦の動きが広がっている。火付け役は、筒香嘉智内野手らプロも輩出している大阪府の中学硬式野球チーム「堺ビッグボーイズ」を運営するNPO法人BBフューチャーズ。かつての勝利至上主義から脱却し、メンバーは小、中学生合わせて180人に増えている。根底には選手の将来を見据えた怪我をさせない指導がある。
中学で硬式野球をしたり、甲子園を目指して高校野球に打ち込んだりした選手の多くは「堺ビッグボーイズ」の名前を聞いたことがあるだろう。米国でプレーする筒香やオリックスの森友哉捕手を輩出し、日本一の経験もある大阪の名門チームだ。
野球の競技人口減少が叫ばれている中、チームには現在、小、中学生合わせて180人が所属している。選手や保護者に支持されている最大の理由は勝利至上主義を捨て、選手の将来を最優先に考えたチーム方針にある。2月19日にベルーナドームで開催された埼玉県野球協議会主催の埼玉県ベースボールサミットのトークショーに招かれた瀬野竜之介代表は、勝利を優先し過ぎる弊害を指摘した。
「勝利至上主義は選手の怪我につながります。大人の顔色をうかがってプレーする選手も増えてしまいます。特に、少年野球では指導者が見守る、観察することが大切です」
怪我で野球をあきらめる子どもたちを減らし、先のステージまで野球を続ける子どもたちを増やすには、どうすれば良いのか。導き出した答えが、日本の野球界では土壌がなかったリーグ戦だった。トーナメントならではの良さがある一方、負けたら終わりの一発勝負しかない状況は特定の選手に起用が偏る。BBフューチャーズは2014年に中学硬式野球のリーグ戦を開始。今は大阪の中学生だけではなく、リーグ戦の流れは全国に広がり、高校野球でも採用されている。
小、中学生の「調子が悪い」は危険信号…指導者に注意必要
負けても次の試合があるリーグ戦では、投手の連投を避けて故障のリスクを抑えられる。より多くの選手に出場機会があるため、野球の楽しさを知ったり、才能を開花させたりするチャンスが増える。瀬野代表は様々なプロスポーツとの比較を示し「勝率が拮抗する野球はリーグ戦が向いているスポーツです。トーナメント制は、出場チームの半分は1回しか試合ができません。単純計算すると2回戦を終えた段階で、出場チームの4分の3は試合する機会がなくなってしまうわけです」と語った。
選手の怪我を防ぐ目的があるリーグ戦だが、瀬野代表は他にも、小、中学生の指導者に気を付けてほしいポイントを挙げた。選手が時々口にする「調子が悪い」という言葉だ。
「成長期の選手が不調と感じる時は、体が大きくなってバランスを崩しているケースがあります。指導者は目の前に試合があると悩むかもしれませんが、子どもたちに怪我をさせないように気を付けてほしいです」
指導者は試合に勝つため、成長が早く体の大きな選手を起用したくなる。ただ、起用が偏れば負担が大きくなり、最悪の場合、野球を続けられない大きな怪我につながる。一方、出場機会のない選手は野球から離れていく。リーグ戦は、どちらの問題も同時に解決する選択肢となる。(間淳 / Jun Aida)