キャンプで他の選手とキャッチボールをしない伊藤大海 野球日本代表「侍ジャパン」のキャッチボールでは、日本代表ならではの“…

キャンプで他の選手とキャッチボールをしない伊藤大海

 野球日本代表「侍ジャパン」のキャッチボールでは、日本代表ならではの“意外な”組み合わせや“おなじみ”のコンビなど、普段のチームとは違った光景にも注目が集まる。そんな中、ここまで侍の投手陣とは全くキャッチボールをせず、常にブルペン捕手を相手に立てる選手がいる。日本ハムの伊藤大海投手だ。

 キャンプも折り返し地点を迎えた22日も、伊藤のキャッチボール相手は背番号3桁だった。体を大きく使った距離を出す投げ方で、1球1球ロジンをつけるのがいつものルーティンだ。隣では巨人・戸郷翔征投手が同じくブルペン捕手に投げていたので、決して相手がいないわけではない。にもかかわらず、あえてお願いするのは、リスクヘッジと自己管理の徹底にある。

「(相手がブルペン捕手の方が)思い切り投げられるので……」。キャッチボールから、長い距離や変化球も交えるなど様々な投げ方をする。また、1球1球、指先の感覚を意識しながら投げるため、間隔が開く時もある。捕り損じて怪我をするリスクは少ないかもしれないが、キャッチボールで体を温める選手にとっては、十分なウオーミングアップにならないかもしれない。そこまで考えたリスクヘッジだ。

 とにかくルーティンを大事にする伊藤。22日に遠投を行ったのにも理由がある。翌日はブルペン入りの予定で「どうしても(マウンドから本塁までの)18.44メートルでは“ごまかし”がきいてしまう」「小手先にならないようにしっかりと大きく体を使いたい」。手先と体全体の感覚のバランスを整えるためにも、ブルペン前日の遠投が“ルール”なのだ。

東京五輪では全試合救援登板、今回もフル回転が予想される

 これは先発投手として投げてきた中で、自分で見出した調整法だ。今回は、パドレスのダルビッシュ有投手、エンゼルスの大谷翔平投手、ロッテの佐々木朗希投手、オリックスの山本由伸投手の4人が先発の有力候補。ブルペンを担当する厚澤和幸コーチは抑えを「固定しない」と言っており、伊藤も第2先発から抑えまで様々な役割を任されそうだ。

 2021年の東京五輪では救援で3試合に登板し、11月の豪州との強化試合でもリリーフで登板した。すべて無失点と結果を残したが、準備の難しさは感じている。「遠投をしてブルペンに入ってっていうのは先発として(の準備)。投げること以外での準備、ブルペンでできるちょっとしたトレーニングだったりをしていきたい」と話す。

 キャンプでは朝の練習前、ブルペンに向かうと伊藤と広島の栗林良吏投手がチューブを使ったトレーニングなどでウオーミングアップする姿をよく見かける。先発、中継ぎ、様々な場面を想定し、最善の準備をする。他の選手とキャッチボールをしないのも、その最善の準備のひとつだ。(川村虎大 / Kodai Kawamura)