今回のWBCでは、タイブレークは延長10回以降、無死二塁で実施される 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)…

今回のWBCでは、タイブレークは延長10回以降、無死二塁で実施される

 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に臨む侍ジャパンの宮崎キャンプは19日、3日間の第1クールを終了。メーン球場のひなたサンマリンスタジアム宮崎では、タイブレークを想定した「ゲーム形式打撃」が行われた。タイブレークはNPBでは採用されていないルールなだけに、対応次第で勝利の鍵にも、落とし穴にもなりうる。

 WBCでのタイブレークは、2009年の第2回大会から「延長13回以降、無死一、二塁から」の形で導入され、2017年の第4回大会では「延長11回以降」に繰り上げられた。そして今回、メジャーリーグが2020年から採用しているものと同じ「延長10回以降、無死二塁から」に改められた。

 この日の「ゲーム形式打撃」では、野手が6人ずつ「紅組」と「白組」に分かれ、それぞれ「延長10回無死二塁」の状況から1イニングずつ攻撃。これを2セット行った。タイブレークはイニングの表に何点入るかで、その裏の攻撃のしかたが大きく変わる。

 紅組は1点ビハインドの攻撃で、牧秀悟内野手(DeNA)の中前適時打で同点に追いつき、続く1死一塁の場面で甲斐拓也捕手(ソフトバンク)が打席に入ると、エンドランを仕掛けたが、当たりが良かった分、三ゴロ併殺に終わった。結果的に白組の“1勝1分”の格好となった。

栗山監督「状況に合わせて色々なサインを出させてもらった」

 侍ジャパンの栗山英樹監督は、三塁コーチスボックスから1球1球サインを送る白井一幸ヘッドコーチの背後に立って、“戦況”を見守っていた。指揮官は「タイブレークは点差によってやり方が変わるので、今日は状況に合わせて、いろいろなサインを出させてもらった。『この場面でこんなサインを出すのか』と驚いた選手もいただろうけれど、黒板に書いて説明してもあまり伝わらないので、実際にやってみて良かったと思う」と説明。「白井コーチが出すサインを、みんなが凄く必死に見ていた。こちらの意図としては、だいぶ良かった」と選手たちの反応に笑みを浮かべた。

 もっとも、打撃投手が投手を務めたため、打者は概ね容易に思い通りのバッティングができ、その分ピンときていない選手も多かったようだ。山川穂高内野手(西武)は「対外試合でやるのであれば、とてもいい練習になると思いますが……」と首をひねり、「タイブレークというのは、なかなか経験できないルールなので、できればそうなる前に、(9回までに)完全に決めるのが一番いい。いずれにせよ、最初からタイブレークになることを想定して試合に臨むことはない。その時になってから考えることだと思います」と語った。

 今月25、26日にソフトバンクと対戦する強化試合「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ 2023 宮崎」2試合のうち、1試合は展開に関わらずタイブレークを実施する予定だという。延長10回以降に繰り上がったということは、本番でタイブレークに臨む可能性が高まったということ。3大会ぶりの世界一を目指すからには、対策と慣れをつくってから本場に臨むに越したことはない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)