交流戦最高勝率の座についたのは、ソフトバンクだった。18日の広島戦(マツダ)。覇権を最後まで争ったライバルを下して12勝6敗で並び、規定により、直接対決に勝ち越したソフトバンクが交流戦史上初となる3年連続の頂点に立った。■相次ぐ離脱者も交流…

交流戦最高勝率の座についたのは、ソフトバンクだった。18日の広島戦(マツダ)。覇権を最後まで争ったライバルを下して12勝6敗で並び、規定により、直接対決に勝ち越したソフトバンクが交流戦史上初となる3年連続の頂点に立った。

■相次ぐ離脱者も交流戦初“3連覇”、ホークス「強さの要因」とは

 交流戦最高勝率の座についたのは、ソフトバンクだった。18日の広島戦(マツダ)。覇権を最後まで争ったライバルを下して12勝6敗で並び、規定により、直接対決に勝ち越したソフトバンクが交流戦史上初となる3年連続の頂点に立った。

 その強さを、より一層に感じさせる交流戦だった。序盤に内川を頚椎捻挫、終盤には内川の離脱後に4番を打っていたデスパイネを太もも裏の肉離れで欠いた。千賀も左背部の張りで離脱し、和田、武田もいない。その中でも代役として出番を掴んだ選手たちが、きっちり活躍。穴を感じさせない戦いぶりに、ホークス強し、の印象を抱いた人も多いだろう。

 穴を埋めた選手層、そして打率や本塁打などの数字と、ホークスの強さを示すものは数多くある。「強さの要因」には様々な要素があるが、もっと根本の部分で見落としてはいけないものがある。

 それは選手個々がやるべきことをしっかりやるという意識の高さ、基本を怠らない姿勢なのではないだろうか。

 例えば、15日の巨人戦(東京D)。4回に先頭の柳田で二塁打で出塁すると、4番に置かれている江川がきっちりと右打ち。一ゴロで柳田を三塁に進める進塁打とすると、続く中村晃も打球を転がし、二ゴロ。その間に柳田は本塁へと生還した。16日の広島戦(マツダ)でも、4回に四球で出塁した甲斐は犠打と相手の暴投で三塁まで進むと、松田の三ゴロで、好スタートを切って本塁を陥れた。

■他球団の関係者も評価する練習の「姿勢」

 12日の阪神戦(ヤフオクD)で8回に適時打を放った今宮は、続く柳田の左中間を破る二塁打で一気に本塁を陥れる好走塁を見せ「それがホークスの野球。やり抜いたら、最後にはきっといいことがある」と語っていた。18日の広島戦(マツダ)では田中が落球したフライ(記録は内野安打)を打った松田は、一二塁間で挟殺されたのだが、試合後には「二塁まで行こうと思って走っていた」と語った。結果が出た後の「たら・れば」は意味を為さないが、結果が出るまでに起こり得る「たら・れば」を想定して、その時その時で可能な限り全力を尽くしていることが、よく分かる。

 練習に取り組む姿勢にも、それがよく表れる。試合前に行われるソフトバンクの練習には、日々、同じようなメニューの繰り返しとなるにも関わらず、張り詰めた空気がある。ただのウォーミングアップにすることなく、ノックを受ける選手たちは真剣であるし、フリー打撃にも熱がこもっている。プレーボール直前に行われるシートノックでもそうだ。松田を筆頭に声が盛んに出るし、集中して取り組んでいることを感じさせられる。ある他球団関係者も、その姿勢、空気を高く評価していた。

 サッカーの世界にはなるが、元日本代表監督の岡田武史氏は「勝負の神は細部に宿る」と事あるごとに選手たちに説いていた。先に記した巨人戦。江川、中村晃が空振り三振やフライに倒れていたら、得点には繋がらなかったかもしれない。進塁打、1つ前を狙う走塁、野球というスポーツの性質上、ミスや失敗は起こるものではあるが、ソフトバンクの選手たちはやるべき最低限の仕事を高い確率で遂行する。「細部」に手を抜かないからこそ、ホークスは白星を重ねられるのではなかろうか。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani