日差しに若干ながら春の兆しが見え隠れするようになった22日、3年目を迎えた「Dリーグ」22-23シーズンのラウンド9が開催された。ここでは全6回戦の後半をレポートする。◆【前編】ラウンド9 再びサイバーエージェント・レジットがトップを奪還 …
日差しに若干ながら春の兆しが見え隠れするようになった22日、3年目を迎えた「Dリーグ」22-23シーズンのラウンド9が開催された。
ここでは全6回戦の後半をレポートする。
◆【前編】ラウンド9 再びサイバーエージェント・レジットがトップを奪還
■全チームが完成度の高いパフォーマンス
4thMATCH:FULLCAST RAISERZ vs. SEGA SAMMY LUX
こちらも注目の対戦。鍛え上げた美しき肉体を武器に男らしさを全面に押し出すレイザーズは今回、紫のスーツに身を包み、肉体を見せずに行くのかと思いきや、衣装の前後に切り込みが入り、“チラ見せ”具合が絶妙に計算された凝った衣装でやはり肉体派であることを印象づけながら、いつもにも増してドラマティックで熱い爆発するようなクランプを踊りきった。
対するルクスは前シーズン活躍したRAARAを始め3人の女性ダンサーを加え、RAARAの眩しく輝く太ももパワーと共に、現在1位の貫禄を見せながらブラックとシルバーの凝った衣装でいつもの通りクールでキレのいいナンバーを展開してくれた。が、結果は5:1で男たちの熱いエネルギーを爆発させたレイザーズが今ラウンドの勝利を攫った。
5thMATCH:KOSE 8ROCKS vs. KADOKAWA DREAMS
前シーズン王者のエイトロックスと現在4位のカドカワドリームズの戦い。先攻のエイトロックスはスーツに帽子をかぶり、彼らとしては新鮮な姿で登場。ベンチを小物に、ストーリーを感じさせるジャジィな楽曲で、飛ばした帽子のキャッチなど難しい技を織り交ぜながらお洒落でシックな新しいエイトロックスを感じさせるナンバーを披露した。
対するのは5ラウンドから前回の8ラウンドまで3連勝中のカドカワドリームズ。全員がオフホワイト一色の衣装を纏って踊ったナンバーのテーマは「生きる」。緩急をしっかり表した印象的な振り付けで音をのがさず表現し、凝ったフォーメーションと共にチームのまとまりの良さを感じさせるナンバーが届けられた。結果は1:5でより強いエネルギーを感じさせたカドカワドリームズが勝利を遂げた。
6thMATCH:avex ROYALBRATS vs. CyberAgent Legit
こちらは現在トータルランキング2位と3位で共にオーディエンス人気の高いチーム同士の注目の一戦。観る者を必ず愉しい気分にさせる先攻のロイヤルブラッツのテーマは「釣り上げる」。全員が短パンに長靴という釣り人を彷彿とさせる衣装で登場し、バケツや釣り竿などの小物を効果的に使い、釣り人と釣り上げられる魚の様子をコミカルに表現し、今回も期待通り思わず笑顔になってしまう愉快なナンバーが展開された。
対するレジットのテーマは「スーパーナイス・スクール」。学校に校歌があるように、もしも「学校のダンス」があれば、という発想のもと作られたナンバーということだが、メンバーのENA扮する校長先生の言葉から始まりポッピンとロッキンを織り交ぜたその「ダンス」は、高度すぎて、思わず「こんなの普通の生徒には踊れないよ」とつぶやく筆者であった。それでもやはりレジットの人気の高さと愉しさは観客の声援と共に揺るぎのない強さを見せ、結果1:5でレジットが勝利を奪った。
■チャンピオンシップの残り3枠はいかに
今回このラウンド9の全6マッチを終え、ますます全チームのスキルの高さ、そして全ナンバーの完成度やクリエイション、コレオグラフまですべてのレベルが上がり、各チームが繰り広げてくれるダンス自体の深みが増し、チームの個性もさらに際立ってきていることをひしひしと感じることができた。
ここから、チャンピオンシップまで残すところ3ラウンド。このラウンド9を終え、現在上位3位のロイヤルブラッツ、サイバーエージェント・レジット、セガサミー・ルクスのチャンピオンシップ出場が決定したとの発表があったが、出場枠の6つの内、残る3チームがどこになるかはまだまだ予断を許さない状況である。
残り3ラウンドで前シーズン王者のエイトロックスの躍進や肉体派レイザーズの巻き返し、インパクト大の個性派アルトリズムやディップ・バトルズの進退がどうなってゆくのか。
各チーム共にシーズン終盤に向けて過酷なまでの練習を重ねてゆくことになるには違いないが、ぜひ全ダンサーが故障などなく元気な姿のまま、ラウンド10でもいつものように鮮烈にして華麗なる舞を全国のダンスファンに届けてくれることを祈りながら、次回の戦いを待ち受けたい。
◆ラウンド8 セガサミー・ルクスがトータルランク首位の座を奪還 前編
◆うまいだけでは勝てない、ますます総合芸術の色合いを強めるDリーガーたち
◆2年連続MVD “B BOY” ISSEIの“これまで”と“これから” 「パリ五輪だけがダンスじゃない」
著者プロフィール
Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター
『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。