壁を越えられなかった。開幕4連勝するも、そこから3カード連続で勝ち点を落とした。負の流れを断ち切れず2005年以来12年ぶりの5位。得点力不足やミスの多さだけではなく、生活面での甘さなど「野球以前の問題」と口にした選手が多くいた。秋に向けて…

壁を越えられなかった。開幕4連勝するも、そこから3カード連続で勝ち点を落とした。負の流れを断ち切れず2005年以来12年ぶりの5位。得点力不足やミスの多さだけではなく、生活面での甘さなど「野球以前の問題」と口にした選手が多くいた。秋に向けてチームの課題は山積みだ。

己の殻を破った。3年目にして初めてレギュラーの座をつかみ取った越智達矢外野手(営3=丹原)。全試合でスタメン出場を果たし、打力を買われ早大2回戦からは4番として起用された。飛躍のシーズンとしながらも、放った長打はわずか1本。「自分の中でいっぱいいっぱいだった」と自らの持ち味を発揮するまでにはいかなかった。絶対的な主砲不在の今季の明大。勝負強い打撃を身に付け、秋こそ〝主砲〟としてチームを勝利に導いてみせる。(この取材は6月10日に行われたものです)

--春のシーズン振り返っていただいてよろしいでしょうか

自分たちの力のなさを本当に実感したシーズンだったと思います。

--その中でも全試合スタメン出場と飛躍のシーズンでした

スタメンで全試合出させていただいて、ずっと出られたというのは良いことだったと思います。でも、同時に秋に向けてもっと力を付けないといけないということも実感させられましたし、自分はもう試合に出ることを目標にしていてはいけないんだと強く思いました。

--昨シーズンまでの試合と比べて何か心的変化もあったのでしょうか

一番は、今まで1年、2年と積み重ねてきたことがこのシーズンにつながったのかなと思います。コツコツ努力を続けるということが結果を残す一番の近道だと思うので、今までの努力がやっと実を結んだかなと思います。同学年が試合にも多く出ているので、自分たちも4年生に甘えていないで、同じぐらいの働きをしていけたらなと思っています。

--ご自身の打撃の魅力というものは

本当は長打っていうのがアピールポイントだと思っています。今シーズンは全然打てていなかったので、秋は長打を打てるバッターになっていきたいです。リーグ戦経験も少なくて、この春は何でもいいから安打を打ちたいっていうことで自分の中でいっぱいいっぱいでした。長打を打ちたいっていうそこまでの余裕がなかったです。何でもいいから塁に出るっていうのも大事な意識だと思いますけど、やっぱり4番を打っているからには監督やコーチも、仲間たちも自分には長打を求めていると思うので、秋はそこにこだわっていきたいと思っています。

--理想の打者像を教えてください

やっぱり勝負強さですね。極論で言えば走者がいない時は打てなくてもいいけど、走者が塁に出ている時は絶対に返すぐらいの勝負強さがあるバッターになりたいですね。

--現在意識して取り組んでいることはありますか

長打を打てるようになるにはどうしたらいいかっていうことを考えながら、打撃練習に取り組んでいます。力強さも足りていないのでウエートも増やしましたし、ロングティーでも高めに打球を飛ばすように、飛距離を出せるように意識して練習しています。

--最上級生である4年生の存在というのは

最上級生になるとチームのことをあれこれ考えたりだとかプレッシャーも出てくると思いますし、3年生っていうのは一番結果を出しやすい時期だと思うので、4年生がチームのことを考えていろんなことに気を使ってくれている分、自分は結果で応えたいなと思っています。もちろん自分たちもチームのことを考えていますけど、4年生のおかげで自分たちは自分のプレーに集中できています。

--同学年の活躍がもたらす良い影響はありますか

やっぱり同級生が多い分、負けられないっていう気持ちが強いです。競争心があります。逢澤なんて去年からずっと出ていて、今年は春に山本(恵汰外野手・文3=愛工大名電)が初打席で本塁打を打って1試合に3安打打った試合とかもありましたし、負けられないっていう気持ちはありますね。そのおかげで学年内で切磋琢磨(せっさたくま)できていると思いますし、それがチームに良い影響を与えていると思います。

--昨年度はリーグ戦出場回数少なく、煮え切らない思いもあったのではないでしょうか

本当にその思いは強かったですね。悔しかったです。今年レギュラー取れなかったら野球辞めるぐらいの気持ちでやっていました。

--ご自身が殻を破れた要因というのは

去年までは自分から気持ちを前面に出すこともなかったんですけど、リーグ戦での経験を積んでいくにつれて気持ちを出せるようになったっていうのが大きいですかね。打ちたいとか、勝ちたいとか。単純なことで言うと喜んだり悔しがったりっていうこともですね。気持ちを出すことが、チームの士気にも影響してきていると思うので、気持ち的な面が大きかったと思います。

--昨年度と比べてチームの良いところはどのような点でしょうか

絶対的な存在がいない分、みんなでそれをカバーしようっていうのが今年のチームの良いところだと思います。試合によってその日のヒーローが変わっているっていうのも、今年の特徴だったのかなと。やっぱり去年だと1試合目に柳さん(裕也選手・平29政経卒)が投げて、やっぱり次のカードでも1試合目は柳さんか投げてって感じだったんですけど、前のカードで結果を出した選手が次のカードで第1先発を任されたりとか。みんなが自分がやらないとって思っていたと思います。下級生もどんどん試合で活躍してくれていましたし、自分も頑張らないといけない、負けられないっていう気持ちが下も上も関係なくありました。

--4連勝の後、流れを戻せずカード3連敗を喫しました

これといった決定的な要因はありませんが、ぽんぽんっと勝って気持ちに緩みが出てしまったりとか、オープン戦で結果を出せなかったのに4つ連続で勝ってしまって、無意識に勝てるだろうっていう気持ちになってしまっていたのかもしれません。去年は第1カードの東大2回戦で負けて「このままじゃいけない」って気づいて結果的に優勝につながったんですけど、今年は負けても立て直す力がなくて、5位という結果に終わってしまいました。

--最終戦の立大3回戦は負けはしましたが、最後に意地を見せたように感じました

春のリーグ戦の中で一番粘りを見せられた試合だったと思います。去年はああいう試合を数多くできたから勝てたんだと思いますし、今年はそれだけの粘り強さがなかったから負けたんだと思います。結果的にあの試合は負けてしまったんですけど、秋は最後の最後まで粘って、そして接戦でも勝ち切れるっていう試合を増やせていけたら強くなっていくんじゃないかと思います。結果的に負けているので良かったとは言えないですけど、9回に何とか追い付いて、12回に1点取れたっていうのは、今年の明治にはない粘りを見せられた試合だったのかなと思います。

--リーグ戦閉幕後にチームで何か話し合いなどは

まず野球する前の、寮生活や学校生活をしっかりしていこうってみんなで話し合って、そこができてから初めて野球だと思いますし、そういうのが結果にもつながってくると思うので。野球だけできても駄目だということを改めて感じたシーズンでした。

--これから夏に向けて試していきたいことは何かありますか

春は長打を打てなくて今はそこを改善できるように練習に励んでいるんですけど、それを試合でどれだけ出せるかっていうのを意識してやっていきたいです。今やっていることがどれだけ結果につながるかっていうのは、楽しみでもあります。

--最後にこれからに向けての意気込みをお願いします

まずはリーグ戦で優勝して、神宮大会で日本一っていうのが第一の目標です。個人としてはベストナインを取りたいっていうのと、ホームランを5本ぐらい打ちたいなと思っているので、チームが勝っていく中で自分のやるべきことをしっかりと果たして、チームに貢献できる勝負強いバッターになっていきたいです。

--ありがとうございました

[谷山美海]